2016年は上半期だけでも多くのUXに関する書籍が刊行されています。
UXと言っても様々な領域を含みますので広義でいうと全ては取り上げられないのですが、今回は特にUXやIA界隈などで話題になっている本を中心に取り上げ、編集部の独断と偏見ではありますが簡単なご紹介と難易度のようなものも記載させていただきました。
各著書の関係者の皆様にもコメントを頂いておりますので、ぜひご購入の参考にしてください。
※以下書籍は発売順
※初心者向けのものが多いので、難易度に関しては主に初心者目線でつけています。★が増えるほど上級者・実践者向けです。
1. IA/UXプラクティス
IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン
難易度:★★☆☆☆
UXの基本的な定義や考え方から実践的な内容まで広く取り扱っている本です。理論よりも実践重視で、各チャプターに基礎講義パート→実践Q&Aパートに分かれており、Webやアプリ業界の方が実務と照らし合わせやすいような構成となっています。IA/UXとあるので、少し難しい印象を持つ方もいるかもしれませんが、初学者の方でも入りの一冊として読みやすい本です。
著者コメント
UXデザインの基礎知識からモバイルにおける情報アーキテクチャ、最近よく聞くけどよくわからないカスタマージャーニーマップについてなど、Q&A形式でノウハウをまとめた一冊になっています。
ボク自身の経験としてあるIA視点でのアプローチを紹介しています。これから勉強しようと思う方や、実務で悩んでいる方にもヒントが詰まっていますので、ぜひ手にとってご覧ください。(著者:坂本 貴史様)
2. 人間中心設計入門
人間中心設計入門 (HCDライブラリー)
難易度:★☆☆☆☆
人間中心設計(HCD=Human Centered Design)を広めるための人間中心設計推進機構(HCD-net)が出しているHCDの入門書です。全3巻刊行されているシリーズの第0巻として、概念的なところからプロセスの解説まで、初心者にわかりやすい説明やイラストで構成されています。UXやHCDの記事や書籍で頻出する用語やフレームワークを広く取り扱っており、まさに初心者向けの一冊です。
著者コメント
この本は「人間中心設計」を始めて学ぶ人のための入門編という位置付けて企画しました。すべてHCDライブラリーの中より最初に読んでもらいたい本としてHCDライブラリー第0巻としました。初心者にわかりやすくするとともに、人間中心設計を基本としたデザイン思考なども加えています。
この本を読むことによって、人間中心設計の第一歩を踏み込むことができます。この本では「人間中心設計」はあるデザイン分野としてとらえず、「人が関わるデザイン分野の共通の基盤としての知恵」定義して、さまざまなデザイン領域に活用されることを期待しています。(著者:山﨑 和彦様)
3. 今すぐ現場で使える コンテンツ ストラテジー
今すぐ現場で使える コンテンツ ストラテジー
難易度:★★★★☆
コンテンツストラテジーとは、コンテンツのターゲットやゴール、競合などを明確にしてコンテンツの戦略を立てていくことで、近年非常に重要視されてきている概念です。コンテンツ戦略の根本的な考え方や、実際にコンテンツを作成していく過程が丁寧に解説されており、実際仕事でも活かせるフレームワークやツールも多数同梱された、非常に実用的な一冊となっています。
監訳者コメント
本書は、コンテンツストラテジーと銘打たれていますが、本質的にはきちんと意味のある内容のWebサイトを構築するための、プロジェクト設計を扱った本です。関係者の巻き込み方から、コンテンツ全体をいかにサイトの形に落とし込むか、といった具体的な手法まで、実践的な内容です。
その意味で、本書は正統的なIAのテキストでもあります。ウェブサイトの正しい作り方を考えたい人はぜひ参照してください。(監訳者:株式会社コンセント 代表/インフォメーションアーキテクト 長谷川 敦士様)
4. UX戦略
UX戦略 ―ユーザー体験から考えるプロダクト作り
難易度:★★★★☆
「UX戦略」という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、プロダクトを成功に導くため、ユーザー体験を企業戦略として考えていくことを指しています。プロダクトの価値検証や競合の考え方など、UX戦略の考え方や実践方法を実例を踏まえながら紹介しており、中級?上級者向けですが、起業家・経営層はもちろん、マネージャーやリーダーなどの立場の方は職種関わらず読んでおきたい一冊です。
監修者コメント
本書「UX戦略 ユーザー体験から考えるプロダクトづくり」は、ユーザー体験のための「戦術」の本です。直接的競合や、間接的競合から、役立つ要素を見つけ出し活かす方法を紹介しています。 また4人のUX戦略家から役立つ成果物の作り方、心構えなどが紹介されています。
プロダクトのストーリーを示す手法、適切なプロトタイプ作成、ユーザー調査のやり方、顧客を獲得するためのデザインについて、多くの職種の方に役立つ本です。(監修:安藤 幸央様)
5. UXデザインの教科書
UXデザインの教科書
難易度:★★★☆☆
UXデザインの理論やプロセスなどを1からまさに教科書的にまとめた一冊です。UX用語の定義や概念やプロセスを表す図表なども多く記載されており、UXデザインが体系的にまとめられています。理論的な部分も多いので、完全な初心者向けというよりは、ある程度デザインプロセスや製品開発に触れたことのある人が改めて読んでおきたい一冊かもしれません。
出版元コメント
本書には、UXデザインに関わるさまざまな専門用語の基礎知識から、魅力的な製品・サービスをつくり出すためのプロセスとその手法が体系的にまとめられています。
製品・サービスを推進している現場では、ついつい目の前のことに心を奪われて基本をおろそかにしがちですが、基本を押さえるとどんな応用にも対応できます。人材、時間、予算といったリソースが足りない中、まずは自分の基礎力を上げておくことが何よりの武器になります。自分を磨くための独習用教科書として、チームを高めるための勉強会用テキストとしてお手に取ってみてください。
理論家でもあり実践者でもあるUX界のトップランナー、安藤昌也氏による待望の日本語書き下ろしです。(出版元:丸善出版 編集担当様)
6. UXデザインのやさしい教本
UXデザインのやさしい教本 UXデザインの仕事の実際、学習のヒントとアドバイス
難易度:★☆☆☆☆
タイトルの通り、UXデザインに出会ったばかりの方などに最適な、ガイドブック的なUX本です。ボリューム的にもサラッと読めるような作りになっています。あまり込み入った定義などには入らず、UXデザインを広く浅く取り上げているので、この本を基点にいろいろと情報を掘り下げるといいでしょう。
監修者コメント
本書はUXデザイン初学者に向けたガイドブックです。 監修者として著者の意図が正しく伝わるよう、原著と翻訳をじっくり照らし合わせて監訳させていただきました。また、日本語版として日本でのUXに関する参考メディアや書籍の情報も充実させました(もちろん海外のリソース情報も豊富です) 。
ページ数は全184ページで、UXデザインを学ぶ第一歩としてとても読みやすくなっています。興味を持たれた方はぜひお手に取ってみてください!(監修:保坂 浩紀様)
まとめ
今回はUX本というくくりで紹介させていただきましたが、今年は特に初心者向けの本が多く出ており、入門に対するハードルも少しずつ下がってきました。
どの本でもUX(やIA)の定義や考え方に触れてはいるものの、背景や文脈によって少しずつ変わってきますので、一冊だけとはいわず、複数読み比べてみると勉強になると思います。まずは読みやすいものから選び、徐々にほかの本に広げていきましょう!
※関係者の皆さま、ご協力いただきましてありがとうございました!