UX(ユーザーエクスぺリエンス)とCX(カスタマーエクスペリエンス)は全く異なる概念ですが、今ほどこの二つが近づいたこともありません。CXとUXが違う点は、CXが、実際にある人があなたのブランド、チーム、Webサイト、アプリ等々とのインタラクションで得た体験の総量であるという事実にあります。別の言い方をすればUXとはCXのごく一部に過ぎず、そのことは上の図に示した通りです。
これから私達はそれぞれの概念を個別に分析し、あなたがオーディエンスとインタラクトする各プロセスの役割についてよりよく理解してもらうことを目指します:
UXは人々があなたの製品と関わることで得た経験です。UXの正確な計測を可能にするのは、エラー率、計画されたアクティビティの実行時間、カート放棄率などです。UXが適切ならばユーザーはWebサイト上で苦労せずに必要な情報を得て、全てのページを簡単にブラウズすることができるのです。こうしてユーザーは望んだ目的地までとても迅速に案内されるわけです。
UXタスクを運用するのは通常ではユーザビリティエンジニア、インフォメーションアーキテクト、インターフェースデザイナーおよびデベロッパーです。
CXは、あなたのブランドとの一連のインタラクションを考えられる全てのタッチポイントを通して示すものです。CX測定基準として計測するのは、あなたの製品を使い続けそれを他人にも勧める意志、あらゆる場面でのコミュニケーション体験、プロジェクトマネジメントの正確さです。CXが適切ならば、個々人は会社とのプロフェッシャルでかつポジティブなやりとりをすることができ、好印象をもってくれることでしょう。
CXタスクを運用するのは通常ではマーケティングマネージャー、ビジネスアナリスト、プロジェクトマネージャー、CRMマネージャーそしてカスタマーです。
良いUXが必ずしも良いCXを意味しないこと
・その1 – UXとCXに連携がないこと: UIデザイナーが全てのCXの目的を認識していない場合、UXとCXの間にギャップが生じます。簡単に使える製品を作り出すことは第一歩に過ぎません。カスタマーが素晴らしいサービスとサポートを受けられる環境を作り出すことは普段からその技量が試されることです。
・その2 – サポートがないこと: 完璧なユーザビリティをもつ素晴らしい製品でもサポートチームがカスタマーとのやりとりに特別な注意を払わない事例は無数にあります。
・その3 – 全てのカスタマーを平等に扱うこと: きちんとしたUXがある人にとって素晴らしいものであっても、他の人にはたくさんの疑問を残してしまうことはあります。技術的な能力不足のせい、もしくは製品の特性を理解しようとしないせいかもしれませんが、解決策の実行方法も使用法も理解するのを面倒臭がるカスタマーもいます。 理想的なUXプロジェクトでさえも様々なCXを必要とすることがあり得ます。
良いUXでは十分でない時とは?
もしCXとUXの境界が未だに曖昧な場合は、ユーザーとカスタマーの違いを理解することでよりはっきりするでしょう。両者が同一人物であることは頻繁にあることですが、ユーザーがユーザーのみ、カスタマーがカスタマーのみということも時々あります。
CXとUXはそれぞれ異なっていますが、私達はこれらを分けて扱うべきでしょうか? この事に関しては会社によって考えがそれぞれ異なっていますし、得られる結果もまたそれぞれ異なります。より多くのカスタマーを確保しプロジェクトでより大きな成功を収めるのは誰でしょうか? それが誰か、そしてその理由を見つけ出して下さい。
2014年にフォレスターリサーチは UXとCXを連携している会社の調査を行いました (連携していない会社にも同様の調査を行いました)。調査した会社の38%がUX専用とCX専用のチームを持っており、この二つを分けて考えていました。13%の会社がCXとUXを連結させることを選択し、彼らはプロジェクト実施でより大きな成功を収めていました。
今日、WebサイトおよびアプリのUXにあまり注意を払わなかった場合のセールスでの損失は90%にも及びます。しかしながら、CXの役割も多大なものがあります。リリースされた製品のUXが素晴らしい場合でも、カスタマーサービス提供が貧弱だと結果として 68%のカスタマーが遠慮無しに競争相手に乗り換えるという損失をこうむります。
まとめ
きちんとしたCXとはあなたの会社に単独で存在しているわけではありません。それはUXと手に手を取り合うものでなければなりません。二つの異なるチームが二つの別々のプロセスに携わっていたとしても、相互関係の重要性は非常に高いものになります。