ケーススタディ:SoundCloudのモバイルアプリ

Sean McGowan

SeanはCodal社の技術ライターおよびリサーチャーです。UXデザインからIoTまで、様々な話題のブログを投稿しています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

UX Case Study: SoundCloud’s Mobile App (2017-11-09)

Spotifyの台頭に伴い、AppleやAmazon、GoogleなどのIT産業において名高い企業も音楽ストリーミングに参入しています。そのため、音楽配信とストリーミングのパイオニアであるSoundCloudについては忘れられがちです。

SoundCloudは音楽プラットフォームの草の根活動と言えるサービスです。独立したアーティストやクリエーターに支えられており、インディーズや未契約のアンダーグラウンドな音楽を保有しています(1億7,500万人の月間リスナーを抱える規模のアンダーグラウンドさですが)。

SoundCloudのモバイルアプリ

その特性から、SoundCloudのモバイルアプリは競合製品にはない複雑さをいくつか抱えています。Apple MusicやSpotifyでも新しい音楽の検索をユーザーに勧めますが、SoundCloudでは、新しい音楽を検索してもらうことは絶対条件となります。なぜなら、このプラットフォームにはKaty PerryやKanye Westなどの有名アーティストはいないからです。そのため、音楽を聴くためには見つけることが不可欠になるのです。

主要な音楽ストリーミングサービスとして、SoundCloudは間違いなくダークホースなので、CodalのUXケーススタディシリーズの候補としてもってこいです。ですのでSoundCloudのユーザー体験に飛び込んでみて、何が良くできているか、どこを改善できるか、その成功と失敗から何を学べるかを見ていきましょう。

オンボーディング

SoundCloudのアプリをタップします。すると、すっきりとして見た目がきれいなサインアップページが表示されます。すると、すぐに押し付けがましいポップアップが邪魔して通知を可能にするよう要求します。

このポップアップが必要悪なことはわかっていますし、全体的な体験からすれば小さな欠点に過ぎません。しかし、このようなユーザー体験上の過ちは、いつも私をイライラさせます。私はSoundCloudを一切使ったことがありません。なぜアプリは、このリクエストからユーザー体験を開始したのでしょうか? まだアプリの価値を何も明示していません。

通知を要求する際は、チャンスに気付くことが不可欠です。いくつかのトラックを聞いたあとでこのポップアップが表示されれば、より受け入れやすくなったでしょう。

たしかあるアーティストの曲目の中から3つほど聞いたあと、「このアーティストが新曲を投稿したら通知を受け取りたいですか?」というポップアップが表示されました。小さなことですが、さっき言ったようにイライラします。

暴言を吐きながらポップアップを消します。すると典型的なサインイン画面が表示されました。SoundCloudは、アカウントと非アカウントの2つの道筋を提供していますが、後者よりは前者の方を勧めています。私はそれに従って、「アカウントを作成する」ボタンをタップします。

SoundCloudはアカウント作成プロセスの慣例を忠実に守っており、FacebookやGoogle、または一般的なメールアドレスでのサインアップが可能であることを提示しています。私は3番目のオプションを選択します。問題なくメールアドレスとパスワードを入力したあと、年齢と性別を入力する画面に移動しました。

なぜこの情報が必要になるのか、SoundCloudは説明していません。私が思うには、分析に使用するか、自分への音楽のおすすめを集約するためでしょう。デフォルトのテキストから判断すると、年齢認証が必要なアプリのようにも見えます。

私は年齢と性別を提供することにしました。利用規約に同意して、オンボーディングのプロセスは完了です。全体的にシンプルかつ簡単で、特に面白みはありません。こういうものだろうという感じです。

ホーム画面

SoundCloudのUIはカードをベースとしたミニマリストの構図を巧みに採用しています。アルバムアートやプロフィール写真のような、より目立つビジュアル要素を強調するというものです。柔和なイメージのフォントを選択することで、インターフェイスに温かく歓迎的な印象を吹き込んでいます。

私はSoundCloudがフォローベースモデルを使用しているTwitterからヒントを得ていることを知っています。なので、最初の画面は誰をフォローするか、またどの音楽を見つけるかというサジェストが表示されると予想していました。しかし、SoundCloudは曲を表示するのではなく、特に良く聴かれているユースケースをまとめた2つのプレイリストを提案してきました。

これら2つのプレイリストをファーストビューに表示することは、何も悪くありません。しかしそこからスクロールダウンをしても、ユーザーが積極的に音楽を見つけられるような仕組みが見つけられません。ジャンルの選択、アルゴリズムや質問表など、ユーザーの音楽の好みに合わせておすすめを提案するようなものはありません。

最終的に、私が「いいね」をしたトラックに基づいて、ホーム画面上でおすすめが表示されました。しかしアーティストを発見する手助けになるような、確実な出発点はありません(検索機能を除いて、これから見るものが決定的に欠けています)。これはアーティストを生命線とするプラットフォームとしては問題です。アーティストは見つけてもらう必要があり、ファンもアーティストたちを見つけたいからです。

画面の下側には、4つのアイコンが表示されたシンプルなナビゲーションがあります。ホーム、稲妻(それが何を意味するにせよ)、検索機能、そしておそらくプロフィールのようなものです。

これらのアイコンはそれぞれ掘り下げて調べてみますが、今言えるのは、検索機能を画面の上側という典型的な位置ではなく、画面の下側に配置しているのは面白い選択だということです。特に、画面の上の部分が空いている場合には、弱々しい「Home」というラベルが表示されています。

ナビゲーションバーを系統的に見ていく前に、どんな音楽ストリーミングアプリにおいても要石となる機能、プレイヤーを調べていきましょう。

プレイヤー

Apple MusicやSpotifyのような人気ストリーミングアプリのプレイヤーを追跡していくと、興味深いデザイントレンドが見えてきます。ビジュアルを明らかに重視しているということです。ビジュアルを重視するということは、オーディオベースのアプリにとって本質的にやや非直感的です。大抵の人は、画面の大部分がさまざまな再生機能に使用されることを期待するでしょう。

SoundCloudは、ビジュアル優先のアプローチを極限まで活用しています。個人的な好みの問題ですが、利便性を犠牲にしてでも(右下の「3つのドット」のボタンの中に、3つの重要な機能が控えめに押し込まれています)アルバムアートに最大限の重点を置いたこの作りを私は大好きです。

しかしその斬新さの一方で、SoundCloudのプレイヤーはボタンの代わりにジェスチャーに頼ることで、何とか機能性を維持しているように見えます。画面上のどの部分においても、タップで再生/一時停止を行えます。また横方向のスワイプが、スキップや戻るボタンの代用となっています。

タップとスワイプのジェスチャーが、従来の再生ボタンの代わりになっています。

共有ボタンが優れているのも好意的です。SoundCloudは発見することが目的の製品です。そのため、友人グループ内の流行を作り出す人や再生している最新のトラックをつねに見せたいという人々にとっては良いものです。

私がさらに感動したのは、名高いクラウドの機能です。伝統と創造性の絶妙なバランスの上で成り立っています。理解するのに十分シンプルで使いやすく、従来のドットのスライダーのように使えます。また音楽の実際の波形も表しており、音楽のどの部分が音が大きく、あるいは小さくなるのかがわかりやすいです。そのため、曲中のお気に入りの部分をスムーズに探すことができます。

検索&ストリーミング

SoundCloudのアプリの核心は成功していると主張してきました。しかし、もう1つの主要な機能である検索機能については、音楽プレイヤーとして完全に失敗しています。このアプリにおける見つけやすさの重要性を繰り返してきましたが、SoundCloudのデザイン方法から見ると、検索機能は見つけやすさというゴールを共有できていません。

第一に、キーワードに忠実すぎます。たとえば「ヒップホップ」など何かお気に入りの音楽ジャンルを検索する場合、SoundCloudは曲のタイトルにヒップホップとあるものだけを結果に表示します。私が探しているジャンルに最適な結果は得られません。

これに加えて、ユーザーがスペルミスをしても検索機能は何もフォローせず、「もしかして…」機能や、サジェストの表示などはしてくれません。SoundCloudでもっとも人気があるジャンルがEDMとヒップホップ、また知名度があまりないアーティストであることを考えると、これは特に致命的です。全体としてSoundCloudの検索に関するユーザー体験は、非常に期待はずれなものでした。

「ストリーム」タブ(ナビゲーションバーの稲妻アイコンです)は、標準的なソーシャルメディアのフィードのようなものとして働きます。私がフォローしているアーティスト(今は1人だけです)が彼らの曲やほかのアーティストの曲を投稿・再投稿したりできます。

カードベースのデザインを忠実に守っているため、ユーザー体験を大きく逸脱していることはないように見えます。しかしCodalのあるデザイナーが、いくつかのバグを発見しました。もっとも顕著なバグが、再投稿ボタンが必ずしも機能しないようであるという事実です。私もバグを再現しようと試したところ、同じ現象を発見しました。再投稿のボタンを押し、プロフィールに戻って見てみましたが、何も表示されませんでした。

まとめ

私たちはこれまで、このUXケーススタディの中でたくさんの領域を見てきました。しかしアプリの中には、まだ追及しきれていない側面がいくつかあります。たとえばプロフィールページでは、一風変わった機能が見つけにくいメニューの中に隠れています。驚きの展開です。ここで私は、ユーザー943996126だったことが判明したのです。

奇妙なデザインのプロフィールページ

いくつかのゲリラ調査(私たちのUXデザイン制作会社にいるSoundCloudユーザーに聞いてみたものです)と私のアプリのレビュー調査に基づくと、SoundCloudのアプリはWebのインスタンスとモバイルのインスタンスのズレに悩まされているようです(Webサイトの方で何か投稿しても、アプリの方では表示されないのです)。同様に、通知に関するバグもいくつかありました。

まとめると、SoundCloudは実際の音楽プレイヤーとしては成功しています。またUIの全体的な見た目も良くできています。しかしほかの主要な機能となると、特に検索機能について、ユーザー体験が完全に失敗しています。すでによく知っている音楽を聞きたいと思ったとき、アプリはその希望にぴったりと沿うべきです。しかし音楽の次なる目玉を見つけることに関しては、SoundCloudのWebサイトから目が離せません。

*この記事のすべてのスクリーンショットは、SoundCloudのアプリを使用中に撮影したものです。


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