ECショップをデザインするとき、デザイナーはどういったことを気にしてデザインをするべきでしょうか。シンプルでおしゃれなビジュアル? それともお得情報を前面に出しますか?
実際の店舗でもさまざまなショップが存在するように、扱う商品やターゲット属性によって、当然ながらECショップのデザインアプローチも変わってきます。
今回はHamee株式会社で運営しているECショップにおける事例を、デザイナーの平山さんにお聞きしました。
平山 智也 氏
Hamee株式会社 デザイン部 UI/UXデザイナー
茨城県神栖市出身。大学では情報学部でデザインコースを選考し、WEBデザインやUI/UXを学ぶ。 学生時代のアルバイトで不動産広告のデザインやweb制作会社のインターン経験を経て、新卒でHameeに入社。現在はEC店舗のUI/UX改善、販促企画などのコンテンツデザインに携わっている。
同じ商品でもターゲットによってショップごとに変える
Hamee株式会社でデザイナーをやっている平山です。今回は弊社で運営しているECショップの事例と、デザインにおいて気をつけていることを中心にお話したいと思います。
弊社ではスマートフォンケースやストラップなどのグッズやアクセサリーを扱う店舗を国内外で40店舗運営しています。
そのうち、日本では15店舗ほどを運営しており、ターゲット層を絞らないフラッグシップ店と呼ばれる「本店」「楽天市場店」「Yahoo!ショッピング店」をはじめ、10代〜20代をターゲットにおいた「Ketchup!」、かわいい小物雑貨が好きな女性向けの「Kawaii館」、メンズ向けの「Hamee TV」「iPlus」といったコンセプトショップなども展開しています。
同じスマートフォンケースという商品でも、店舗それぞれのターゲットにあわせて見せ方や切り口を変えてアプローチして、ユーザーの間口を店舗単位で広げています。
今回はその中でも若い女性をターゲットとしたコンセプトショップである「Ketchup!」でのデザインで気をつけていることをご紹介したいと思います。
事例:若い女性向けのECショップにおけるデザイン
30〜40代の主婦層のユーザーが多い「楽天市場店」に対して、10〜20代のオシャレに敏感な若者向けにオープンしたのが「Ketchup!」です。
1.ファッション雑誌のようにコンセプトを細かく詰める
若い女性にとって、スマートフォンケースはグッズというよりも「ファッションの一部」です。そう考えたとき、ファッションと一言で言ってもさまざまな系統があります。
たとえば、弊社で女性向けに展開しているショップには「Kawaii館」と「Ketchup!」になるのですが、それぞれ「フェミニン系」「キレカジ系」といった感じで、ファッションの中でも細かいテイストや嗜好の違いがあります。
ユーザーが好む世界観やコンテキストを細かく分析し、全体のイメージ戦略やデザイントーンを決めています。
2.文字情報は極力少なくする
従来のショップではケースの細かい仕様や機能などを推すような商品でも、「Ketchup!」では情報を極力減らしています。10〜20代の女性は世代的にごちゃごちゃしている情報を好まず、雰囲気やビジュアル重視で購入を決める傾向にあります。
ほかのショップと比べてシンプルでスッキリしたサイト構成にして、ファッション雑誌のように、気軽に見ることができるような形を意識しています。
3.商品そのものよりも使っているシーンを演出する
スマートフォンケースのショップでは、商品のアップ画像がメインであることが多いのですが、「Ketchup!」ではモデルさんのイメージカットを積極的に取り入れ、ユーザーが持っている姿をイメージしてもらえるようにしています。
服やアクセサリー、バッグなどを商品と一緒に写すことで、ユーザーがコーディネートを想像できるようにし、実際に使っているさまざまな使用シーンを見せてあげることで、ユーザーのライフスタイルにフィットするということを伝えられるようにしています。
多店舗展開だからできるさまざまなテスト
上記の「Ketchup!」の事例は若い女性向けの事例なのですが、実はフラッグシップ店である「楽天市場店」でも似たようなトレンドがあります。
楽天市場のショップサイトというと、情報を詰め込みがちなサイト構造を想像すると思うのですが、弊社のショップではもっとシンプルなデザインを採用してみています。
「Ketchup!」同様、若い人はあまりごちゃごちゃしたデザインを好まない、というインサイトがあったのでトライアルで半年程度運用しているのですが、結果として従来のデザインのときと売上がほぼ変わらないということがわかりました。
この楽天市場の例のように、ショップ自体のスタイルや作法に従うだけではなく、ユーザーの求めているトレンドや体験に対応させていくことも重要だと感じています。
このようなトライアルをはじめ、HameeのEC店舗に関わるデザイナーは、ショッピングモールの特性とそれぞれの店舗がもっているコンセプトをきちんと理解した上で、バナーやページ、サイト設計を行う必要があります。
私自身、複数の店舗のデザインを担当しているので大変な部分もありますが、それぞれのコンセプトショップで得た知見をほかの店舗に横展開したり、小さいデザイン施策の積み重ねでショップを育てています。
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平山さんは「Ketchup!」以外のショップのデザインもすべて担当しており、デザインに対する効果検証やABテストなどもマーケティングチームと積極的に行っています。最近では商品のブランディングを意識したブランドページをプロデュースすることもあるそうです。
そんな平山さんのチームではデザイナーを募集していますので、興味をお持ちの方は下記ページもチェックしてみてください。
提供:Hamee株式会社
企画制作:UX MILK編集部