4人のデザインマネージャーが語る、ゲーム業界に飛び込む面白さとは

UX MILK編集部

モノづくりのヒントになるような記事をお届けします。

スマートフォンの普及により以前よりも身近になったゲームですが、その業界にいるデザイナーはどのような仕事をしていて、なにを考えてデザインしているのでしょうか。

今回はゲーム業界のデザインの面白さやデザイナーのキャリアについて、編集長の三瓶がモデレーターを務めた UX MILKxDesign Scramble 特別企画「別業界からなぜゲームを選んだのか?4人のデザイナーのキャリアと展望」の中から、内容を抜粋してお届けします。

登壇者の皆さん。左から順に、楠さん、鷲山さん、村上さん、赤坂さん。

  • 楠 薫太郎(くすのき しげたろう)さん 株式会社ディー・エヌ・エー ゲームサービス事業部デザイン部 部長 / 株式会社DeNA Games Tokyo 取締役 
  • 鷲山 優作(わしやま ゆうさく)さん 株式会社グレンジ 取締役CCO / サイバーエージェントUIUX Lab 代表 
  • 村上 一帆(むらかみ かずほ)さん 株式会社アカツキ CDO 
  • 赤坂幸雄(あかさか ゆきお)さん 合同会社DMM GAMES UI/UX officier

専門領域を突き詰めることで生まれるUX

三瓶:本日はゲーム業界で活躍するデザインマネージャーの4名に話を聞いていきたいと思います。まずはゲーム業界でのデザイナーの仕事についてお伺いしたいのですが、デザイナーと一言で言ってもいろいろありますよね。

楠:会社によるとは思いますが、ゲーム業界では2Dや3Dなどの分野に分かれてそれぞれのデザインに取り組む形が多いかなと思います。

三瓶:各専門領域のデザイン職がいるイメージですよね。そうなるとプロダクト全体の体験デザインに関わるのが難しい印象があるのですが、ゲーム業界ではUXをデザインする人、みたいな方はいたりしないのですか?

楠:分業で各デザインに取り組むエキスパートたちがUXデザインに関わっているといえます。担当している個々の専門領域をそれぞれ深いところまで突き詰めることでより良いUXが出来上がっていく、というイメージですね。

三瓶:なるほど、分業というと発注仕事というか、ただ作るだけというイメージもありますが、それぞれがより専門領域を突き詰めていけるという考え方もありますね。

鷲山:弊社では楠さんの場合とは少し違い分業の側面は薄く、各人がそれぞれの専門領域を持ちつつも職種を越えてプロジェクトに取り組む中で、チームでUXデザインをしています。

三瓶:Web業界でもそれぞれがUXを気にしていればUXデザイナーはいらない、みたいな話がありますがそれに近いですね。アプローチは違えどもチーム一丸となってUXを突き詰める、というのは特徴としてありそうです。

複雑性が高くチャレンジングなゲームのデザイン現場

三瓶:皆さんはゲーム以外の業界から移られてきたとのことですが、なぜゲーム業界に入ったのですか?

赤坂:僕は非ゲームの事業を立ち上げるデザイナーだったのですが、大きなインパクトを社会に与えるゲーム業界に飛び込みたい、と思ったのが理由です。誰でもスマートフォンでゲームをする時代ですし、オリンピックの種目にeスポーツが入るかもしれないとまで言われています。

ここまで大きく動いているものに対して飛び込んでいかないと、この先自分の中のデザイナーとしての経験値に潰しが効かないなとの危機感がありました。

三瓶:もっとライトな理由が来るかと思いましたが、意外にリアルなのが来ましたね(笑)。ちなみに実際に入ってみてどうでしたか?

赤坂:実際に入ってみて、グローバル視点が重要なところが今までと違うと思いましたね。今のゲーム業界では、最初からグローバル展開を視野に入れた方が勝率が高いしコストも合うんです。ここは新しいチャレンジだと思いました。

村上:僕は広告やブランディングなどのデザインを経てゲーム業界に来たのですが、チャレンジ性の高い業界だと感じましたね。

ゲームのデザインはUIからエフェクト、アニメーション、3D、イラストレーションなどさまざまなビジュアル表現を組み合わせて体験を作ります。さらにその中でユーザーとの対話や、ユーザー同士の対話を生み出す部分もあって、プロダクトの価値創造や体験づくりの複雑性が高いんです。そういうところに自分が身を置いて頭をフルに使っていけるのってとても面白い経験になるんじゃないかなと。

三瓶:デザインするときに考えることが多くて難しそうですね。ちなみにゲームを作る人ってゲーム好きな印象があるのですが、実際皆さんはゲームやられるんですか?

楠:僕は非ゲーマーですけど、ゲーム業界でやっていけています(笑)。僕の場合は前職が紙やWebだったので、ゲーマーというバックグラウンドがないことでデザインの難易度が上がり、それ自体がチャレンジで面白かったですね。普段ゲームをやらない分、アイデアが全然出てこなくて(笑)。

鷲山:非ゲーマーであっても、昔の鬼ごっこや缶けりなど遊びとしての原体験は少なからず持っていると思います。それらをヒントに作ることもできますし、ゲームをたくさんする人でないと活躍できない業界というわけではないですね。

実際僕は過去に、非ゲーム業界でWebもまったくやったことがない人を採用したことがあります。その人は面接のときに、弊社が配信しているサービスのUI改善案を企画にまとめてきてくれたんです。ゲーム業界や会社で働くことに対する熱量があってアウトプットが伴っていれば、どの業界の人かはあまり問題ではないかなと思います。

これからのゲームのデザイナーに求められるもの

三瓶:皆さんそれぞれの会社で活躍されている中、ゲーム業界でデザイナーとしてキャリアを積んでいくために重要なことはなんだと思いますか?

楠:クリエイターとしては新しい技術を吸収するのも大事だとは思うんですけど、闇雲に技術習得だけを行っても器用貧乏になってしまいます。そのため、クリエイターひとりひとりが何でそれをやるのか、何のための技術か、みたいなことをしっかり考えていかなければならないと思います。

開発や技術投資もそれなりにコストがかかるので、たとえば会社に属しているのであれば自社の事業のトレンドなども理解しながら、どう活かせるかなど考えられると良いですよね。

村上:デザインスキル自体は、テクノロジーの発達によってよりショートカットできるようになってくるのかなと。そうなったときにクリエイターは、スキルよりもデザインを創造する思想がより重要になり、その力と合わせていくつか向かうべき方向性が見えてくるように思います。1つは唯一無二を生み出すようなアーティスト性を高めること、2つ目はテクノロジーにより強くなりデザインの思想を掛け合わせられるようになること、3つ目は人を巻き込み、環境を自ら作り、プロダクトを広げていけるようなプロデュース力を培うこと。それらのような力がより必要になると思っています。

三瓶:デザイナーのスキルも多様化していますし、よりソフトなスキルも求められていますね。

では、皆さんが感じるゲーム業界で働くことのメリットって何でしょう?

赤坂:前で述べたチャレンジ性が高い業界である点と、社会的なインパクトを拡大することで価値の上がってきている業界でデザイナーとしての経験を積めることですね。今ではゲーム自体が当たり前の存在になっていて、誰でもスマートフォンを使ってゲームをする時代ですので。

村上:テクノロジーが発達して時間に余裕ができた分、人々はエンターテインメントを求めるようになります。そういった意味でもゲームを含むエンターテインメント領域にデザイナーとして関わり続けるのは重要な時代になってくると思っています。

三瓶:ゲーム業界に限らず、他業界でもゲーム的な要素が入っている部分もありますよね。Web業界でもゲーミフィケーションの重要性を耳にすることがあります。

赤坂:弊社DMMグループでもゲーム以外のいろんな事業の中で、ゲーム感覚を取り入れてユーザーに楽しんでもらおうといった取り組みがあります。

ゲーム業界でビジネスとしてゲームに取り組む中で、どんな仕組みを作ればユーザーへ価値を提供できるかといったスキルを身につければ、この先キャリアの選択肢も広がっていくのではないでしょうか。

鷲山:ここに登壇者として集まった人たちの会社のような、インターネットを主軸にしたオンラインのゲーム業界は、オフラインのゲーム業界と比べたときにもインターネットという文脈が加わる分、さらに今までの経験を他分野で活用しやすい業界なのかなと思います。

三瓶:確かにそうですね。今日はゲーム業界をテーマに話をしてきましたが、ユーザーに楽しんで貰うための仕組みを作るといった点では、他の業界と同じでしたね。

今後はよりゲーム・非ゲーム業界の境もなくなっていくのかもしれませんし、そうなっていくともっと面白いですね!


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