世の中には、たくさんのUXツールが存在します。複数の選択肢があることは良いことですが、選ぶときは一苦労です。アプリのユーザーが機能の多さに圧倒されてしまうことがあるように、UXデザイナーやプロダクトマネージャーがUXツールの多さに圧倒されてしまっているのです。
私は、もう少し簡単に最高のUXツールを見つけられるようにしたいと思っています。そこで、評判の良いUXツールをインターネットの隅々まで探し、デバイスごとに分類しました。この記事ではこれらの優れたUXツールを用途ごとに見ていきます。
定性分析ツール
「分析」という単語を聞いてほとんどの人が想像するのは、数字やチャート、テーブル、Googleアナリティクスのロゴくらいかもしれません。確かに、最近まではそのような傾向もありました。しかし、いまやモバイルアプリにおけるKPIを測定する新しい手段が登場してきているのです。
それは、定性分析ツールのことです。定性分析は、指標の裏側にある「なぜ」を教えてくれ、ユーザー行動を理解することに役立ちます。ユーザーのアプリとのインタラクションを観察できるようにし、ユーザーの好みについて学ぶことができます。ユーザー体験の測定と最適化は、定性分析を使うことで可能になるのです。
モバイルアプリ
Bugseeは、バグやクラッシュのレポートに特化したモバイル分析ソリューションです。
アプリのクラッシュの記録やコンソールログ、ネットワークトラフィック分析などを提供します。これにより、バグやクラッシュを効果的に分析できるようになり、時間と資源を節約できるのです。
料金:Liteバージョンは無料、Proバージョンは1月$99、カスタムプランは要相談
Appseeは、定性分析の先駆けです。定性分析を最初に取り入れたプラットフォームのひとつであり、ユーザーを理解し体験を改善するための素晴らしいツールを提供しています。Appseeは、Bugseeとは違いバグやクラッシュレポートだけでなく、アプリのさまざまな側面をモニターし最適化できるよう、幅広いソリューションを提供してもいるのです。
Appseeには、以下のような機能があります。
ユーザーセッションの記録:ユーザーの肩越しに画面を見るのと同じような体験ができます。アプリとのインタラクションやナビゲーションの使い方、カスタマージャーニーなどを知ることができるのです。これらのデータから、次の改善を行うための洞察をすぐに得ることができるでしょう。
タッチヒートマップ:このツールは、アプリを使用するために使われるさまざまなジェスチャー(タップ、ダブルタップ、スワイプ、ピンチ、そして「いいね!」など)についてのデータを集めてくれます。このデータは、実際のアプリ画面のヒートマップが重なるように視覚的に確認できます。こうすることで、セクション別の利用頻度や反応がないジェスチャーなどを知ることができます。
またAppseeは、AdjustやAppsFlyer、Crashlytics、Google Analytics、Kochava、Salesforce、Slackなどのサードパーティ製品の多くと統合できます。
料金:14日間無料トライアル+小規模チームへのフリースタートアッププラン/プレミアム − 要相談
Lookback.ioは、モバイルにおけるユーザーリサーチのプラットフォームです。このプラットフォームを使うことで、UI/UXデザイナーは、リモートでユーザーリサーチを行ったり、参加者とリアルタイムでコミュニケーションをしたり、ゴールを設定しモデレーターなしのテストを実施したり、対面でのテストを設定したりできます。
また、Lookback.ioはユーザー行動をモニターし、テストをいつでもリプレイできるような強力なダッシュボードをユーザーに提供してくれます。
料金:スターターは月$49、プロバージョンは月$99、エンタープライズバージョンは要相談
デスクトップの定性分析
FullStoryは、デスクトップの定性分析ソリューションです。このソリューションを使うことで、ユーザーがどのようにWebサイトを使用していて、体験がどの程度最適化されているかを知ることができます。また、バグやクラッシュに関する情報も提供してくれます。
さらに、Web検索のようにユーザー体験を検索できるスマート検索エンジンやセッション記録、ページごとのインサイト、分析ダッシュボードなどの素晴らしいツールが備わっています。
料金:フリープラン、プロバージョンは$199、エンタープライズは要相談
Hotjarを使えば、Webサイトの定性分析とユーザーフィードバックを同時に実施できます。ユーザーにいて知るべきことすべてと製品をどのように使っているのかを提供してくれます。
鍵となる機能として、ユーザージャーニーを視覚化してくれるセッションレコーディングとコンバージョンファネル、フォーム分析、投票調査とユーザーフィードバックを集める機能、ユーザーテストの参加者を募集する機能があります。
料金:ベーシックは無料、プラスは月$29、ビジネスは日毎のページ閲覧数により$89/$189/$289/$589
SessionCamには、Webサイトのコンバージョンとユーザー満足度を改善する素晴らしい機能があります。たとえば、もっと頻繁に起こるエラーを自動的に識別する「エラー探知」があります。
さらに、悪戦苦闘スコア(CS Score)というユーザーがもっとも困っている部分を機械学習によって提示してくれる機能もあります。そのほかにセッションリプレイ、クリック/ムーブメントのヒートマップ、フォーム分析、そしてカスタマージャーニーマップなどの機能を提供しています。
料金:要相談
フィードバックツール
ユーザーがアプリをダウンロードし使用したとしましょう。素晴らしいことです。しかし、ユーザーの使いたい気持ちを保ち、期待に応えられるようにするには、どうしたら良いでしょうか?
そういったときは、モバイルアプリのフィードバックツールが役立つでしょう。ユーザーの好みを理解し、アプリを使ってもらい、ブランドの体験を高めるために役立ちます。また、うまく使用すれば、よりポジティブな体験を作り出すことができ、ユーザーが何度も何度も戻ってきたくなるようなアプリにできます。フィードバックツールは、アプリ内メッセージ、ポップアップ、ライブチャットボタン、アンケートなどの機能を提供します。我々が選ぶベストツールは、以下のとおりです。
アプリ内のフィードバックツール
Apptentiveは、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取ることでユーザーをより良く理解できるようにします。このツールは、ユーザーの行動、場所、通信などの情報をもとにユーザーを虜にするための最良のタイミングを識別するスマートエンゲージメントシステムを備えています。機能には、ユーザーへの評価のお願い、ユーザーアンケート、アプリ内メッセージなどが含まれます。
また、改善施策とそれに関連するKPIをモニターする強力な分析ダッシュボードを提供しています。
料金:無料30日間トライアル。料金は、会社のサイズ、使用方法や機能によって異なります。
Apptentiveとは違い、BuddybuildはUI/UXデザイナーやプロダクトマネジャーだけでなくモバイル開発者にとっても便利なツールです。Buddybuildのセットアップは簡単で、コミットがプッシュされるたびに、Gitリポジトリを基にビルドが作られます。そして、ユニットテストとUIテストを自動的に実行し、コードベースを改善できます。
バグやクラッシュが発生した際は、クラッシュログやスクリーンショット、ビデオリプレイなどのバグ報告をすぐに確認できます。
また、Buddybuildはカスタマイズすることが可能で、チームのニーズに合わせ、すでに使用しているサードパーティツールと統合もできます。
料金:スタンダードは月$79、プラスは月$129、ビジネスチームは月$279、そしてビジネスは月$489。
UserReportは、アンケートとフィードバックフォーラムというシンプルなツールで構成されています。このツールをアプリに組み込むことで、ユーザーと直接コミュニケーションを取り、好みやゴール、改善点の意見を知ることができます。
さらにユーザーの満足レベルを表すネットプロモータースコア(NPS)やGoogleアナリティクスとの連携、簡単にフィードバックを集めることのできるフィードバックフォーラムなどの機能が備わっています。
料金:基本無料。有料プランあり。
デスクトップのフィードバックツール
Usersnapには、ClassicとCXの2つの製品があります。開発者やプロダクトマネージャーに向けの製品であるClassicは、バグトラッキングやワークフロー改善、製品のパフォーマンスを改善したりできます。
CXは、UI/UXデザイナーやカスタマーサクセスマネージャー向けに作られています。CXを使うことで、ユーザーがYよりもXを好む理由といった質的・量的なフィードバックを得たり、NPSやCSATスコアを調査できたりします。
料金:クラシックはベーシックが月$29、スタートアップが$69、カンパニーが$129。CXは、月$69。
Usabilla (モバイル版もあり)
Usabillaは、複数のプラットフォームに対応したソリューションであり、主に製品内のフィードバックを集めるために使われます。ユーザーから直接届くリアルタイムの視覚的フィードバックを提供することで、チームの貴重な時間とリソースを節約します。
また、正しい質問を正しいタイミングでしているかどうかを確かめるための、気の利いたターゲティングシステムも備えています。Usabillaを使えば、NPSスコアを集めたり、改善を分析したり、エクスポートしたりできるのです。
料金:要相談
UserVoice (モバイル版もあり)
UserVoiceは、ユーザーの声を聞くのに役立つため、「ユーザー中心」の製品であるといえます。ユーザー中心の視点に立ちながら、製品の計画を立てたりモニターしたりできます。
ユーザーデータを直接製品フィードバックにつなげたり、製品内のメッセージシステムを報告したりなど、製品の優先順位を立てる機能もついています。
料金:ベーシックは月$499、プレミアムは月$999
UseResponse (モバイル版もあり)
UseResponseを使うことで、Webサイトでフィードバックを集めたり、ユーザーとコミュニケーションを取ったり、ユーザーの好みについてのインサイトを得たりすることができます。
リアルタイムでのフィードバック探知やレポート機能のほか、ユーザーフィードバックをにしたスマートなロードマッププランナーなどの機能を備えています。
料金:無料の14日間トライアル、クラウドはエージェントにつき$15、自己ホストは$899
ユーザビリティテスト
製品のアイデアは素晴らしい。アプリやWebサイトは美しく、最高のチームで、資金面も問題なし。ローンチする準備は万端のように見えます。
しかし、待ってください。その前に、ユーザビリティテストする必要があります。ユーザビリティテストを行うことで、目的とする体験を提供でき、ユーザーが簡単かつスムーズで直感的に使えるようにできるのです。そのためには、実際のユーザーを見つけ、テストに参加してもらうようにしましょう。幸運なことに、モバイルやWebのユーザビリティテストのための素晴らしいソリューションがあります。我々のお気に入りは、以下のとおりです。
モバイルのユーザビリティテスト
Userlyticsは、UI/UXデザイナーとプロダクトマネージャーがユーザーテストの台本を作り、アップロードできるようにします。そこから、どの部分をテストしたいかを選択し、リモートのユーザーテストを設定できるのです。
テストが完了したら、ピクチャーインピクチャーのビデオを確認し分析することができます。また、ノートをとったり、ダウンロードしたり、共有したりすることもできます。
料金:DIYは$49、エンタープライズは$69、そしてカスタムプロジェクトは$99。
Applauseは、「クラウドテスティング」の素晴らしいサービスです。世界で一番大きいデジタル体験の専門家コミュニティが、アプリを最適化してくれます。ほかのサービスよりも優れている点は、デバイスや国、デモグラフィック、時間を問わずにテストできることです。
また、Applauseはモバイルプロフェッショナルに、テストやアクセシビリティテストが手動か自動かの選択肢を与えてくれます。
料金:要相談
デスクトップのユーザビリティテスト
UsabilityHubは、広範なデータとリモートのユーザーテストによってUI/UXデザイナーが自信を持ってデザインの決断を下せるようにするユーザーテストのプラットフォームです。
5秒テストやクリックテスト、ナビゲーションテスト、ユーザーへの質問や嗜好テストなどの楽しく便利なテストを備えています。それに加え、プロダクトオーナーとテスターがコラボレーションするハブとしての機能も果たしています。
料金:フリープラン、ベーシックは月$79、プロは月$199、チームは月$396。
UsersThinkは、オンデマンドのユーザーテストのプラットフォームです。UI/UXのデザイナーが実際の人々から、必要なときすぐにフィードバックを貰えるようになっています。
テストしたいWebサイトの特定のページやセクションを選び、何人の参加者からフィードバックをもらいたいか、いくら支払うつもりかを選ぶことができます。テストが終わったら、UsersThinkが24時間以内に結果を送信する約束になっています。
結論
世の中にはたくさんのUI/UXツールが存在し、すべてをリストアップすることはできませんでした。このリストを作ったのは、広大なユーザビリティの海をナビゲートするのに役立つよう、ひとつひとつのカテゴリーにおけるベストチョイスを示すためです。「選ばなければならない、しかし、賢く選べ」という言葉を覚えておきましょう。