優れたUXデザインポートフォリオの構成要素とは?

Albert Ellenich

Albertはすべての人が使いやすい技術の制作に従事するUXデザイナーです。

この記事はUXPinからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

What Makes a Great User Experience Portfolio?

UXデザイナーになったばかりで成長を望んでいるとき、ポートフォリオは自分の能力を示すもっとも一般的なツールです。

どのようなデザインプロジェクトでも、提供する相手を理解しなければなりません。したがってポートフォリオも、面接官に直接話しかけるようにまとめる必要があります。UXの仕事をプレゼンテーションにまとめるのは難しい作業ですが、いくつかのガイドラインが助けてくれるでしょう。

見る人のニーズを叶えるポートフォリオのために

UXデザイナーは、あらゆる組織の中で、部門をまたいで集められたチームと一緒に働きます。そのため、UXの専門家だけでなく、UXに携わらない人にもポートフォリオを評価してもらうべきです。全員のニーズに応えられる証拠を見つけるために、以下の人物に意見を求めてください。

UXチームのリーダー

あなたの未来の上司や同僚は、プロジェクトの最初から最後まで同じチームで働くことになります。したがって、あなたがどのようにアイデアを考え、伝え、表現するのか知りたいと考えています。彼らの期待に応えるためには、次の要素を含めましょう。

  • スケッチやストーリー、ストーリーボードの工程、コンセプトマップといった形で、思考プロセスを例示しましょう。
  • UXのコンセプトを伝える際に多様なツールを使用できることを示しましょう。解決策はワイヤーフレームだけではありません。鉛筆のスケッチや、ホワイトボードのブレインストーミング、ナプキンに描いたらくがき、忠実度が低いワイヤーフレームといった、ワイヤーフレームを作成する前に使用するツールについても示してください。
  • アイデアを完璧に伝えられることを証明しましょう。注釈のついたワイヤーフレームを使うことで、ユーザーとのインタラクションを明示し、主目的を文字で説明してください。

クリエイティブディレクター

クリエイティブディレクターは、あなたがビジュアルデザイナーとどのように協力するのか知りたいと考えています。小さな組織や自営業のUXチームでは、制作部門がUXに関する人事も兼任していて、クリエイティブディレクターに面接することもよくあります。

  • レイアウトやトランジション、デザインをチームメイトにどのように伝えたのか実証できる事例を含めましょう。
  • 位置やサイズ、目立ち方を調整して、画面内でコンテンツに一体感を持たせる方法を知っていると証明しましょう。大まかなスケッチや、本格的なワイヤーフレームなどが挙げられます。
  • 同じスクリーンの完成したビジュアルデザインと最終的なワイヤーフレームを表示し、どのようにデザインチームと協力したのか説明しましょう。

開発チームのリーダー

開発チームのリーダーは、あなたが作成したインタラクティブデザインを動かしている技術に注目します。リーダーには、フロントエンドの開発者、CMSの管理者、バックエンドの開発者などがいます。彼らが知りたいのは、技術基盤に自分のデザインを組み込む方法を理解しているかです。UX部門が技術部門の配下にある場合、これは特に重要です。

  • プロセスフローの図は重要な成果物です。このダイアグラムによって、システムの視点から考える能力を示し、システム応答や条件命題といった作業に影響するものへの知識を示すことができます。
  • インターネット技術によって、特にCMSではコードやデザインの要素がモジュール化されます。そのため、モジュールコンテンツやインタラクション要素、ウィジェットをデザインする能力を証明できる作品が必要です。

ビジネスアナリスト

インタラクションデザインの経験があれば、ビジネスアナリストという肩書の人や、同じような職種の人々から提示される要件に答えられます。彼らは要件をインタラクションデザインに組み入れる能力を伺おうとします。

  • ビジネスの要件に対する理解を明確に示しましょう。ワイヤーフレームやフローと言った、これまでに言及した成果物が活用できます。
  • あなたのデザインが具体的なビジネスのニーズにどのように応えたのか示すことが重要です。たとえば、ビジネスの要件として本編の内容やキャンペーン中のプロダクトを見せる必要がある中で、ECサイト体験でユーザーの買い物を助けた経験を示しましょう。このとき、どのようにビジネスのニーズとユーザーのニーズを融合させたのか実証してください。

営業担当者

営業部長は、クライアントやステークホルダーがもっとも連絡を取る相手です。営業担当者は、あなたがどのように外部のクライアントや内部のステークホルダーに複雑な内容を伝えるのか知りたいと思っています。

  • たくさんの注釈がついたワイヤーフレームやプロトタイプを紹介する絶好の機会です。ストーリーボード型の画像は、ポートフォリオで示すプロトタイプとして優れています。
  • ポートフォリオが評価されるとき、そこに自分が居合わせていない可能性もあります。面と向かって広範囲の説明ができなくても、クライアントが理解できる成果物を用意することが重要です。

UX成果物をまとめる2つの方法

ポートフォリオは、成果物の種類ごとにまとめるか、プロジェクトの事例ごとにまとめましょう。携わった仕事の種類と量に応じて、どちらのまとめ方が適しているか判断することができます。

1. 作業が複数のプロジェクトにまたがっている場合、成果物の種類ごとにポートフォリオをまとめる

UXの事例が、複数のプロジェクトのニーズに対応していることがあります。1つのプロジェクトを裏付ける成果物が少ないなら、このまとめ方が最適です。自分が持っている成果物の種類ごとに、選りすぐりの事例を少なくとも3~5個は提示してください。たとえば以下のようなものです。

  • スケッチ
    鉛筆、ホワイトボード、デジタル
  • プロセスフローとコンセプトマップ
  • ワイヤーフレーム
    注釈がついた非常に詳細なものから、基本的なコンセプトを示すために大雑把なものまで、さまざまな忠実度のものを備えましょう。
  • 対照比較
    完成したデザインとワイヤーフレームを並列して提示しましょう。
  • ケーススタディ
    可能なら、詳細なケーススタディを1、2個含めましょう。プロジェクトを仕上げるために作成した順番で成果物を提示してください。グループで成し遂げたプロジェクトのプロダクトも含めることができます。あるいは、フォーマルなドキュメントにまとめることもできるでしょう。

2. 5~7個のプロジェクトにまたがる多数のサンプルを持っている場合、ケーススタディごとにポートフォリオをまとめる

自分の思考プロセスを表現するために、5つ以上のケーススタディで制作したそれぞれの成果物を使って、プロジェクトの構想から完成品の実装までに関与したことを実証しましょう。5~7個のケーススタディにこだわって、さまざまな種類のプロダクト(フロー、スケッチ、ワイヤーなど)を適切に表現できることを示してください。

ケーススタディごとにさまざまな成果物を提示する必要があるので、ケーススタディの数は7つ以下に収めてください。それぞれのケーススタディに最低5つのサンプルが含まれるとすると、ポートフォリオには25~35個の成果物が存在することになります。

  • デザインの課題や問題、機会、プロジェクトが目指した目標について説明しましょう。
  • 作成したデザインのエンドユーザーを明確にしましょう。
  • スケッチやコンセプトマップといった視覚的要素を使って、最初のアイデアをどのように概念化したのか示しましょう。
  • ステークホルダーやほかのデザイナー、開発者とコミュニケーションをとるために使った視覚的な事例を提示しましょう。プロセスフローや大まかなワイヤーフレームなどが挙げられます。
  • 注釈つきのワイヤーフレーム、コンテンツマトリックス、仕様説明など、ほかのチームメンバーが使用した最終的な成果物を提供しましょう。
  • 最終的なワイヤーフレームとビジュアルデザインを対照して比較できるようにしましょう。
  • プロジェクトの成功を証明する図表やグラフ、統計を用いて、デザインの成果を裏付けましょう。売上は上がりましたか? 登録者数は増えましたか? ヘルプデスクへの問い合わせは減りましたか? 
  • クライアントやステークホルダー、同僚はプロジェクトへの貢献をたたえてくれたでしょうか? 発言の引用も載せましょう。

ケーススタディは、ひとつの流れでデザイン思考を示す優れた方法です。ポートフォリオの主な目的は成果を示すことなので、UXと関係のない些細な情報に没頭しないでください。プロジェクトの最初から最終的な実装や納品まで、あなたがどのように関与したのかに焦点を当ててください。

ケーススタディのデザインについてさらに深い情報やヒントを探しているのなら、Smashing Magazineに掘り下げた記事があります。

次は何をすべきか? 

  • インタラクティブなプロジェクトを解決したプロセスと、そのプロセスに貢献した成果物の種類について考えましょう。サンプルを種類ごとにまとめ、ポートフォリオに順番に配置してください。これによって、プロジェクトのそれぞれの段階での思考過程を例示することができます。
  • プロジェクト全体の成果物を自己完結型の物語にまとめることで、ケーススタディを作成しましょう。
  • 直接やりとりできない場合、ポートフォリオの情報を共有する方法を探しましょう。すぐには直接会えない人に作品を共有するよう頼まれるかもしれません。共有可能なPDFやWebサイトも用意しておきましょう。
  • LinkedInにプロフィールを登録しましょう。サードパーティや社内の採用担当者がよくLinkedInで優秀な人材を探しています。LinkedInでは、簡単に経歴を紹介でき、ダウンロード可能なファイルを提供したり、業績をオンライン上にリンクさせることもできます。

まとめ

優れたUXポートフォリオとは、読者の多様なニーズを認識しているものです。UXに携わっていない同僚と協力するためには、デザイン思考を視覚的にわかりやすく伝え、さまざまな部門の人々が混合する中で協力する方法を理解している必要があります。ポートフォリオを評価する人たちは、それらのニーズに対するソリューションの実例を知りたいのです。あなたのポートフォリオは多様な読者をどのように説得できますか?


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