サービスを成功に導くたった1つの質問とは

安部 昌乗

2015年AppleのBest Appに選ばれた"Player!"という、スポーツライブを楽しむためのアプリの、グロースハッカーやってます。 リーンスタートアップ、グロースハックが好きすぎて、その話題はめっちゃ話します。

スポーツのライブを楽しむiOSアプリPlayer!にてグロースハッカーをしているabe-peroriと申します。

昨年、Player!がApp Store Best of 2015に選ばれたことを機に、様々な方から「サービスがうまくいってないんですよ」といった相談を受ける機会が増えてきました。

一言でサービスがうまくいかないとは言うものの、
・サービスの認知があまり広がらない
・ユーザーの登録があまり増えない
・メインの機能を使うユーザーがあまりいない
・サービスの継続率が芳しくない
などなど、悩みは多岐にわたります。

そうした悩みに、限られた時間で力になれるようにはと考えた末、ある1つの質問をすることでサービス改善の第一歩を踏み出しやすくなることに気付きました。

サービス改善を導くための質問

サービスの成功を握るのはズバリ、ストーリー。ストーリーを言語化することで、自ずと改善ポイントも見えてくるはずです。

したがって、シンプルにこれだけを聞けばよいのです。

「ユーザーがサービスと出会い、リピートするまでのストーリーを1つ教えてください」

この質問に対する回答は、詳細さに応じて3段階に分かれます。

1. 質問に答えられない状態
2. 質問に答えられるものの、ストーリーがあいまいな状態
3. 質問に答えられ、ストーリーがはっきりしている状態

1と2は、ストーリーがはっきりしている状態を目指します。そして、3は、落とし穴がどこかを考えます。

それぞれの状態について詳細を記載していきます。
(以下は、アプリのサービスを想定しています)

1. 質問に答えられない状態

「あぁ、そうですね〜なるほど、なるほど。良い質問ですね。」などと答えるパターンです。この状態は、まず簡単なストーリーを作ることから始めます。

ストーリーを作るためには、

・自分だったら、どういったストーリーになるかを想像する
・ユーザーインタビューをする
などがあります。

そうしてストーリーを作ってみたら「2. 質問に答えられるものの、ストーリーがあいまいな状態」へと移りましょう。

2. 質問に答えられるものの、ストーリーがあいまいな状態

「ある日、App Storeからダウンロードをし、アプリを開いてユーザー登録が完了したら、一通り楽しんで…」などと答えるパターンです。この状態は、ストーリーをより具体化するために、2つのステップを踏みます。

①ストーリーを4ステップに分解する
②各ステップを深堀する

それぞれの詳細を記載していきます。

①ストーリーを4つのステップに分解する

以下が、4つのステップです。
・サービスとの出会い:ユーザーが初めてサービスと出会うまで
・初回体験:アプリを開き、アプリを閉じるまで
・オフライン:アプリを閉じ、再びアプリを使い始めるまで
・リピート体験:再びアプリを開き、アプリを閉じるまで

それぞれの時間軸に合わせて、ストーリーを分解していきます。

例えば、「App StoreからDLは、サービスとの出会い」「電車の中で暇な時に、再びアプリを開こうと思うのは、オフライン」といった分け方です。

② 各ステップを深堀する

ストーリーを4つに分解した後、質問によって各ステップのユーザーの状況、気持ち、行動等を深堀していきます。

以下は各ステップの質問例です。大事な点は、ユーザーのことを考え、行動をイメージできるようになる質問をすることです。

サービスとの出会い
・何がきっかけでアプリを知りますか
・その時は、どんな気持ちですか
・その時は、どこにいますか
・App Store上の、どこでアプリを見つけますか
など

初回体験
・ユーザー登録の画面では、何を不安に思っていますか
・AHA体験(「このアプリ良いね!!」と思う体験)は、何をきっかけで得られますか
・どんな時にアプリを閉じますか
・その時は、どんな気持ちですか
など

オフライン(アプリを閉じた後)
・アプリを閉じた後、どんな行動をしますか
・何をきっかけで、アプリを再び開こうと思いますか
・その時は、どんな気持ちですか
・その時は、どこにいますか
など

リピート体験
・アプリを開く時、何を期待していますか
・アプリを開いた最初の画面はどこですか
・その画面は、ユーザーの期待に応えられますか
・もしくは、期待に応えやすい、分かりやすい動線ですか
など

さて、ステップをわけ、それぞれを深堀したら、「 3. 質問に答えられ、ストーリーがはっきりしている状態」へと移りましょう。

3. 質問に答えられ、ストーリーがはっきりしている状態

「夜中にすぽると!を見ていると、錦織の試合のハイライト映像が流れ、「しまった! 錦織が試合をやっていたのか」と気付き、「明日の試合時間をしらべてみよう」と思います。そして、机の上に置いてあったiPhoneを手に取り、Safariを立ち上げ、「錦織 試合日程」というキーワードで検索を行い、1ページ目にあるWebサイトをクリックし…」などと答えるパターンです。この状態は、ストーリーに落とし穴がないかを考えるために、2つのステップを踏みます。

①ストーリーを4ステップに分解する
②ストーリーをいろんな角度からつついてみる

①は前述している内容と同じなので、ここではスキップし、②の詳細を記載します。

ストーリーをいろんな角度からつついてみる

ストーリーが本当に成り立つのか?自分の思い通りに考えすぎていないだろうか?を疑い、落とし穴を考えてみます。ちなみに、大概ストーリーは成り立たず、大概自分の思い通りに考えすぎていて、落とし穴がぽっかりあいています。

例えば、
・ユーザーがアプリをDLする前に持っている期待に対して、初回体験は応えられているだろうか?
・ユーザーがアプリを知る前に、Googleで検索をするという行動は取るだろうか?
・オフラインからリピートを促すのがプッシュ通知だけの場合、初回体験でプッシュ通知を許可しないユーザーはリピートしないのではないか?
などと、各ステップの前後で整合性が取れるか、ストーリーとして不自然な内容がないかを考えてみます。

考える際、つい自分の考えたストーリーを完璧だと思い込みがちです。そこで、
・このステップのストーリーが成り立つ前提条件は何かを考える
・友達にストーリーを話してみて、不自然なところがないかチェックしてもらう
といった方法で、いろんな角度からつついてみて、思い込みから抜け出してみましょう。

まとめ

さて、こうして色んな角度からつついてみると、ストーリーが成り立たない、ほころびが見つかります。それが、サービスがうまくいっていない落とし穴です。

そして、この落とし穴をうまく回避する方法はあるか?穴そのものを埋めてしまうにはどうすれば良いか? を考えてみましょう。それが、サービスの改善の一歩目になります。


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