UX MILKの三瓶です。先日9月14日(土)、「UX MILK Fest 2019」を開催し、無事盛況のうちに終えることができました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!
この記事では当日の写真とともに、オーガナイザーの僕が何を考えてこういった企画や仕組みにしたのかなども補足していきつつ、振り返っていきたいと思います。
当日の様子
百聞は一見にしかずということで、まずは当日の入場体験を写真で追っていきます。
入場者には受付にてパンフレットとトートバッグをお渡し。トートバッグにはノベルティやスポンサーさんのチラシなどをまとめて詰め込みました。
フェスということで、それっぽいフェスバンドも作成。一般チケット、懇親会付きチケット、関係者の3色に分けました。この配色は今回のメインビジュアルのパレットを踏襲しているんですが、なかなかオシャレで気に入っています。
UXデザインに携わるのはデザイナーだけじゃない、どんな職種にもUXは関係がある、というメッセージを常に意識しており、実際うちのイベントの来場者さんの職種は実にさまざまです。
今回も例外なく、多様な職種の方が来ているということを来場者さん自身にも体感していただきたく、名前と職種を書くパスステッカーを配布しました。後述しますが、今回は交流や対話のしやすい設計にする、というのが大きなコンセプトでしたので、そういった意味でも活用いただけるだろうと、入場時に記入して貼ってもらえるようにしました。
メインスペースとも言える広場エリアはこのような感じです。トークルームやワークショップなど、各コンテンツエリアが併設されています。
今回のスポンサーさまはエントランスからすぐ見えるところにどどんと。総勢21社の企業様にご支援いただきました。本当にありがとうございました!
広場の真ん中にはお馴染みのミルクボーイとうし。輪郭が強めでくっきりしているのでどの写真で見ても合成に見える…。
会場はビビビットさんのセミナースペースを使わせてもらいました。元から牛がいたり、芝生っぽいカーペットだったので、今回の企画を思いついたときに真っ先に思い浮かべた会場で、思い立ったと同時にいつもお世話になっている担当さんにメッセンジャーを送って即答でOKをもらいました(笑)。走りながら思いつきとノリでイベントを組み立てていく僕にとって、ビビビットさんのノリのよさとフットワークには本当に助けられました。改めてありがとうございました。
実際、開放感のあるスペースでUX MILKっぽいし、今回のコンセプトにはピッタリの会場だったと思います。
各コンテンツエリア
メインのエリアからは4つのコンテンツエリアに分けました。
まずは広場の角にある「STAGE」。メインの導線の延長線上にあるスペースで、後ろの方でピクニックのように座ることができます。
広場には3部屋セミナールームが併設されており、こちらは「トークルームA」。キーノートやミニキーノート、トークセッションなどが行われます。
同様に反対側には「トークルームB」。
そして2つのトークルームの間に挟まれた「ワークショップ」部屋。こちらでは一日を通して5つのワークショップが行われていました。レゴを使うものからゲームっぽいもの、定番の付箋をつかうようなものからお笑いのコントを分析するようなものまで、さまざまなバリエーションのワークが揃っていました。
また、広場の横にはフードやドリンク、Tシャツショップ、そしてビビビットさんによる「UX大喜利」を常設しました。
こちらは僕の企画ではなかったのですが、セッションとセッションのちょっとした合間に書いている人が多く、こうしたアクティビティがあるのもいいなと思いました!
イベントの設計思想
さて、せっかくなので少しコンセプトや設計の話をします。
UX MILKは普段から交流を重きにおいたイベントを多く開催しています。その心は、「対話の中にこそ学びがある」と考えているからです。
UXデザインに関して言えば、答えは千差万別ですし、誰かにとってのベストプラクティスが自分の状況で有効であるとも限りません。ですので、この領域では成功者のうまく行った話を長いこと聞くよりも、そのあとの懇親会で出会った似たような境遇の人と「実はこんなことに困ってて…」と話していったほうが身になると思っています。
つまるところ、色々な人から色々な話を聞いて、視野を広げ、最終的には自分で考えるしかないのじゃないかなと。UX MILKのイベントは日々そう思って企画していまして、今回のフェスに関してもそこは何ら変わりません。全体を通してのテーマを「UXデザインの解像度を上げる」としたのもこの延長線上で、あくまで自分がこの先どう「UXデザインに関わっていくか」を考えながら歩き回ってほしい、という想いがありました。
こういった哲学から今回の大型のイベントも「デザインカンファレンス」ではなく、もっと来場者さんが能動的に動いてさまざまな人が楽しく対話しそうな「デザインフェスティバル(=お祭り)」としました。
対話しやすくするための工夫
では、どうしたらただのカンファレンスではなく、わいわい楽しく対話しやすい場が作れるのでしょうか。いくつか作用していそうな要素をピックアップしました。
AMA=Ask Me Anything
今回、各セッションが終わるとセッションと同じ時間だけ、AMA=Ask Me Anything(何でも聞いてね)セッションという時間を設けました。
プレゼンテーションが終わったあと、前にいるスピーカーのもとに長蛇の列ができてしまう現象は、セミナーに行ったことがある人ならわかると思います。これだと1to1のコミュニケーションが始まってしまい、知の共有という観点ではあまりよくありません。かと言って、セッション終わりに全員静まり返っている中での質疑応答もどうにも話しにくいです。そこで、その2つの間くらいのテンションで、カジュアルに話しつつ、皆の聞きたいこともゆるりと聴けるような場にできないか、という試みがAMAというわけです。
AMAに関しては完全に手探りでしたので、各エリア担当のスタッフにある程度意図だけ伝えて任せました。僕から一つだけお伝えしたのは「スピーカーさんと来場者さんの目線を合わせるようにして」ということだけでした。つまり、登壇のステージから降りていただいて、敢えて座っていただくなど、来場者さんと同じ目線に持ってくるということです。
前に立つ人 VS 聞く人の構図ではなく、もっとフラットに話してほしいことから、これだけはお願いしていました。あとは各部屋、色々話しやすくする工夫を試してくれていたようです。
STAGEでは前のステージに腰掛けて目線を下げてもらいました。
椅子ではなく、敢えて床に座っていただいけるとさらに話しやすくなることもありますね。
トークルームAでは輪になって話すスタイルをやっていました。スピーカーさんは囲まれて少し緊張しますが、みなさんが一斉に前見ているよりは多少一体感を出すことができているのではないでしょうか。
この施策がうまくいったかどうかは現在検証中なのですが、少なくとも運営側の意図としてこういったことをしたいというのが伝わり、対話を試みる参加者が増えたというのはありました。
ですが、特に午後は来場者数も増えてきて、席を動かすだけの余裕もなく、いわゆる普通の質疑応答で進めざるを得ない部屋もありましたので、それは明確な反省点です。
そもそも100 vs 1で気軽な対話というのはさすがに無理があるので、この施策が機能するにはもう少ししっかりと人数のコントロールなどをした上できちんと設計しないといけないことを反省しました。
セッションの長さとスピーカーのバリエーション
対話のしやすさにおいては、セッションの長さと登壇いただく人にもこだわりました。
まずトークセッションは30分・15分・5分という3タイプの枠を作りました。これは前述の通り、話を受け身で聞くのは多くて30分くらいにして、あとは能動的に話す時間を作りたいという理由が一つ。
もう一つの理由として、どこかの偉い人や重鎮ばかり集めるのではなく、あくまで来場者さんと同じ目線の実践者をできるだけ多くアサインしたいというのもありました。来場者さんにとってスピーカーが等身大の方のほうが精神的なバリアも少なく、より対話しやすいですし、「自分も明日から頑張ろう」感が出るかな、と思っています。
登壇いただくスピーカーは、以下のような基準を考慮しながらバランスを取りました。
- できるだけ業種・職種は幅広く
- 男女比率はなるべく均等に
- 年齢層が偏らないように
- レベル感も幅をみる
ダイバーシティではないですが、「色々ある」感を立体的に出すために一応このあたりを気にしました。この部分は必ずしも全部やりきれたわけではないですが、なにか判断に困ったときの指針として決めていました。スピーカーの公募はたくさんご応募いただいておりまして(ご応募頂いた皆さん、ありがとうございました)、なんで落ちてしまったのか気になった方は、こういう要素が強めに働きました。正直時間が許すなら全員出てしまえという感じなのですが…(笑)。
ピクニックスタイル
上記2つはスピーカーさんと来場者さん間の対話の工夫でしたが、来場者さん同士の対話の工夫としては、広場の空いているところには自由に座っていいマットを敷くなどして、カジュアルでラフな雰囲気を作ってみました。ロックフェスなどでステージを遠目にテントでまったりしている人のイメージで、ゆるくご参加いただけないかなと思っていました。
この写真、たまたまスピーカーさんばかりなのですが、写真真ん中のユーザベース平野さんなんかはまさに、「もっと他の人とあーでもないこーでもないと話しながらプレゼンを観たい」とおっしゃっていたうちの一人だったりしますので、見事体現してくれているなと(笑)。
座り込んでご飯食べてもよし、足を広げてよし、で皆さん適度にお話したりくつろいだりしていました。
ちなみに余談ですが、これはセッティングしているときの図で、皆に「ヨガでもやるの? 色々コンテンツあって楽しいね」などと言われてたので、果たして開場後に想定通り機能するか、内心ハラハラしてました。
とにかくお祭り感
ただひたすらプレゼンテーションやワークショップのみでは、セミナー感が出てしまいますし、何度も言うように今回は「フェス」だったので、その名前負けしないように、オフィス内のできる範囲でフェスっぽいものを入れようとしました。
というわけでケータリングも、いわゆるIT勉強会でよく見るようなケータリングよりも、趣味でライブハウスなどでカレーを出しているGreen Leaf Curryに頼みました。趣味とは言えども、スパイスからこだわりの本格カレーを作る方で、これが本当に美味しいんです。
すごくフェスっぽいですよね。数が足りなさそうだったんで、来場者優先でスタッフには食べるの我慢してもらってたんですが、会場中にいい匂いが充満していて、スタッフエクスペリエンス観点では正直あまり良くなかったと思います(笑)。けど来場者さんのテンションを上げるのには確実に貢献していたかと。
フェスといえば横に物販ブースがあるイメージだったので、ノリでTシャツを作って売ってもみました。本当はもっと色々なグッズを作って、ちゃんとしたショップをやりたかったのですが手が回らず、滑り込みでTシャツだけ発注して、ノープランで会場に持ち込みました。こちらも好評で、皆さん楽しそうにサイズやデザインを選んでくれました。
滑り込みで準備したものですから、ろくにスタッフもアサインできていないので、主宰の僕自らが立って売っていたのですが、まさかTシャツ売っているのがオーガナイザーだとも思わないようで(オーラがないとも言える)、ちょっとしたエスノグラフィというか、来場者さんのフラットな様子が見れてとても面白かったです。
正直フェスの他の部分が手が回っていないのに、これをやるのかは迷ったのですが、やはりこういったやらなくていいもの、余計なもの、というのも雰囲気作りには大切なのではないかと個人的には思っています(別にTシャツは買わないにしても)。
GOOD SX
ここまで色々とこだわった点などをつらつら書いてきましたが、僕がどんなに崇高なビジョンやコンセプトを掲げたとしても、それが来場者さんに体験として伝わらなければ意味がないわけで、そうした点でどうなるか非常に心配でした。結局のところイベントの体験を創り上げるのは僕ではなく、来場者さんのタッチポイントとなるスピーカーさんやスタッフさんであり、それがどう受け取られ、どういう行動につながるかというところですので。
ふたを開けてみれば、来場者さんも当日は非常にリラックスしてご参加頂いている方も多く、SNSでもイベントの体験に関しては好評で、ホッとしました。もちろん至らない点だらけではあったのですが、コンセプトのコアの部分に関しては一定の理解を頂いて、ご参加いただけたように思えます。
これもひとえにスピーカー、スタッフ、そしてスポンサーの皆さんのご理解があってのことだと思いますので、本当に感謝しかありません。Speaker, Staff, Sponsorと、まさに3つのSの良い体験(SX)が生んだイベントでした。改めて皆さんありがとうございました。
懇親会の前にささっと撮ったスピーカーさんの集合写真。スピーカーさんもこの人数ですので、全員では撮れなかったのですが、不在だった方を下の方に並べたらMacのDockみたいになってしまいました…。しかし一日のイベントでスピーカーが42人もいるのちょっとおかしいですね(笑)。
イベント終了後のスタッフの皆さん。こちらも全員はいらっしゃらないと思うのですが、あとは下記クレジットにて…。
本当に多くの方がイベントの趣旨に共感してくれて、力を貸してくれました。そしてみなさんがいなければ全然回りませんでした、なんせUX MILKは現在2名体制ですから…。こちらも本当にありがとうございました。
まとめ
UX MILKは今後も色々な企画をやっていきますし、きっとまたこのフェスも何らかの形でやります。常日頃から言っているのですが、UX MILKの基本スタンスは「現場で頑張っている方々をフィーチャーする」というところにあります。そして何より勉強になるのは、自分で発信することです。
UX MILKは皆さんが参加したい・発信したいと思うような場をこの先も作っていきますので、ぜひ積極的にご参加いただければ嬉しいです。これを読んでいる皆様におかれましてはネタの準備とウォームアップの方、よろしくお願いします。
※スピーカーさんの当日資料は、まとめたものを追ってアップいたしますのでもうしばらくお待ち下さい。
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STAFF CREDITS
Organizer
三瓶 亮
Director
山本 翔子
Partner
室内 あり紗
Content Managers
富樫 咲貴
木村 奈都江
小栁津 麗欧
伊藤 麻紀子
道家 陽介
江口 美要子
河西 紀明
栄前田 勝太郎
Content Assistance
三島 貴志
奥野 遥
内山 梢
和田 歩波
井澤 あゆみ
森田 かすみ
田尾 柚花
久保田 成人
Reception
原田 優也
豊澤 ゆい
加藤 篤輝
山田 春光
井上 佳子
Cloaks
小宮 大地
川口 恵美子
松井 志帆
Catering
中西 広充
内海 邦紘
川元 裕一朗(Green Leaf Curry)
西堀 貴裕(Green Leaf Curry)
Guidance
林 孝憲
辻本 弘之
水谷 駿太
寺倉 翔太
鮑佳
門井 紗貴子
Photos
三条 康貴
小此木 愛理
Movies
比嘉 亮太