UXデザイナーの転職事情:これからのデザイナーに求められること

三瓶 亮

1983年東京生まれアメリカ育ち。ガラケー時代からモバイルコンテンツの企画・デザインなどに従事。現在はUX MILK編集長/プロデューサーとしてメディア、イベント、関連サービスなどの企画やデザインをしている。パンクロックとゲームが好き。Facebookはこちら

UX MILK編集長の三瓶です。UX MILK関連のデザイン全般手掛けているので、そろそろ「UXデザイナー」と名乗ってもいい気がしてきている今日この頃です。

さて、今回は「UXデザイナー」のキャリアにまつわる話です。「UX」という言葉や「デザイン」の定義というのは実にあいまいなものですが、そんな中、私たちはそれをどう生業としていけばよいのでしょうか?

そこでデザイナーの転職事情に詳しいクリーク・アンド・リバー社の吉田氏にインタビューをしてきました。

登場人物
クリーク・アンド・リバー社 吉田 悠平 氏
UX MILK編集長 三瓶 亮

左:クリーク・アンド・リバー社 吉田氏、右:UX MILK編集長 三瓶

UXデザイナーの需要は高まっている

三瓶:まず簡単に吉田さんが何をされているのか教えてください。

吉田:クリーク・アンド・リバー社でITクリエイターを専門とした人材紹介部門でプレイングマネージャーをしています。会社を離れてふらふらしてたこともあるんですが、その期間を抜いて11年、エージェントの仕事をしています。

三瓶:ありがとうございます。では、最初にエージェントから見たUXデザイナーの転職市場についてお聞きしたいです。UX関連の求人は徐々に増えてきている感覚はあるのですが。

吉田:感覚的には4年ぐらい前からUXという言葉が企業さんの中でも広まり始めていて、少しずつUXデザイナーの需要は高まっていると思います。

あとはUXデザイナーという職種の求人ではなくても、企業さんに求人内容を聞いていくと「UXの領域の仕事だよね」みたいなものが結構あり、こういった求人も含めると、数としては多くなっているなという印象があります。

三瓶:「UXデザイナー」と堂々と書いてある求人はそこまで多くないですよね。

吉田:そうですね。「UXデザイナー」という単語が入ってないから、求人検索には引っかからないけど、まさにUXデザインという求人もあったりするんですよ。たとえば、データアナリストという職種で入っていたりしますね。

三瓶:データに基づいたUXデザインっていうイメージですよね。

吉田:なので、求職者の方には、「あなたの武器はここだから、UXデザインの中でもこういった求人はどうですか」と提案したりします。こういった話ができたり、自分で求人サイトを検索しても出てこない求人に出会えるのは私たちエージェントのメリットかなと思いますね。

三瓶:なるほど。もう少し具体的に仕事内容についてお聞きしたいのですが、実際にはどのような求人が多いですか?

吉田:既存サービスをUXの観点からグロースさせて欲しいという内容が多いという印象があります。

三瓶:いわゆるグロースハッカーのような感じですかね。

吉田:そうですね。また、入社されてから部署移動で新規サービスに関わることになったという方も結構いらっしゃいますね。

三瓶:基本的にはWebやアプリ系の求人が多いですか?

吉田:そうですね。一方で、とあるメーカーさんから「家電のUXデザインをできる人が欲しい」と相談を受けることもあり、「UXデザインが大事だよね」という流れが世の中に広がりつつある気はします。

今後は、IT業界から外に出てキャリアをチェンジするというケースも増えてくるのではと思います。

UXデザイナーのキャリアパス

三瓶:UXデザイナーは比較的新しい職種ということもあって、キャリアパスが描きづらいと思うのですがどうでしょうか。

吉田:UXデザイナーという職種の歴史がまだ浅くて「こういうキャリアパスが既定路線」というのがまだありません。なので、ご自身で道を切り開いていく必要があるし、私たちもそのサポートをしていきたいとは思っています。

三瓶:やっぱりそうですよね。

吉田:ひとつのゴールとして、UXの知見を活かしながら「プロダクトをゼロから作る」「事業をひとつ立ち上げる」といったことはあるのかなと思います。

三瓶:なるほど。いまUXデザイナーとして働いている人は30~40代が多い印象なのですが、50代になったときにUXデザイナーはどうなっているんだろうという疑問はあります。

吉田:事業の最前線でプレイヤーとして活躍する方もいる一方で、デザインチームのマネジメントのトップだったりとか、デザインの重要性を社内に啓蒙するポジションみたいな方もいらっしゃいますね。組織の中だと、そういったラインに乗っていくのではないかなと。

三瓶:マネジメントラインに乗っていくということですね。

吉田:あとは収入面とかを気にしなければ、地域コミュニティの活性化に携わるという選択肢もあると思います。UXデザインにはコミュニケーション力が求められると思うので、それを活かしてコミュニティデザインをしていくというキャリアですね。

三瓶:少ないですが僕の周りにはいますね。UXデザインをしていて、その知見を活かして地元の地域活性化に携わるみたいな。

吉田:Uターンしたいとか、地元に帰ってなにかやりたいと考える方は増えてきてる気がするんですよね。なので、そういったキャリアもあるかなとは思います。

デザイナーの給与低い問題

三瓶:これはデザイナー全般の問題として言えることなのですが、給与が低いというのがありますよね。

吉田:あると思います。特に最近はバナー制作やUIデザインを外注でオフショアに依頼したりすることも増えているので、価格的な視点で考えると給与は上がりにくいですね。

三瓶:そういった意味だとUIデザイン専門という人に未来はありますか。

吉田:難しい質問ですね。エージェントとしては話づらいですけど……。

三瓶:そうですよね(笑)。

吉田:UIデザインやビジュアルデザインに特化してやり続けるのは、キャリアを考える上では場合によってリスクだとは思います。単純にパーツやビジュアルを仕様通り作るだけなら安いオフショアがありますし、これからはAIが作れるようになるかもしれないので。

三瓶:個人的にも、デザイナーは情報設計やUXデザインにもっと関わっていった方がいいと思っているんです。オペレーション特化のUIデザイナーは将来安泰とは言えないかなと。

吉田:そうですね。なので、情報設計も勉強したり、データ分析をできるようになったりといったことはキャリア形成の上で必要かと思いますね。

UXデザイナーに必要なのは巻き込み力

三瓶:これからUXデザイナーになるにあたって、UXデザインの実務経験は必要ですか? たとえば、いわゆるカスタマージャーニーを描くだとか、UXデザイン手法を扱った経験など……。

吉田:ないよりはあった方がいいですが、必須ではないですね。会社さんによっても求めるレベル感やスキル要件が全然違うので、実務経験を必須としない企業さんはいます。

三瓶:エージェントをしていて、UXデザイナーに求められるスキルの中で特に必要だと思うところってありますか?

吉田:ありきたりではありますが、巻き込み力は必要とされるかなと思っています。関係者を巻き込むことができて、着地させたいゴールに向かって議論を持って行けるファシリテーション力があるといったところですね。

UXデザイナーは仕事をする上で関係者が多いはずなので、どの企業さんもやはりそこはベースで見ていますね。

三瓶:巻き込み力があるかどうかは、どういったところで判断するのですか?

吉田:ストレートに「主体的に人を巻き込みましたみたいなエピソードありますか?」とお話を聞いたりしますね。そういったエピソードがなかったとしても、職場での役割、仕事の進め方などをけっこう深くいろんな質問から聞き出します。

そういう会話の中で本人も気づかなかった能力、例えば「それって巻き込むのがうまいってことですね。それアピールポイントですよ!」っていう気づきを与えてあげることができます。こういうのもエージェントを利用するメリットですね。

データ分析ができるUXデザイナーの需要が高い

三瓶:ではコミュニケーション力は前提として、それだけでUXデザイナーになるのは難しいですよね?

吉田:それにプラスアルファでどういった経験を積んでいるかは大事ですね。ビジュアルデザインが得意であったり、リサーチが得意であったり、フロントエンド開発ができるであったりといったアピールですね。

三瓶:こういった得意分野や専門領域をもっている人の需要が高いというのはありますか?

吉田:データ分析ができるUXデザイナーは、いま少ないので需要は高いです。

三瓶:なるほど。自分でSQLを叩いてデータ持ってこれますとか、Pythonでデータ分析できます、みたいな人ですかね。

吉田:まさにそうですね。一方で、バックグラウンドがUIデザインという人は数が多いので転職するときの競争率は高いです。Webデザイナーからキャリアを始めて、UXデザイナーになりましたという順番の人が多いので。

三瓶:ビジュアルデザインができるUXデザイナーの方は多いですよね。ほかにポイントはありますか?

吉田:いままでUIデザインしかやってきませんでしたという方だと難しいですが、データ分析まで手を広げて「分析の上で、UIを変えたいです」と提案できている方は良いですよね。

ひとつのことを深く追求するのも良いと思うので、難しいところではありますが。

三瓶:ただUXデザインを今後やりたいのであれば、もうちょっと殻を破っていくことも必要だってことですよね。

吉田:そうですね。UXデザイナーを目指したいのであれば、ほかの職務領域も気にして欲しいところかなと思いますね。

UX関連の仕事を探すポイント

三瓶:最初のほうでも少し触れたのですが、UX関連の仕事を探すときのポイントはありますか?

吉田:UXデザイナーは職務領域が広く、なおかつ企業さんによって必要とされるスキルも違います。そのため、その企業さんが重視しているスキル・経験や求めている役割と、自分がこれからやっていきたい方向性が合っているかを見極めるのが大事です。

三瓶:ほかの職種と比べても自分にフィットした求人を探すのが大変そうですね。

吉田:大変だと思います。また、先程の話にもありましたが、UXデザイナーという職種で求人サイトで検索してもなかなか出てこなかったり、良い求人を見落していることも多いはずです。職種名も企業によってさまざまですし。

三瓶:実際、求人サイトで探しても「UI/UXデザイナー」となっていて、UXデザインの仕事がどの程度の割合かはわからなかったりしますよね。

吉田:そうですね。なので、私たちエージェントは求職者の希望条件や今後の働き方、価値観などお聞きした上で、UX関連の仕事をピンポイントでご案内しています。これは、エージェントの強みかなと思います。加えて、弊社はクリエイティブ専門でやっているので、「UIとUXがごっちゃになってる」みたいなエージェントはいません(笑)ちゃんと会話ができます。

また、エージェントの場合は、書類作りのアドバイスから始まり、求人応募の手続きから面接のスケジュール調整、条件交渉まで全部代理で行うので、あまり工数をかけずに転職活動ができるのはメリットかなと思います。

三瓶:中身の見えづらいUX系の職種だからこそ、エージェントさんに相談してみるというのは選択肢としてアリですね。本日はありがとうございました。

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今回は、主にUXデザイナーの転職についてのインタビューでした。この記事では、諸事情でカットした内容もあるので、もう少し詳しくデザイナーの転職市場について知りたい、情報収集をしたいという人は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

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提供:株式会社クリーク・アンド・リバー社
企画制作:UX MILK編集部


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