ウェアラブルデバイスのユーザー体験を向上させるためには

Heather Redding

Heather Redding氏はAurora出身のコンテンツマネージャです。ウェアラブル、IoT、その他の最新の技術動向について執筆し、キーボードから離れているときにはKindleライブラリとホットコーヒーを楽しんでいます。

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How To Create A Better User Experience For Wearables

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スマートフォンは私たちのポケットに収まる高度なテクノロジーを提供してくれますが、次の技術革新は私たちが身に着けるテクノロジーにあると言えます。

さまざまな方法で、この取り組みが行われました。2009年にFitbitが初のウェアラブルフィットネストラッカー発表するとスマートグラススマートウォッチ、マイク付きイヤリングまで、すぐにさまざまなウェアラブルデバイスが登場しました。

現在、体温を最適なレベルに保つためのジャケットやインソールなどの医療系ウェアラブルデバイスなど、あらゆる種類のスマートデバイスがありますが、スマートフォンと同様に、デザイナーたちはウェアラブルデバイス用の最適なユーザー体験を実現するために、苦慮することがしばしばあります。

そんな中で、デザイナーたちの創造性、常識、そして試行錯誤の組み合わせによって、いくつかのUI、またこの分野を安定的に推進させていくのに役立つウェアラブルデバイス技術のためのUXの設計原則を作り出しました。

より良いハードウェアの設計

ハードウェアに関して言えば、デザイナーの焦点は快適さと美しさにあります。 ユーザーは自分の身体にデバイスを装着することになるので、快適さ(またはその欠如)が致命的な問題になります。

もちろん、その技術が「クール」でファッショナブル、さらに美しいものであることにこしたことはありません。

「車を買うなら何が何でも黒」という時代はとうの昔に過ぎ去りました。現代のユーザーは完璧なカスタマイズを望んでいます。

ウェアラブルデバイスは、ハードウェアとソフトウェアがどのように相互作用するかを考慮して、どこでどのように装着されるかに基づいて設計する必要があります。

スマートウォッチと脳波ヘッドバンドが同じように設計されるべきではないことは明白かもしれませんが、それらがどのように使用されているかによってデバイスごとに微妙な違いがあるといえます。

より良いソフトウェアを設計する

ウェアラブルデバイスの設計作業の多くはソフトウェアにもあてはまります。ユーザーがデバイスを使用するとき、ソフトウェア(メニューもしくはアプリ)を通じてアクセスするので、良いソフトウェアUXの重要性は言い過ぎではありません。留意すべきいくつかの事項を下記のようにまとめてみました。

見やすさ:スマートフォンやノートパソコンの画面とは異なり、スマートウォッチやフィットネストラッカーで利用できる小さな画面はひと目でわかるように設計されています。必要な情報を正確に、瞬時にユーザーに提供しなければなりません。 警告ブレスレットのようにスクリーンを持たないウェアラブルデバイスは、重要な情報を合理化された方法で伝える必要があります。

シンプルさ:無駄な情報をユーザーに与えてはいけません。アラートブレスレットやフィットネストラッカーなど、特定の機能を対象としたウェアラブルデバイスは情報の表示のみを目的として設計されているため、ユーザーに余分な負荷をかけないで必要な情報を伝えることができます。スマートウォッチやスマートグラスのような、より幅広い機能を持つウェアラブルデバイスにおいてのタスクはより複雑になります。

セキュリティ:忘れてはいけないのが、ウェアラブルデバイスは、ハッカー、マルウェア、およびセキュリティ侵害の厄介な行為から魔法のように隔離されているわけではないということです。 セキュリティ面は、デバイスの不可欠な部分として設計されていなければなりません。DevSecOpsについて聞いたことがなければ、こちらを参考にしてみるのも良いでしょう。

公共な場でのプライバシーの保護:ウェアラブルデバイスは公共の場で使用することが多いデバイスですが、それらが提供する情報のプライバシーを守る必要があります。覗き見などを防ぐために、デザイナーはデバイスを使用する角度によって反応するモーションセンサーにより、利用者の顔が向いているときには多くの情報を表示して、そうでないときにはスクリーンを見にくくすることを検討するのも良いでしょう。

ワイヤレス接続の可否と、それ以外のネットワークの種類:ウェアラブルデバイスがデータ送信するための無線技術とネットワークにはいくつかの種類があり、それぞれに長所と短所があります。 どのタイプのワイヤレスネットワークを使用してデバイスを統合するかという選択をするにあたって、デザイナーは次の点について考慮する必要があります。

  • 身体のどの部分に装着するのか
  • どのくらいの量のデータを、どの程度の距離で送信する必要があるのか
  • ユーザーが必要とするであろうおおよそのネットワーク速度

選択可能な無線技術には、次のものがあります。

  • Wi-Fi:おそらくもっともポピュラーなワイヤレス技術であるWi-Fiネットワークに接続されたデバイスは、2.4GHz帯域の電磁放射を放出します。ウェアラブルデバイスの使用は頻繁で、公共の場での使用も多く、また中容量から大容量のデータ送信が必要となります。Wi-Fiアクセスポイントも、特に大都市圏では非常に一般的であるため、Wi-Fi接続はよい選択と言えるでしょう。Wi-Fiネットワークはまた、経済的で実装が容易でもありますが、大きな欠点は、これらのネットワークに接続されているデバイスがかなりの電力を消費するということです。
  • 携帯無線:4G LTEや最新の5Gなどの携帯無線技術は、長距離でデータをすばやく送信できるため、遠隔のWebサーバーにデータを送信するウェアラブルデバイスにとっては当然の選択となります。
  • メッシュネットワーク:これは、特別に指定されたアクセスポイントの使用を必要としない、ワイヤレステクノロジーの広いカテゴリです。 その代わりに、それらはPeer-to-peer(ピア・トゥ・ピア)であり、データが目的の宛先に到達するまでデータがあるデバイスから別のデバイスに送信されることを意味します。より多くの人々がウェアラブルデバイスを使用するにつれて、メッシュネットワークを介してそれらを接続することはおそらく一般的になるでしょう。メッシュネットワーキング技術のうち一般的なものは、Bluetoothです。2.4〜2.48MHzのEMF範囲で動作し、より少量のデータを安価かつ迅速に送信することができます。もう1つはWi-Fi Directです。これは、アクセスポイントなしで機能するWi-Fiのピア・トゥ・ピアバージョンです。
  • 低消費電力メッシュ:少量のデータを短距離で伝送する一種のメッシュネットワーク。上記のネットワークタイプよりもはるかに低いEMF範囲で動作します。他のタイプの無線ネットワークのデータ伝送能力を持っていないので、小容量の単純なデータだけを伝送するウェアラブルデバイスにとって理想的です。低消費電力メッシュネットワークの種類には、Bluetooth Low-Energy(BLE)、Zigbee、Z-Wave、および6LoWPANがあります。

すべてのワイヤレス接続の反対側には、ウェアラブルデバイスがデータを送信するサーバーがあります。サーバーが停止したり、データが送信されなかったりすると、ウェアラブルデバイスの利用者に不満が生じてしまうので、オンラインに関する起業家は稼働フローの信頼性がいかに重要であるかを認識しています。

このリスクは、Webホストの選択がデザイナーにとって重要な指標だということを示しています。信頼のおけるWebホストは、現在においての最高のハードウェアとソフトウェアとともに動作するうえで、100%の稼働時間を保持すべきです。要するに安いWebホストを選択することは必ずしも金銭の節約にはつながらないということです。それどころか、デバイスのダウンタイムと消費者の不満によるコスト増につながるでしょう。新製品を市場に投入するのであれば、低いパフォーマンスによって顧客を遠ざけることは避けるべきです。

健康に及ぼす影響への考慮

ウェアラブルデバイスおよびワイヤレス接続に関する質問には、単なるユーザーの利便性、デバイスのデータ転送要件、およびそれがパッチされるネットワークの種類だけでなく、他にもあります。

それは健康に及ぼす影響です。

EMF放射線への持続的な被曝による、長期的な健康への影響についての厳密な科学的研究はまだ始まったばかりですが、複数の科学者がこの問題について懸念を示しています。

健康への影響に関するデータは決定的なものではありませんが、特にデバイスが重要な臓器の近くに着用される場合は、設計者が充分な注意をはらい、可能な限り低い周波数の放射線を放出するウェアラブルデバイス技術を作成するのが賢明です。

最後に

ウェアラブルデバイス向けに優れたUXを作成するのは容易なことではありません。 ウェアラブルデバイスは見て、使われるものであることから、公私の両方における使いやすさを組み合わせる必要があります。 それがスマートデバイスのように見えなくても、それがスーパースマートデバイスとして機能するなら、それはユーザーの視点からはウィンウィンの、理想的な状況と言えるでしょう。

スマートデバイスのユーザーは予測不可能で個性的な人々であり、デザイナーにチャレンジを求める存在といえるとともに、彼らには共通点が1つあります。 それは、デバイスに感情的な部分を望み、親密な関係を築こうとする点です。

テクノロジーが発展するにつれて、ここで説明されている考慮事項とベストプラクティスに従えば、新しいウェアラブルデバイスと既存のウェアラブルデバイスに適したUXが長期にわたって有効活用されることでしょう。


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