多くの会社はWebで強力なプレゼンスが必要な理由を理解しているものの、しばしばユーザーをそのプロセスから放置しています。競争が激しいデジタル世界において、企業はシームレスなユーザー体験を保証するためにできる限りの努力をしなければなりません。
私たちの生きるデジタル時代において多くの場合、企業のWebサイトは人々がそのブランドに触れる最初の接点となります。人々は実際の店舗に(もしあるならば)入るはるか前にWebサイトを訪れます。Chain Store Ageによると、顧客の39%は、Webサイトで選択肢が多すぎると不満を覚え、離脱するそうです。
それでは、企業はどのようにしてデジタルプラットフォームを通じて良好な体験を提供し、ユーザージャーニーを充実させ、購買の意思決定に影響を与えられるのでしょうか?
良いUXの秘訣はインタラクションデザインにある
インタラクションデザインは、ユーザーをもてなす機会を与えてくれます。インタラクションデザインはデザインの視点からみると、ユーザー体験に属する重要な概念です。しかし同時に、コンテンツ戦略やビジュアルデザイン、情報アーキテクチャといった別の分野にもまたがっています(もっとも、これらの分野にもUXと重複している部分があります)。インタラクションデザインは、会社の製品とユーザーのコミュニケーションを可能にします。もしWebサイトのインタラクションが十分練られていて適切に実行されていれば、ユーザーは自分の目標を効率的に達成することができるでしょう。
したがって、インタラクションデザインの基礎について述べていきます。そのコンセプトには単純なものから複雑なものまであることに気づくはずです。
インタラクションデザインの5つの次元
インタラクションデザインには、5つの基本原則があり、開発者からはしばしば次元と呼ばれています。
- 1次元:言語
- 2次元:ビジュアル表現
- 3次元:物理的な物体や空間
- 4次元:時間
- 5次元:行動
それではそれぞれの次元について詳細を説明していきます。
1次元:言葉
書くということは、単語を1つひとつ並べていくことだと考えているかもしれませんが、言葉を選ぶときに考えることは膨大にあります。上手に表現すれば、ユーザーは企業と肯定的にやり取りをするという体験ができるでしょう。誰に向けて文章を書いているかを考えずに書くと、何も書いていないのと同じくらい酷い結果になります。
Webサイトに載せる言葉はわかりやすい必要がありますが、同時に適切な顧客層に対して適切に意味を伝えるものでなければなりません。ここでの経験則は、簡潔な言葉を、短く使うことです。
2次元:ビジュアル表現
デジタル空間に存在するビジュアル表現には、タイポグラフィや写真、アイコン、図表といった、文字ではないあらゆるグラフィック要素が含まれます。画像はユーザーの注意を惹きつける最初の手段です。もし画像で惹きつけることができないと、苦心して書き連ねた言葉をユーザーが読む可能性は低いでしょう。
ビジュアル表現は言葉と同じくらい強い力を持ちます。ユーザーが自分の直感だけを頼ってシームレスに接せるようにしましょう。
3次元:物理的な物体や空間
素晴らしいビジュアルを作り上げることは必要不可欠ですが、それらを正しい場所に配置しなければ、本来の影響力を持つことはありません。Webデザインが散らかっていると、インタラクションに悪い影響を及ぼし、ユーザーがWebサイトのさまざまな要素を操作しにくくなります。物理的な物体と空間はデバイスごとに異なることを覚えておきましょう。
たとえば企業は、モバイルでは標準的なデスクトップとは異なるデザインを採用するべきです。ユーザーの周囲の環境もWebサイトの操作に影響を与えることがあります。したがって、企業はインタラクションデザインにおいて、こうした配慮をしなければなりません。
4次元:時間
時間の次元は、メディアが時間が経つにつれ変化するということ、動作や音が製品を操作してやり取りする際に重要な役割を持つということを表しています。特に、ユーザーが製品自体とインタラクションした時間だけでなく、インタラクションをどのように再開するのかにも注目します。
5次元:行動
インタラクションデザインは、ユーザーがWebサイトでどのように行動するのかに注目します。言い換えれば、これまでの4つの要素が組み合わさって、どのように製品とのインタラクションに影響を与えるのかに注目しているのです。また、行動の次元では、ユーザーから寄せられた感情的なフィードバックを分析して新しいおすすめを作り、ユーザー体験を深めていきます。
重要な基本原則
広く受け入れられいる以上の5つの次元に加えて、以下の法則も積極的なインタラクションを生み出すのに効果的です。
ヒックの法則
心理学者のWilliam Edmund Hick氏は、単純ですが画期的な見解を提示しました。それは、人間は目の前にある選択肢が多ければ多いほど、決めるのに時間がかかるというものです。多くの選択肢を比較検討しなければならないとなると、ユーザーが混乱するかもしれません。より多くの選択肢を持つことは一部の分野では正しいもしれませんが、デジタル製品とのインタラクションにおいては避けるべきです。
インタラクションデザインを活用すれば、ユーザーは単純な選択を一度に行うことができます。多くの選択肢をWebサイト上で提示することもできますが、ほとんどのECサイトはより検索しやすく、クリックしやすく、購入しやすいように、ヒックの法則を用いて製品の選択肢やカテゴリーを分類しています。
フィッツの法則
1954年に誕生したフィッツの法則は、組み立てラインの従業員の作業に初めて適用されました。フィッツの法則は、物体の距離や速度、近接の関係を表した複雑な方程式から導出されます。しかし結論は、物体が大きいほど、人間はより速く操作できるということです。Webデザイナーは、ボタンやメニューの作成にフィッツの法則を応用することで、ユーザーが指やカーソルで簡単に操作するようにできるでしょう。
テスラーの法則
Appleの前副社長であるLarry Tesler氏は、すべてのアプリケーションはどれだけ単純化しても一定の複雑さを持っていると述べました。その点、複雑な作業をできるだけ裏側のプロセスに移してユーザーから遠ざけられるかどうかは、デザイナー次第です。
ユーザーから複雑な作業を遠ざけることで、ミニマルデザインが生まれてユーザーが操作しやすくなります。また、テスラーの法則は、ヒックの法則とも上手く結びついています。
インタラクションデザインとUXデザインとの違い
インタラクションデザインを学ぶと、多くの人はUXデザインとの違いについて疑問に思います。この2つには共通点がある一方で、いくつかの注目すべき違いがあります。
UXデザインの特徴は以下の通りです。
- Webサイトのユーザビリティは重要ですが、UXはそれだけではありません。
- インターネットやアプリケーションなどのデジタル製品は、UXにおいて多くの方面からユーザーにアピールする必要があります。
- 仕様や表に出ない裏側の開発を進めることで、ユーザーが理解しやすく、操作しやすくなります。
- 理想的には、ユーザーは製品を使うことで製品の価値を得ることができます。
インタラクションデザインでも同じ原則が数多く適用されます。しかし、次のようないくつかの相違点があります。
- インタラクションデザインは、どのようにユーザーが製品とインタラクションするかにのみ注目します。
- インタラクションデザインは、人と物の意思伝達のプロセスを重視します。
- インタラクションデザイナーは、一般的にデザインの考案により多くの義務を負っています。たとえば、消費者調査、フィードバック、フィールド調査などです。
言い換えればインタラクションデザインはユーザー体験から分化したものであり、ある部分では重複しているのです。UX デザイナーはデザインする製品に強い関心を持っている一方、インタラクションデザイナーはやり取りのユーザー体験を作り出すプロセスに特化しています。
たとえば、Webサイトが新しい遊園地だと考えてみてください。インタラクションデザイナーは公園の設計計画をたて、乗り物を繋ぐ道路を作り、遊園地内を利用者がどのように動くかを考えます。他方でUXデザイナーは、利用者から寄せられたフィードバックを集めて、遊園地の体験をより良いものにする方法を考えるのです。
最後に
インタラクションデザインをユーザーとコミュニケーションを取る手段として見なしましょう。インタラクションデザインは、ユーザーに話しかけるためにあります。そのために、最善の言葉とビジュアルを使うよう心掛けましょう。人がWebサイトやアプリなどのデジタル製品とどのようにやり取りするのかによって、最終的にはユーザージャーニーにおける意思決定などが形作られることを忘れないでください。
簡単に使えて、楽しい製品を作りましょう。インタラクションデザインは、言葉、イメージ、空間、時間、行動という5つの次元に注目します。インタラクションデザイナーの目標は、できる限り情報が要らないシンプルな体験を生み出すことです。インタラクションデザインの基本原則を応用することで、より直感的なデジタル製品やインタラクションを作り出し、最終的により大きな売り上げを達成できるでしょう。