このエントリーは「UX Tokyo Advent Calendar 2015」の14日目として投稿しています。
今日はUX MILKが主催しているUX JAMというゆるい勉強会イベントについて、少し語ろうかと思います。
以前こちらでも書いたのですが、僕がUXという領域に興味を持ち始めたのは割と最近です。それこそ今年になってからいろいろな勉強会に顔を出すようになったのですが、まず感じたのは「なんだかわからないけど、とりあえず敷居が高い」ということです。
そもそもが専門的な分野なので、その敷居は高くあるべきなのかもしれませんが、個人的にはどんな領域であれカジュアルな面とコアな面があってしかるべきだと思っていますし、UXにおいては僕みたいにカジュアルにモノづくりするような層も知っておいたほうがいいことだと思っています。
そういう意味では現状、決してカジュアルではないな、と感じたということです。
というのも僕の場合、UXを学ぼうと思ったきっかけは、アプリの企画やデザインで、完全な思い込みのデザインばかりをしていることに気づかされたからであって、難しい理論というよりかは、現場で手を動かすことで極度に狭まる自分の視野を、ユーザーの方へぐいっと向けて広げてくれる何かを渇望していたのです。
UXという言葉の捉え方
幸い僕は色々な職種を渡り歩いてきたのもあって割と追いつきも早く、徐々に専門用語も慣れてきて、入り込めるようになったのですが、徐々に自分の思い描くUXと国内で議論されているUXとのズレを感じ始めました。
例えばよくある話ですが、それはUXじゃなくてUIだろ、みたいなお話。とある勉強会でUI/UX(嫌な予感のする表現)の工夫のお話をされていたのですが、肝心のそれが載っかっているデバイス、誰がどう使ってんの? みたいな議論がすっぽり抜けていることに違和感を感じました。僕的にはそれこそがUXで、面白い部分なのに…と。
またある所のUXはクライアントをどう説得するかみたいな話だったりして、事業会社でクライアントもいない僕は「ふーん、そうなんすね」くらいのテンションでしか反応できなかったり。確かにクライアントもある意味ユーザーなので、ステークホルダー間のUXも大事ではあるのですが、僕の知りたいUXとは少しズレます。
…という具合にUXと一言で言っても捉え方によって如何ようにも変わってしまいますし、どれも別に間違っているわけではないなと感じるようになりました。
勉強会におけるUX
UXをテーマにしている勉強会に参加していると、徐々にUXを謳っているのなら、もっと気を遣えるところがあるのでは? と気になることが多くなってきました。中にはお世辞にも気を遣っているとはいいにくい場もあって、仮にもUX!と話している場でそれって、なんだかそもそもの説得力に欠けるな、と思ったりもします。
これは自分も恥ずかしながら思うだけで、何もできていないに等しいので、大きな課題だと思っています。
ちなみに今年一番UXが良かった勉強会はCookpadさんのオフィスで行われた「UX概論 〜UXデザインの基礎を学ぶ勉強会〜」でした。オフィスも居心地いいし、講義内容もインタラクティブで楽しく、懇親会はビールサーバー完備、おまけに社員さんが作ったメシもうまいという至れり尽くせりなイベントでした。
参加者には気持ちよく参加してほしいし、何かを得て帰ってほしい。それは勉強会の内容だけではなくて、そういった身近なところからも、何かしらUXの大切さを感じれるといいなと考えるようになりました。
ゆるく学ぶUXイベント
さて、今年の夏にUX MILKというメディアが世に放たれ、いよいよ僕もそれに際してイベントを開催する側になりました。なにせ自分自身がペルソナなので、まずは自分のやりたいようにやることにしました。
もとより僕は勉強会があまり好きではありませんでした。「とりあえず名刺交換だけでも…」とかもろくに繋がれないので極力やりたくないですし、そもそも誰かのタメになるお話を聞いて、やった気になってしまうのが怖かったからです。
どちらかと言うと、似たような人と話して悩みを共有したりすることのほうが何倍もタメになるのではないかと思い、堅苦しい講義よりも、もう少しフランクにできるLT(ライトニングトーク)形式にしました。また、仕事終わりに何時間もやるのも疲れるので、なるべく2時間で収めるようにもしました。とにかくサクッと参加できてUXを身近に感じられるような場にできたらと。
イベントの名前はUX JAMにしました。UXに興味ある人がジャムれる(音楽用語)ように、また、UX MILK=牛乳だから朝食つながりでジャム持たせようという、大して意味のないダブルミーニングです。
自分で作ってて「ゆっる!」と思ったのですが、とりあえず一旦それでやってみようと思い、エイヤ!で公開してみると、初日で100人以上応募の大反響で、UXという言葉のバズワードっぷりを思い知りました。当日もご来場いただいた方に話を聞くと、UXのライトな勉強会というのは少ないから、という理由で来られている方も多くいらっしゃいました。
実際問題、LTのテーマなどは「UXに関するものはなんでも」と言ってしまっているので、学びというには難しい物となってしまっていますが、僕が思い描いていた「UXを身近に感じたい」というビジョンにはかなっているように思います。
その後、UX JAMはほぼ毎月開催しており、毎回少しずつ色々なことを試しています。できていないこと、山ほどありますし、まず大人の事情で場所が都心から遠いのはどうにかしなければなりません。
もっと生な体験を
イベントにおける良いUXとはなんでしょうか? 僕は音楽のライブに近いものをイメージしていて、その場でしか体験できない何かがあるから、人は足を運ぶのだと思っています。結局イベントや勉強会というのは人が集まって行うものなので、せっかくだからその場のグルーヴみたいなものを生み出せるといいなと思っています。そしてそれは決して、LTや講義をただただ座って聞くだけのイベントじゃないはずです。
僕はまだまだイベント運営に関しては駆け出しなので、それが結果どんな形式になるのかはまだよくわかりませんが、やりながら考えて、一歩ずつ前に進んでいけたらと思っています。なにかいいアイデアが有りましたら是非話しましょう。
UX JAMが今後そういった場所になれれば嬉しいし、そうやって少しでも皆さんのUXを考えるきっかけになれたらと思っています。
そんなわけでこれからもやっていくので、是非お越しくださいませ(宣伝)。LTの応募も常時受け付けています。
それでは皆さん、少し早いですが良いお年を。
年末はFallout 4のやり過ぎにはご注意下さい(やり過ぎて投稿が遅れたわけではありませんよ)。
あとUX Advent Calendarも面白いのでぜひ覗いてみてください