アイデア出しのためのゲーム「スケッチストーミング」のすすめ

Neil Turner

Neilは、イギリスのAstraZenecaで働くUXデザイナーです。現在さまざまなUXデザインのプロジェクトを率いています。

この記事はUX for the Massesからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

A guide to sketch storming – a design game for ideation

(出典:Sketching workshop by Amy Goodchild from uxme.co.uk)

1940年9月、Marcel Ravidatが友人と一緒にフランス南西部の自宅近くにある森を歩いていました。彼らは、やぶの中に奇妙な穴を見つけ探検することにしました。そこで考古学上もっとも偉大な発見の1つである17000年前に描かれたラスコー洞窟の壁画を発見したのです。壁画にはさまざまな種類の動物や人類、古代の物語が描かれていました。

17,000年前のラスコー洞窟壁画の1つ(出典:Lascaux cave paintings by Prof Saxx)

17,000年前の壁画がユーザー体験とどのように関係するのでしょうか? この洞窟は、人間が何千年もの間スケッチやイラストを使ってコミュニケーションをとり、物語やアイデア、コンセプトを共有していたことを示しています。スケッチやイラストは時代を通してあらゆる文明の一部なのです。古代エジプトの象形文字から、イングランドのノルマン征服を描いた有名なバイユーのタペストリーまで、絵を描くことは、人間にとって話すことや歩くこと、戦うことと変わりません。私たちは生まれながらにして絵描きなのです。ペンや鉛筆で描かれた幼児の落書きを見るだけで理解できるでしょう。私たちは、文字を書くずっと前から絵を描いています。

しかし、生来のスケッチ能力を利用することは難しいものです。私たちの多くは、絶好のタイミングでスケッチをすることを躊躇し、スケッチすることの楽しさを忘れています。私は以前、スケッチの重要性や、スケッチの楽しさを再発見することの素晴らしさを紹介しました。スケッチを活用する素晴らしい方法の1つに、スケッチストーミングというデザインゲームがあります。方法は以下の通りです。

スケッチストーミング入門

スケッチストーミング(Sketch storming)は、アイデアを考案するワークショップに最適なデザインゲームです。スケッチストーミングは、おおよそボードゲームのピクショナリー(Pictionary)に基づいています。プレイヤーは人物やオブジェクト、アクション、動物などを素早くスケッチし、ほかのプレイヤーは何が描かれているのか推測します。重要なのは、文字や記号は使用できず、スケッチだけに頼る点です。ピクショナリーで遊んだ経験がないのなら、とても楽しいゲームなので是非試してみてください。

ピクショナリーほど優れたパーティゲームはありません(出典:Pictionary party by François Haffner)

ピクショナリーと同様に、スケッチストーミングのプレイヤーは、最初は文字や記号を使わずにアイデアをスケッチしなければなりません。スケッチした絵は、グループ内で推測したり議論したりするので、注釈はあとで付記します。

スケッチストーミングは、アイデアを考案して議論するのに最適です。革新的なコンセプトでも、新しいプロダクトやサービスでも、既存のユーザー体験を改善するアイデアでも効果を発揮するでしょう。

必要なもの

スケッチストーミングは、非常にシンプルなゲームです。必要なものは次の5つです。

  • 数人の仲間:2人から7人のチーム
  • 用紙:A4サイズが適しています
  • ソフトな粘着剤:スケッチを貼り付けます
  • ペン:遠くから見えにくく、間違えてスケッチを消してしまうのを防ぐため、鉛筆は避けましょう
  • 場所:スケッチを張り付けられる壁があり、すべての参加者が快適に絵を描ける椅子とテーブルがある場所

遊び方

スケッチストーミングは、通常20~30分かかります。単独でも十分な体験ですが、長いワークショップの一部としても有効になることがわかりました。このゲームは7人以下のグループが最適で、ユーザーやステークホルダー、チームメンバーなどとチームを組んでも、飲み屋で友人たちと楽しむこともできるでしょう。ゲームでは、以下の手順に従ってください。

  1. 2~7人のチームを作ります。
  2. それぞれのチームで進行役を決め、スケッチの後に行われる議論を記録します。
  3. 取り組むべき問題を提起します。効果的な導入方法は、「どのように〜」という問いを用いることです。たとえば、「どのように」ユーザー数を増やすのか、「どのように」ユーザーが課題を達成しやすくするのか、「どのように」特定の評価指数を改善するのか考えましょう。
  4. 各チームのプレイヤーは10~15分ほど考えて、アイデアを紙に書き出します。ここで重要なのは、単語や記号を使わず1人で描いてもらうことです。プレイヤーには考え付く限りアイデアをスケッチしてもらいましょう。多ければ多いほど好ましいです。
  5. プレイヤーは描いたスケッチを壁に貼り出します。その後チームは、交互にそれぞれのアイデアを推測し解釈します。アイデアを描いた当人は、もちろん自分のスケッチを推測できません。
  6. アイデアを推測し議論するとき、進行役は、メモやコメントをポストイットに書き出したり、直接スケッチに記録したりしましょう。
  7. すべてのスケッチについて推測と議論が終わると、もう一度実施し、プレイヤーがアイデアを反復して考案することもできます。二回目からはそれほど時間がかかりません。たとえば、スケッチの時間は5分もあれば十分でしょう。

いつプレイするべきか

スケッチストーミングは、最初に多くのアイデアを考案するのに最適なゲームです。また、チームワークを形成するのに非常に効果的であり、ユーザーやステークホルダーと協力して創作するのにも最適です。プロジェクトのいつでもプレイできますが、多くのアイデアとコンセプトを生み出せるので、特に初期の段階で可能性を探すのに役立ちます。

なぜ役立つのか

スケッチストーミングは楽しいですし、すべての人の創造力を発揮させることができます。推測という要素はゲームを楽しくするだけでなく、グループで議論しアイデアを共有することにもつながります。最初は個人でアイデアをスケッチするため、アイデアを提案する機会が誰にでも存在します。スケッチに注釈をつけることで、有効なインサイトが得られるでしょう。

資料

スケッチストーミングゲームを試したい場合は、以下のリンクからプレイヤーに配布する用紙を印刷できます。


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