会話型UXデザインの現状と今後の動向

Alan Smith

Alan Smithは、ITの領域において幅広い経験をもつ、テクノロジーに関する熱心なブロガーです。彼は現在、ロサンゼルスに拠点を置くSPINX Digital Agencyと連携して仕事をしています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Conversational UX Design : An Introduction (2018-06-20)

最近テクノロジーのコミュニティにおいて、会話型UXデザインが議論の中心となってきています。開発者やデザイナーは、人間とインタラクションできるテクノロジーを次々と作りだしており、AlexaやGoogle Assistant、Siriなどのあとに続き、たくさんの種類の会話システムを検証しています。

会話型UXデザインの進化につれて、テクノロジー業界のあり方も変わってきています。

会話型UXデザインの定義

UXデザインを完璧にするために、多くの企業は多大な時間と労力を費やしています。ページの読み込みに時間がかかったり、ナビゲーションがわかりにくかったり、デザインが魅力的でなかったりすると、ユーザーはサイトを離脱して競合サイトを探してしまうでしょう。

会話型UXデザインとは、人間とテクノロジーのインタラクションをスムーズにする方法です。AI機能(AlexaやGoogle Assistant、Siriなど)や音声によるアプリなどのさまざまなロボット工学を活用して、直接的な会話を行います。

会話型UXデザインの目的は、インタラクションをさらに簡単にして、人間がより自然だと感じるようにすることです。

会話型UXデザインの現状

会話型UXは、最近になって注目されるようになったと思われがちですが、実は数年前から存在していました。AppleのSiriは、オリジナルの会話型UXシステムの1つです。Apple製品ユーザーは、Siriに会話や質問をしたり、ジョークを要求したりすることもできます。AmazonのAlexaやGoogle Assistant、MicrosoftのCortanaなどのプラットフォームも、Siriと同時期に登場しました。

いまの会話型UXでは、便利さに焦点が置かれています。会話システムは、複数のタスクが必要とされるであろう場所に配置されます。キッチンにAlexaを置けば、ご飯を作りながら音楽を変更することができます。また車でSiriを使えば、運転をしたまま週間天気を確認することも可能です。会話型UXとは、物事をスムーズに行うことを意図しています。

デバイスに対して話しかけることを不安に思う人もいます。人間に対して質問するときと同じように、テクノロジーに対して質問をして答えが返ってくるということが、不自然だと感じるためです。

Siriをぎこちないと思うユーザーもいます。たとえば、Siriを起動するキーワードとして「Siri」という名前を使っているので、何かを要求する前に「Siri」と言わなければなりません。普通の会話では、発言の前にその人の名前を言うことはないでしょう。そのため不快に感じてしまうのです。

多くの専門家は、そのような不安の一部は人々が元々持っているテクノロジーへの不信感に起因していると考えています。テクノロジーは異常なほど急速に発展しており、日常生活はどんどん自動化されてきました。テクノロジーが絶えず社会を変化させているため、混乱する人もいるでしょう。またテクノロジーは強力で、人間よりも効率的に仕事をこなすこともよくあります。この終わりのないように見える力が、人々に疑念を抱かせて、テクノロジーを生活に受け入れるのを拒ませるのです。

会話型UXのゴールとは、テクノロジーを完全に人間のようにすることです。もし人々がテクノロジーと話しているということを忘れることができれば、テクノロジーを使用することに対する不安がより解消されるでしょう。会話型UXの現状は、AIとインタラクションする際、依然としてロボットに話しかけているのが明らかであるということです。

会話型UXの未来

テック業界の専門家は、会話型UXは急速に発展しており、今後も重要性が高まると主張しています。いまの会話システムは手を使わずに操作ができて便利という程度の存在ですが、将来的に会話型UXは至るところに存在するようになるだろうと専門家は予測しています。必ずしも音声操作が必要ではないような領域にも存在するかもしれません。

また会話システムは、自己学習システムを搭載せずに構築されるでしょう。現在会話型UXは完全な自己学習システムではないため、デザイナーを必要とします。デザイナーはそれぞれの質問や要求に対して、どのようにシステムが応答すべきかを決定する必要があるのです。なので、ユーザーの発言を分類して、自動化されたシステムが適切な返答を構築できるような方法をデザイナーは作成しています。

自動化されたシステムは、どのように対応すべきかを人間が設計する必要のないものに変わっていくでしょう。そして最終的には、人間から独立して返答を定義できるようになるかもしれません。デザイナーの代わりに、教師やコーチと同様の役割を果たすような人物を、会話システムは必要とすることが考えられます。

会話型UXを改良する方法

会話型UXの将来的なゴールを達成するために、専門家たちは最適化された会話システムをデザインするためのガイドラインを制定する作業に取り組んでいます。自動化されたシステムの開発には、会話のやりとりに関する発言のパターンや言語、設定について、ありとあらゆる方法を用いて分析することが含まれます。専門家はこれらをライブラリに入れて、今後の会話型UXのデザイナーが綿密に効果的な会話システムを作成する手助けを行っています。

しかし、ここでも問題があります。会話の仕方に関する調査は社会科学者や社会学者、言語学者、その他の研究者向けに作成されており、ITエンジニア向けに書かれたものではないからです。会話パターンのライブラリを確立するためには、調査内容をUXデザイナーに適した情報へ変換しなければなりません。

万能なUXデザインのガイドラインと基準を作成するには、時間がかかるかもしれません。もともと人間には、さまざまな人々とコミュニケーションをとる能力が備わっています。それと同じ能力をテクノロジーに与えることは、簡単ではありません。ほとんどの人は、会話をする方法をどのように知ったかを説明することはできません。そのため、会話における絶対の基準をテクノロジーに与えるために、UXのスペシャリストがすべきことを特定するのは困難なのです。

会話型UXを開発する際デザイナーが考えること

WebサイトのUXデザインにおいて考慮すべきことと同様に、会話型UXを開発するときに多くのデザイナーが最初に考えるのは、ユーザーのニーズです。ニーズ決定の一部は、特定のユーザーを取り巻く詳細に左右されます。そのため会話システムは応答する前に、その人物の状況を考慮します。

また会話型UXのデザイナーは、テクノロジーが顔を持つべきかも検討します。Siriは画面に話しかけるため、顔を持つ会話システムの例として挙げられます。もしシステムに顔があれば、デザイナーは会話の間画面上に何を表示すべきかを決定する必要があります。たとえば、ユーザーがオンラインでのシャツの購入について尋ねたとすると、シャツの画像や値段、ほかにもさまざまなことを表示します。応答の中で、ユーザーが閲覧したり尋ねたりするものについて検討する必要があります。嬉しいことに、人間の脳には複数のタスクに対応する能力があります。何かを聞きながら同時にほかの画像を見ることができるため、デザイナーはシステムの言語応答に直接一致するような画像を表示する必要はありません。

たとえばデザイナーが作るプロトタイプでは、アプリやWeb上で音声を使い、ユーザーにさまざまなインタラクションを促すかもしれません。そうすることによって、ユーザー間の共通した疑問やそれがどう表現されたか、また情報の過不足などを聞き出すことができます。

今後の動向

AIやロボットに関して、依然として懐疑的な方も多いかと思いますが、人々がAIやロボットといった社会への新たな追加機能に適応する可能性が高いです。専門家は、AIはもうすぐどんな場所にでも存在するようになると予測しています。会話システムは次の大きな波であり、世界中の日常生活における中心部分となるでしょう。この新しいテクノロジーを受け入れて生活に取り入れれば、テクノロジーから提供される進歩や改善のとりこになるかもしれません。


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2018/10/24(水)
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