あなたは「ユーザビリティが担保されていれば、Webサイトのビジュアルは美しくなくてもいい」と思いますか?
Craigslistのように、見た目は味気なくても人気があるWebサイトもあるので、サイトのビジュアルデザインを重視せずにユーザビリティだけに重きを置く人がいます。
魅力的なビジュアルが果たす役割
しかし、「美しさ」も大事な役目を果たしているのです。ビジュアルが魅力的であればあるほど、Webサイトはより効果を発揮します。また、UXはユーザーの感情によって大きく左右されます。ビジュアルに好感を持てた方が、ユーザーはリラックスしてサイトを見ることができるうえに、「このサイトは信用できて使いやすい」と感じることが多くなります。
第一印象で大事なのはサイトの仕組みよりもビジュアルであり、ビジュアルによってユーザーから見たサイトの価値が決まってくるのです。
さらに、Webサイトが美しければ、ブランドや製品、サービスの良さなどのアピールポイントを効果的に見せることもできます。
ビジュアルはなぜそんなに大事なのか?
Webサイトの美しさの効果に関する研究では、「美しさはパフォーマンスを高める訳ではないが、ビジュアルが美しいサイトの方が『使いやすい』と捉えられることが多い」という結論(*pdf)が出ています。
スタンフォード大学の実験
スタンフォード大学は、人が何によってWebサイトの信頼性を判断するかという実験を2,500人を超える参加者に対して行いました。その結果は、ビジュアルデザインの大切さを証明するものでした。
およそ半分の消費者(46.1%)は、レイアウトやタイポグラフィ、フォントサイズや色使いといったビジュアルデザインを基準にしてサイトが信頼できるかどうかを判断していました。(中略)美しいグラフィックデザインは、サイトに足りていない機能を補うわけではありません。それでも、デザインの良さとWebサイトの信頼性は関係しているということが明らかになっています。
また、WebデザイナーのDimitry Fadeyev氏は、優れたデザインが競争においてどれほど効果的かということや、インターネット産業において優れたデザインが大きく貢献したことについて話しています(たとえばFacebookやDiggのように)。彼はこの記事の中で、「フロントエンドのデザインが美しければ、おそらくバックエンドでもすべてが綺麗に整えられているでしょう」と言っています。
ビジュアルについてのデザイナーの意見
Humanの代表的なデザイナーであるDon Norman氏は、「Emotion & Design: Attractive things work better」という記事で、Webサイトの美しさの重要性と、ビジュアルがユーザビリティを高めるということに関して詳しく説明しています。さらに、彼の著作『Emotional Design』ではこの話を深く掘り下げています。
また、Stephen P.Anderson氏はIn defence of Eye Candyで、美しさの重要性についてと、合理的思考がいかに人の感情と密接に関係しているかを語りました。
ビジュアルに関するデザイナーたちの言葉
以下にデザイナーたちの言葉を引用します。
ナビゲーションやインタラクションのデザインを整えるだけでは、ユーザーは最良な選択をできません。ビジュアルデザインが良くなければ、ユーザーは目を向けてくれませんから。
―Jesse James Garrett(UXデザイナー)
ユーザビリティがすべてではありません。仮にユーザビリティだけを重視するエンジニアがナイトクラブを設計したとするなら、そのクラブは席がたくさんあり、バーテンダーの人数も多いでしょう。また、メニューは18ポイントの飾り気のないフォントで書かれていて、トイレは店の奥ではなく目立つ場所に設置されているかもしれません。そんなところに誰が行くでしょうか? そんなクラブに行くぐらいなら、道端のコヨーテ・アグリーに行って、客同士でビールを注ぎ合う方がマシです。
―Joel Spolsky
見た目が楽しいWebサイトは機能的ではないと誰が言ったでしょうか。
―Charles Eames
また、Max Steenbergen氏は「Eye Candy vs. Bare-Bones in UI Design」で以下のように語っています。
見た目の楽しさはユーザーの目線を重要なポイントからそらしてしまう可能性もありますが、要点のみでは魅力的ではありません。(中略)アプリケーションが美しくなければ、ユーザーの関心をより惹きつけるどころか、まず関心を持ってもらうことすらできないでしょう。