ケーススタディ:世界8500万人が使う脳トレアプリ「Lumosity」

Sean McGowan

SeanはCodal社の技術ライターおよびリサーチャーです。UXデザインからIoTまで、様々な話題のブログを投稿しています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

UX Case Study: Lumosity Mobile App (2018-03-05)

UXデザイナーのようにユーザー体験の批評をできる人は少ないと思いますが、ゲーム好きな方であればいい勝負をするはずです。ゲームデザイナーは、ゲームに関するUX専門家であり、単に使いやすいだけでなくユーザーが楽しめる体験を作り出すことにチャレンジしています。

WebやモバイルのUXデザイナーの視点からゲームの体験を考えることで、私たちの作品に面白さを吹き込むのに役立つ知見を得ることができます。今回のUXケーススタディでは、ゲームを批評したいと思います。(中略)

Lumosityについて

Lumosityは「脳トレ」アプリです。記憶や注意力、処理スピード、問題解決といった認知能力を向上させるゲームで構成されています。Webアプリとモバイルアプリの両方で利用可能で、50種類以上の脳トレゲームが提供されています。これらは日々のトレーニングとしてパッケージで提供されており、また特定の認知能力を追跡・分析する機能もあります。

Lumosityの効果は議論になっていますが、この弱点はユーザー基盤に影響を与えていません。その証拠に、Lumosityは8,500万人というメンバー数を誇っています。楽しいユーザー体験をデザインするという独自の課題と膨大なユーザー数を持つため、Lumosityは私たちのUXケーススタディ連載の有力な候補となりました。もちろん、私が仕事場で1日中脳トレをしていたという事実は、候補の選定に影響していません。

オンボーディング

Lumosityの最初の画面は、ビジュアル的に興味を引くようなものではありませんが、アプリのテーマや主な用途(科学的に設計されたトレーニングで脳を鍛える)が表示されています。また、改善できる5つの認知スキル(記憶力、注意力、柔軟性、スピード、問題解決)も表示されています。

次にLumosityの実際の登録画面に移ります。ここでは不必要に画面を分割してしまっている印象を受けます。ほとんどのアプリは、オンボーディングを簡素化するために初期画面を統合してユーザーの疲労を軽減させます。小さな問題ではありますが、初期画面上で利用可能な空きスペースを考慮すると不可解な選択です。画面の面積が不足しているわけではありません。

「メールアドレスで登録する」オプションを選択します。すると、いくつかのフィールドが置かれたよくあるフォーム入力画面に案内されます。わかりやすく分割されていますが、これまでUXケーススタディで見てきたようなほかのオンボーディングよりも労力を要するものです。ところが情報を入力し終えると、ゲームで遊んで脳トレを始める前に、まだいくつかの画面があることに気付きました。

これをチュートリアルと呼ぶには抵抗があります。それぞれのアプリ内ゲームに実際のチュートリアルが存在するからです。これはフィットテストと呼ばれるより初歩的なもので、ユーザーの現在の認知能力をあらかじめ評価するものです。この場合もやはり3つの短い画面しかありません。しかしDuolingoのよう類似アプリのオンボーディングプロセスに比べると、Lumosityに欠点があるのは明確です。

フィットテスト/ゲーム

ついに、アプリのコアの機能に到達しました。すべてのゲームの具体的なユーザー体験をレビューすることはできません。フィットテストは3つのゲームから構成されており、Lumosityの幅広いゲームを体験できる良いサンプルなので、これを試してみます。

最初のゲームは、カラーマッチです。ここでも導入画面に、使われていない帯状のセクションが存在します。ネガティブスペース(空白)はUIデザインにおいて有益な目的を果たすことができますが、この場合はうまく活用されていないように思います。ユーザーに対してさらに指示を出すのに使われる場合は、特にそうです。

アプリの主なUIをちょっと見てみましょう。左上にホームアイコンがあって、その反対に横並びのドットがあります。このドットは進行状況を知らせており、UXとしては一般的なものです。しかし、一般的にこの配置場所は必要不可欠な機能が置かれる所なので興味深い選択ではあります。

それぞれのゲームはチュートリアルから始まります。UXデザイナーは、一般的にモバイルアプリデザインにおいてチュートリアルを避けようとしますが、ゲームベースの体験では大抵の場合避けられません(デザイナーの中には、賢しい方法で回避する人たちもいますが)。

カラーマッチが終わると、Lumosityにおける自分と同じプレイヤー層のユーザーとの比較が表示されます。そしてゲームの背景にある心理学的な原理が詳しく説明されます。

これは、ユーザー体験に信頼性を与えようという明確な試みです。そしてこれは私の憶測ですが、心理学の知識とストループテストに対する信頼感が、成功の決め手なのでしょう。非常に残念なのは、「注意力を測定しましょう」というひどいコールトゥアクション(CTA)です。

「フィットテスト」の残り2ゲームを完了させながら、Lumosityのインターフェイスの全体的な外観とスタイルについて書いていきます。イラストはマテリアルデザインのトレンドに従っており、スムーズで丸みのあるタイポグラフィもイラストに合っています。

Lumosityのサウンド体験も、ビジュアル面を補完するものです。ゲーム内のサウンドに含まれるのは、画面を進めたときに出る紙をめくる音や、答えが正解のときのベル音、そして間違いのときの悲しげな音です。

フィットテストが完了すると、ついにアプリの「メインインターフェイス」に到達しました。しかしこれは、基本的なゲームコンテンツに見られるような、魅力的な見た目ではありません。脳トレ部分だけにデザインリソースを集中させ、このような補助的なページまで作業が至らなかったことが明らかです。

これらの画面ほとんどは、実用的なアイコンとカードベースのレイアウトという、標準的なデザインの慣例にならっています。しかし、多くのコンテンツは、有料コンテンツの裏に隠されており、ユーザーをLumosityのプレミアムバージョンへアップグレードさせようと誘導します。

まとめ

楽しく、魅力的な見た目のゲームを作る上で、Lumosityは成功しています(医学的に良いかは話すことができませんが)。またゲームを囲むユーザー体験も、特にオンボーディングのプロセスにおいて、ある程度良く機能しています。

しかしながら、LumosityとDuolingoとの比較に戻らずにはいられません。これら2つのアプリは、ユーザーフローやユーザー基盤などで、似ているユースケースです。ところがオンボーディング戦略や、さらにはユーザー体験全体において異なります。そしてこれらは、アプリの質に表れています。