UXとCXの違いと共通点

Caroline White

CarolineはCareerFoundryの卒業生です。彼女はニュージーランドでUXのアナリストをしており、UXや問題解決、そして人が大好きです。 。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Do Not Confuse User Experience With Customer Experience

顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)は、現代のビッグビジネスです。Forresterは、顧客体験が良いと、顧客は4.5倍も多くお金を払うと主張しています。

さらにForresterは、優れた顧客体験を提供する企業は、それを考慮しない企業に比べて格段に早く(5倍速で)成長すると言っています。

しかしCXとは何でしょうか? そして、UX(ユーザーエクスペリエンス)とはどう違うのでしょうか?

私がCareerFoundryでUXデザイン学んだときに知った重要なことは、摩擦のないデジタル製品を作成することでした。つまり、ユーザーを喜ばせるデザインをすることです。しかし、UXデザインの裏にある原理や心理学は、ほかの多種多様なオンライン、オフラインのインタラクションにも適用することができます。

これこそが混乱を招く要因です。私は以前、顧客体験や顧客分析、デジタル体験をテーマに、オークランドで2日間に渡って開催された『Customer 3.1』に出席しました。しかし驚いたことに、このとき専門家でさえもUXとCXを混同していたのです。

イベントである発言者は、UXとCXという用語は単純に区別せずに使うことができると言いました。実際にオーストラリアを始めとするいくつかの地域では、意味の区別なく使われているようです。

しかし私は、公平な調査結果から、UXとCXには明確な違いがあると主張します。以下ではその違いを紹介します。

UXとCXの起源

UXという言葉が生まれたのは90年代です。Don Norman氏がAppleの製品デザインチームの副代表を務めていたときに、この言葉を作りました。彼のコンサルタント会社であるNielsen Norman Groupは、UXを次のように定義しています。

UXとは、エンドユーザーが企業やそのサービス、製品とインタラクションをするすべての側面である。

ではCXとは何でしょうか? CXは比較的新しい用語です。先ほどのイベントの責任者、Service Design NZのTony Hillson氏は、CXの原理は誕生してから12年しか経っておらず、ここ6~8年の間で広く認知されるようになったと言いました。サミットで私がCXの話題を出したときも、顧客体験の専門家の中には、中身を理解していない人がいました。彼らが知っていたのは、顧客体験という名前だけでした。ForresterはCXを次のように定義しています。

CXとは、顧客が企業とのインタラクションをどう認知するかである。

この時点で、1つの大きな違いが浮かび上がりました。UXはエンドユーザー、すなわち製品やサービスを使う人間に焦点を当てます。それに対してCXは顧客に注目するものです。顧客も製品やサービスを使うことは良くありますが、彼らはほかの人のために製品を購入しているかもしれません。

たとえば大企業の最高情報責任者(CIO)は、会社の最前線に立つすべての社員が新しいアプリケーションを使うのを承認するかもしれません。この場合、CIOは顧客で、社員はユーザーです。契約にサインするCIOにとっては、素晴らしい顧客体験が必要ですが、最前線の社員にとってはアプリケーションを楽しむこと、すなわち優れたユーザー体験が必要です。CIOがしっかり選定すれば、社員も確実にアプリケーションのUXを素晴らしいものだと体感できると主張する人もいるでしょう。しかし、これは必ずしも事実ではありません。

UXとCXの間の5つの明確な違い

先の違いを念頭に置き、ほかの一般的な違いを挙げましょう。

  1. CXの専門家はマーケティングがバックグラウンドであることが多いです。それに対してUXの専門家は技術やデザイン、心理学などのさまざまなバックグラウンドを持ちます。
  2. CXの専門家は主に、広告やカスタマーサービスの向上、強力なブランドを作り上げることで利益を増やすことに焦点を当てます。UXの専門家もこれらの点を踏まえる傾向にありますが、UXの場合はそれを達成するための最初の手段として、ユーザビリティに焦点を当てます。
  3. CXはブランドのすべてのチャネルを含む、包括的な体験に着目します。それに対してUXはより具体的で、特定のアプリやWebサイトに焦点を当てる傾向にあります。
  4. CXという言葉は伝統的に、接客業や小売業などのサービス関連の産業で使われ、これらの産業ではサービスマップやロイヤリティ戦略などのアイデアを実行してきました。一方でUXは、デジタル製品の話題で使われることが多いです。
  5. CXの業務では、多くの人々にアンケートを取って、製品やサービスに対して彼らがどう考えているか明らかにする傾向があります。一方でUXではより小規模の集団に焦点を当て、彼らを深く理解することを重視します。

しかし大きな共通点も存在する

状況に余裕がないときは、どちらの分野も、より良い体験と価値を提供しつつも、最終的には利益を増やすために、自分たちが行うことに、人々や調査を合わせようとします。

また私たちは、オムニチャネルの世界に突入しようとしています。オムニチャネルの世界とは、人々が、ブランドのWebサイトやアプリ、物理的な店舗のすべてのチャネルを通じて途切れることのない体験を期待する世界です。IoT(Internet of Things)が日常生活の一部になり始めたことで、2つの分野はより密接になっており、個別で考えるべきではありません。

たとえばLowes Innovation Labsは、HoloLensを使ってDIYを行う方法を人々に紹介しました。HoloLensで使い方を見た人の内、36%もの人が、使い方の動画を見たときよりも良く記憶できたという結果を示しました。実店舗でこのように使い方を紹介することは、旧来的にはCXの分野です。しかし、HoloLensは技術的な製品でもあるので、UXの領域でもあります。

さらに、T字型人材で、幅広いスキルを持つ人を雇用する傾向が企業にはあります。これは、大きなビジョンを描くことができるUXの専門家のほうが、そうでない専門家より成功する可能性が高いことを意味します。

結論

CXとUXにはいくつかの違いがありますが、テクノロジーが私たちの日常生活に溶け込むにつれ、2つの分野は1つにまとまっていくでしょう

UXの専門家として最先端を往くためには、アプリやWebサイトの仕事だけでなく、顧客に関する包括的な収益構造も考慮しなければなりません。

今後CXとUXが統合されるのは避けられません。来たるその日のために、一段階高いレベルの仕事をし、ただユーザーことだけを考えるのではなく、自分を「エクスペリエンスマネージャー」と見なしましょう。

いつの日か、製品にインタラクションする優れた体験を提供している限り、自分のことをどのように呼称しようとまったく問題ない日が訪れるでしょう。すべての顧客とのタッチポイントが、衝突がなく、最適なものであるように、組織のすべての領域が手を取り合うことが必要です。そしてもちろん、タッチポイントは、競合が提供している製品よりも上を行くようにしましょう。


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