アプリで新しいジェスチャーを使うときのポイント

Sean McGowan

SeanCodalの技術ライターおよびリサーチャーです。UXデザインからIoTまで、様々な話題のブログを投稿しています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

So You Have A New Gesture (2017-05-24)

ジェスチャーはモバイル開発において避けられない要素です。かつてジェスチャーは、Appleが考案したタッチスクリーンの新しい手段でしかありませんでした。しかし現在、ジェスチャーはボタンに取って代わる存在になりました。スワイプやタップ、ドラッグこそがデバイスとインタラクションする方法なのです。

また、ジェスチャーは矛盾を抱えた性質を持っており、モバイルのUXデザインの中でも興味深いコンセプトの1つです。正確には、ジェスチャーは慣習として決まっているものではありません。たとえばスワイプは、あるアプリと別のアプリでまったく異なる機能を持っていることがあります。しかし同時に、ジェスチャーは直感的で、ほとんど世界共通のものでもあるのです。

世界中の人を対象に行われたアプリのジェスチャーについての調査は、9,000以上のジェスチャーが収集されました。この調査における興味深い結論は、ジェスチャーは国籍を越えるというものです。たとえば何かを「消去する」というタスクは、すべての文化においてスクリーンからドラッグして消すという動作で行われました。

しかし世界的な共通性がある一方で、依然として多くのモバイルアプリでは、ジェスチャーの方法を教える必要があります。これは、そのジェスチャーが一般的かどうかに関わりません。Tinderというアプリは、片手でスワイプをするジェスチャーを文化意識の中に浸透させました。しかしTinderでさえも、初めて訪れたユーザーには簡単なチュートリアルを提示しています。

Tinderのポップアップによるチュートリアル(ソース:Tinder

たとえば、ある新しいジェスチャーがあるとします。スワイプかピンチ、傾ける動作と、スマートフォンを振る動作を組み合わせたものとしましょう。恐らくまったく新しいジェスチャーです。しかし、実際のメカニズムに関わらず、このような普段使われないジェスチャーを採用することは難しいです。

そこでこの記事では、新しいジェスチャーをアイデアから実装に移すためのガイドラインを紹介します。

リスクを理解する

実行に移す前に、新しいユニークなジェスチャーをモバイルアプリに採用することの利点とリスクを理解することが重要です。

ジェスチャーがとても人気なのは、現実世界のようにインタラクションすることができるからです。バーチャルの世界に物理的な要素をもたらし、混乱しやすいデジタル世界に親しみやすさを与えます。

このため、ユーザーは自然なジェスチャーで操作するインターフェイスに惹かれます。ボタンを使わないので、アプリのUIが整然としたものになります。また、私たちの直感に訴えるので、アプリケーションが楽しいものとなり、ときには、UXデザインの難しい問題を解消してくれるでしょう。

ユーザーが見たことのないジェスチャーであっても、ユーザーが使うことができるものであれば、ユーザー体験を格段に向上できる可能性が高いのです。

しかし、これはあくまで空想上の話で、親しみが薄い、見たことのないジェスチャーを使うことにはリスクを伴います。ジェスチャーは学習曲線と共にあります。ジェスチャーが複雑かつ見慣れないものであるほど、学習しにくいものになります。

共通のジェスチャー(ソース:Julian Burford氏)

ユーザーは学習を嫌い、直感的でシームレスに使えるアプリを好みます。長々としたチュートリアルや入り組んだジェスチャーは、単にストレスの原因となるだけです。結果的にユーザー体験も良いものにはなりません。たとえ印象的な機能のためのジェスチャーであっても、ユーザーが使えないのであれば意味がありません。

実装する前に、ジェスチャーが有効であるかどうか確かめることを強くおすすめします。テストを行わなければそのジェスチャーが吉と出るか凶と出るかわからないでしょう。しかし、リサーチに時間と資金を投じる前に、本当にこのギャンブルをする準備ができているかどうか自問してください。

ジェスチャーを実証する

次はアプリの開発チームがプロトタイプ、または忠実度が高いワイヤーフレームを作成する段階です。完成品である必要はありませんが、ジェスチャーを実装できる程度にはインタラクティブにする必要があります。これによって、ユーザーテストを通した実証が可能になります。

ユーザーテスト(ソース:The Next Web

ユーザーテストはUXデザインのあらゆる側面において欠かせません。ユーザーテストは、選択されたデザインが正しいものであり、もっとも関連性のあるフィードバックのソースを確認するための唯一の手段です。どんなアプリにとっても、ユーザーこそが生命線です。ユーザーからの支持がないと、アプリは確実に失敗してしまいます。

このことは、新しいジェスチャーのような、予測できないものほど当てはまります。新しいジェスチャーが使いやすく、ユーザーが受け入れやすいものかどうか確かめるために、さまざまなモバイルのユーザビリティテストが利用できます。その中でも、UXデザインの会社にとってもっとも一般的な手順は、次のようなものです。

  1. 新しいジェスチャーを使ったタスク一覧を作成します。
  2. テストで、そのタスクを実行するようユーザーを促します。このとき、スクリーンレコーダーとデータ収集プログラムを使って、タップやスワイプなどのジェスチャーを記録します。
  3. 記録が取れたら、ジェスチャーについての意見をユーザーに尋ねます。簡単に実行できましたか? 直感的でしたか? 楽しかったですか?

この戦略が有効なのは、2方向から検証できるためです。初めに、UXリサーチャーは単なる観察者として参加し、製作者が干渉しないアプローチを取ります。これによって、ユーザーはサポートのない状態でアプリに集中することなり、自然な環境で操作することができます。

次に後半では、より直接的なアプローチが用いられます。タスクを終えたあと、観察者はアプリやジェスチャーについて感じたことについて、ユーザーに質問します。

2方向からのテスト手法は、ジェスチャーを実証するためのもっとも効率的な方法の1つです。ユーザーから好意的な反応が得られれば、実装の段階に進むことができます。好意的でないなら、アイデアの段階まで戻るか、もしくは単純により一般的なジェスチャーを使用するべきでしょう。

次の段階に進めるために

新しいメカニズムをスムーズに導入することは困難です。そのため、ユーザーから好意的なフィードバックを得ることができたとしたら、素晴らしいことです。しかし、まだやるべき作業は多く残っています。もう1つ別のUXの問題に対処する必要があるでしょう。それは、新しいユーザーにジェスチャーとその機能を教えることです。

ジェスチャーを教えるというトピックだけでも、今後たくさんの記事で取り扱われるに値するものでしょう。しかし、これがUXデザインの本質なのです。ユーザー体験とは、終わりの見えないものです。アプリのあらゆる要素が含まれた、あらゆる部分を集約したものです。

ジェスチャーはときに上手くいかないこともあるでしょう。しかし、ユーザーテストを重視するUXデザインの会社がバックアップすることで、ジェスチャーによって、ユーザーに機能性や楽しさ、素晴らしい体験を提供することができます。