UXデザインで「習慣」を根付かせる方法:フックモデルとハビットテスティング

Nir Eyal

Nir Eyal氏は、心理学、テクノロジーおよびビジネスに関して執筆、コンサルティング、および教鞭を取っています。彼は、「常習させる:習慣を形式とした製品の構築方法」の著者です。Nir氏は、2003年から2つのテック企業を立ち上げ、スタンフォード大学経営 大学院とHasso Plattnerスタンフォードデザイン学校で教鞭を取っています。

この記事はUXPinからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How to Hook Users With Habit-Forming UX Design

Apple、Facebook、Twitter、Google、Pinterest。これらの企業にはある共通点があります。それは、ユーザー間に習慣を生み出しているということです。人々は毎日習慣的にこれらの製品を使用しており、私たちの多くがこれらが存在しなかった時の生活を想像することが難しいと感じるほど、習慣づいているのです。

しかし習慣を生み出すことは、言うほど容易ではありません。私は広範囲にわたって行動エンジニアリング習慣の重要性について書いてきましたが、デザイナーがユーザーの習慣をデザインし、評価するのに必要なツールを提供してくれる情報源がほとんどないのです。これが、私が「常習させる:習慣を形式とした製品の構築方法」を執筆して、ユーザー間に習慣を形成するのに役立つ4段階のフックモデルを説明しようと思った理由です。

本記事では、ユーザーが大好きになるだけでなく、習慣的に使用してしまうような製品を構築するためのハビット・テスティングの活用方法を見ていきます。

フックモデル

ハビット・テスティングを見る前に、フックモデルについて知っておくことが重要です。

私の著書でご説明しているとおり、フックモデルは企業がユーザーを惹きつけて、彼らの間に習慣を形成する4段階のプロセスです。このモデルの4つの段階は、トリガー、アクション、インベストメントそして可変的なリワードから成り立っています。
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画像元:Nir Eyal

それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう:

・トリガー:これは、誰かをあるシステムに引き入れるための行為を促すものです。トリガーには、外的と内的の2つの種類があります。外的トリガーは、メールやリンク、またはアイコンなどのアイテムでユーザーに働きかけます。内的トリガーはシステム内で発生し、製品を使用している間に連続的に発生するフック要素をユーザーが巡回するように形成されています。

・アクション:これは、リワードが見込まれたときに引き起こされる行為です。例えば、皆さんのFacebookフィード上の画像をクリックする動作が挙げられます。画像をクリックする時、例えばBuzzfeedの最新のリスティクルなど、興味深い場所へ誘導されることを予期します。これは、ユーザーに行為を起こさせるためのユーザビリティーデザインを利用しているため、モデルの中でも特に重要な部分です。

・可変的なリワード:これは、ユーザーに何かを熱望するという感情を抱かせるモデルの部分です。従来のフィードバックループを活用するのではなく、ユーザーの関心を維持し続けるために潜在的な報酬をたくさん提供することができます。例えば、Pinterestは皆さんの注意を惹きつける他のものとともに、関心を持っているものに関連した画像を提示することで、上記の戦略を行っています。

・インベストメント:これは、ユーザーが何かのタスクを行わなければならない段階となっています。製品に対して労力を使うというもので、これは時間やデータ、努力、社会関係資本、または金銭的な投資などが該当します。しかし、これは単にユーザーのクレジットカードを使用させるということではありません。インベストメントとは、新しいユーザーをシステムに招待したり、機能に対するフィードバックを提供するなど、製品を改良する行為でもあるのです。

フックモデルは、可変的なリワードや内的トリガーを通していかにユーザーをシステムに誘導し、惹きつけて長い期間にわたって利用し続けてもらうかを検討し始める素晴らしい方法です。最終的には、皆さんは何度でも製品に戻ってきてくれるユーザー間に習慣を構築することができるでしょう。

ハビット・テスティングの導入

ハビット・テスティングは、フックモデルに非常に適しています。

ハビット・テスティングを用いて、以下の3つの重要な質問に対してよりうまく答えることができます:

1. 皆さんの支持者は誰ですか?

2. 皆さんの製品のどの部分が習慣を形成しますか?

3. これらの部分はなぜ習慣を形成するのでしょうか?

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画像元:Nir Eyal

ハビット・テスティングの必要条件は、ある種類の製品を開発し、稼働させることです。もちろん、自分のビジネスモデルの仮説を完成させて、必要最小限の機能を有した製品であっても、それを実際に稼働させる前に製品がユーザーの望みをどのように作り出すかを検証するのも、良いアイデアです。

サイトやアプリを実際に配信したら、今度はデータの検証を始める必要があります。すべての詳細部分を追求しないようにしましょう。ユーザーが訪問の過程で皆さんのサイトとやり取りを行った時のみに集中しましょう。

ハビット・テスティングの3つの段階を見ていきましょう。

ステップ1 - 特定

この段階では、ハビット・テスティングの最初の質問である「常習となるユーザーは誰か?」の答えを探します。

その答えを探すヒントをご紹介します:

・支持者となるユーザーの特徴を定義する。大部分のバグが修正され、製品が素晴らしく改良されていることを前提として、ユーザーがどれくらいの頻度でサイトを利用するかを自分自身に問いかけましょう。

・自分自身の考えに現実的になる。Instagramのようなソーシャルネットワークアプリを提供している場合は、常習となるユーザーが1日に何度もアプリを利用することを期待することでしょう。しかし、おすすめ映画を紹介するようなサイトを構築している場合は、週に3回以上人々がサイトに訪問することは望めないでしょう。

・数値データを処理する。ユーザーがどれくらいの頻度でサイトを訪れるかが特定できたら、その頻度が予測した頻度に見合っているかどうかを見るために、データをチェックします。今後発生するインタラクションを調べるための基準値として、コホート分析を行いましょう。

使用頻度を定義づける際には、熱烈な支持者であるユーザーだけを考慮に入れることによって、楽観的になりすぎず、合理的な推測を目指しましょう。例えば、自分と同僚間の製品の使用頻度の平均を計算するとします。

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誰かがより頻繁に製品を使用すればするほど、習慣を形成する可能性が高くなります。

ユーザーが実際に皆さんの製品を使用したかどうかを調べる素晴らしい方法は、皆さん自身のチームが実際にその製品を使用しているかどうかを調べることです。Twitterを例に見てみましょう。この大手ソーシャルメディアは、Biz Stone氏とJack Dorsey氏が創設した、前身であるOdeoにおいて誕生しました。彼らは、エンジニアたちがTwitterの利用をやめられないほど夢中になっていることから、Twitterが成功する可能性があることに気付きました。

どのような場合においても、支持者と呼べるような、製品と頻繁にやり取りを行っているユーザーが、理想として少なくとも数人いると良いのでしょうか。

編集者ノート:デザインを用いた行動へ影響を与える方法をもっと詳しく学びたい方は、無料の電子書籍である「インタラクションデザインの最善方法」をチェックしてみてください。

ステップ2 - 体系化

次のステップは、皆さんの製品を使用する際に支持者たちが取るべきステップの体系化を行い、そうすることで何が支持者たちの心を捉えているのかを理解することができます。

まず、自分が十分な支持者を有していると知るにはどうすればよいのでしょうか?安全なガイドラインは、約5パーセントです。

しかしながら、アクティブユーザーの割合は、皆さんの事業を維持するためにはこれよりもはるかに高い水準である必要があることを覚えておいてください。少なくとも5パーセントのユーザーが皆さんの製品が役に立つと感じていなければ、何か問題があります。5パーセントのユーザーがいれば、次は製品を最も支持している熱心なユーザー間で共有されている、ハビット・パスとよばれる一連の類似行動を特定します。

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全てのユーザーが同じ方法で皆さんの製品とやり取りを行っているわけではありません。各ユーザーは独自のデータ・フィンガープリントがあり、製品利用に関するパターンを提示し、それによってハビット・パスを特定することができます。

もう一度Twitterの例を見てみましょう。このソーシャルメディアのアプリは、新規ユーザーが十分な人数の他のユーザーをフォローすれば、サイトを活用する人が増加する見込みが上昇したことを発見しました。

以下は、ハビット・パスにおけるどのステップが支持者となるユーザーを生み出すのに重要かについて、どのように見極めるのかを説明しています。

・仮説を立てる:ただ通り過ぎるだけのユーザーを支持者に変えるターニングポイントはどこにあったのか?これは、因果関係を相関関係から想定するように思われますが、新しい製品の発表の不透明さを考えると、これが最良の方法です。

・ユーザーと話をする:ユーザーがどのように製品を利用し、そしてなぜその製品を利用しているのかを学びます。例えば、ユーザーの関心を惹きつける段階で、ユーザーと実際に話をすることもできます。

ステップ3 - 変更

さて、この段階で私たちは仮説を立てたので、構築に戻りましょう。先ほど特定したハビット・パスにおいて、新規ユーザーを調査し、学び、そして誘導する必要があります。

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画像元:Twitter

例えば、ハビット・パスを利用して、Twitterの進行中のプロセスはフォローするべき新しいユーザーを提示しています。ただの閲覧者を皆さんの製品の支持者となるユーザーに変える、自社のパスを特定したら、上記と同様の戦略を行いたいと思うことでしょう。

終わりに

ハビット・テスティングは、全ての新しく発表される製品に適用できる、進行中のプロセスです。新規ユーザーのアクティビティと支持者となっているユーザーを継続的に比較検討することで、習慣を生み出し、発展させる方法を特定することができます。

製品が適切にユーザーの習慣を生み出せなければ、その製品は失敗に終わることでしょう。そして、もし製品が習慣を生み出せなければ、私たちが皆直面する、増加する一方の注意を散漫させるものに遅れをとることでしょう。

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