市場ベースの調査レポートによると、80%の企業が「優れた」顧客体験を提供していると考えています。ただし、顧客側に聞いてみると、この事実に同意したのはわずか8%でした。これを「デリバリーギャップ(提供する側と提供される側とのずれ)」と呼ぶことができます。
さて、WebデザインにおけるCX(顧客体験)について詳しく説明していきますが、その前に、UX(ユーザー体験)とCXの混乱を整理しましょう。UXとCXが市場に取り入れられたのはかなり前であるにもかかわらず、いまだに多くの場合、ステークホルダーの一部はそれらが同じものだと誤解しています。もしあなたも心当たりがあるなら、まず下の図で正確に理解してください。
Forresterのレポートでは「顧客の期待に応えないことは、顧客を手放すことを意味します。デジタルトランスフォーメーションの進展が十分に行われないと、市場シェアの損失につながり、長く続く強固なビジネスモデルではなくなってしまいます。」と書かれています。そのためそれぞれの組織は、「デリバリー・ギャップ」を縮小し、コンバージョン率を高めるために、デジタルへの最適化を図るために創造的なアプローチを採用する必要があります。
GreatAmericaは、ショッピングのユーザー体験の中の70%が、軽い気持ちで訪れた買い物客が、そのブランドの大ファンに転じる過程における顧客の気分に関わっていると、報告しています。したがって、リピーターと新規の顧客の両方に適切なCXサービスを提供することは、ビジネスにとって極めて重要になっています。そのため、最近のWebデザインのトレンドは、最新のバズワードになっているCXに向かって展開されています。
なぜ顧客体験が重要なのか?
今日(こんにち)、顧客は手元で大量の情報を入手できます。遠隔でビジネスを行ったり、海外からの商品を購入したり、好みのサービスを見つけたりすることにもはや障壁はないといえるでしょう。これにより、購入や消費に対する人々の習慣が変化したのです。
いまや、あなたのビジネスとのあらゆるインタラクションが顧客の判断のポイントとなっています。このため、最近では最初から最後までのすべての段階で楽しく快適な顧客体験をつくりあげることが必要不可欠になっています。ここでCXが重要になってくるいのです。CXデザインでは、それぞれのインタラクションでの顧客のニーズを細かく考察します。
CXは、次のような利点をもたらします。
- ブランド力の向上:適切なCXを提供すると、ブランドの評判をより簡単に高めることができます。グローバルな業界での地位を強化するのに役立ちます。
- オムニチャネルの顧客サービス:スタートアップであれ、中小企業(SME)であれ、大企業であれ、顧客体験のプロセスをビジネスWebサイトに統合すると、メッセージアプリ、ソーシャルメディア、電子メールなどの複数のチャネルでの顧客サービスに役立ちます。
- ビジネスとステークホルダーの連携:CXは、ビジネスの目標を顧客のニーズや要望に合わせて調整します。ビジネス上のステークホルダーとの関係についても継続的な顧客サービスという目線で行うことは、ブランドを顧客中心のユニークな存在として形作ることに役立ちます。
- 顧客フィードバックの収集:CXの活動を通じて、すぐに実行できるような有益な顧客フィードバックを収集しやすくなります。
Webサイトに最適なCXをデザインする方法
もしデザイン戦略の中心が顧客層なら、顧客が望むユニークな体験を作ることは簡単でしょう。以下は、Webサイトに最適なCXをデザインするために役立つヒントです。
Webサイトのコンテンツに親しみのあるトーンを採用
Webサイトのコンテンツ全体を通して潜在的な顧客にメッセージを送るために、カジュアルな、または親しみやすいトーンを採用することができます。たとえば、ナビゲーションバー、プロダクトページにつながるランディングページ、あるいはブログの投稿などには、フレンドリーで歓迎されているようなトーンでまとめられている必要があります。同様に「私たち」、「あなた」、「コミュニティ」、「コラボレーション」といった言葉を使っていくべきでしょう。
ビジネスWebサイトのコンテンツを作成する場合であれば、過度に専門的で機械的なトーンはできるだけ避ける方が望ましいです。親しみやすいトーンで、ビジネスが顧客中心であるという印象を与えるようにしましょう。
社会的証明を活用
レビューやお客様の声、顧客インタビューなどは、プロダクトやビジネスの社会的証明となります。リピーターに別の購入を促したり、新しい顧客とクロージングする際に、この社会的証明は非常に効果的です。そのような社会的証明は、あなたのブランドに多くの信頼と信用を与えてくれます。
あなたのWebサイトのランディングページで強調するコンテンツとして使える顧客のコメントやレビュー、これを収集するのに役に立つプラットフォームの選択肢がいくつかあります。
この画像でわかるように、このフィードバックフォームには、ユーザーまたは顧客があなたのWebサイトについてどのように感じているかを示すアイコンが表示されています。顧客があなたのWebサイトのサービスに満足している場合、彼らはフィードバックとして「スマイル」を残すでしょう。サービスにまったく満足していない場合、「泣き顔」を残すでしょう。ぜひ、あなたのWebサイトにも取り入れてみてください。
あなたのサービスとプロダクトの品質ついての実際の顧客からの評価を提示することで、人々はあなたのブランドに信頼を寄せ始めます。そして信頼に足るサービスと商品を提供しているブランドだと考えるようになるのです。
すぐにつながるサポートを提供
Webサイトの訪問者がサイトマップのどこからでも、簡単にサポート担当者に連絡がとれる仕組みになっているか、確認してください。たとえば、ブログ記事を読んでいるある顧客が読んでいる最中にサポート担当者にコンタクトを取りたい場合に、2クリック以内でできるかどうか確認しておく必要があります。
あるいは、このサポートページをWebサイトのフッターに追加するか、ナビゲーションバーに表示してわかりやすくするのもよいでしょう。ユーザーが連絡しやすくすることで、ユーザーのエンゲージメント率を健全に保つことができるのです。
購入プロセスを簡単に
1回限りの購入か、定期的なサブスクリプションを求めるかに関わらず、決済のプロセスは極力シンプルである必要があります。プロダクトの購入に至るまでに、何度もIDのチェックを要求されたり、確認を求められたり、あるいは追加の購入情報を要求されたりといった、顧客の貴重な時間を浪費するようなやり方は嫌がられます。
ではどのような対処が必要でしょうか?
- 決済プロセスの全体を定期的にテストして、購入プロセスを完了するために必要なクリック数を把握します。
- IDチェック、追加のオファー、ポップアップなどの煩わしさを測定します。
訪れるユーザーのプロダクトの購入プロセスがシンプルであればあるほど、あなたのビジネスにとってよい結果をもたらします。カスタマージャーニーを通じて輝かしい顧客体験を提供できれば、顧客のポイントを稼げるだけでなく、顧客のソーシャルなコミュニティの中でサービスやプロダクトを推奨してもらうことにもつながるのです。
購入後のフォローアップを確実に
ここまでで、Webサイトの訪問者を潜在的な顧客としてうまく取り込むことはできたかもしれません。ですが、カスタマージャーニーがここで終わると思ったならば、それは大きな間違いです。
顧客はお金と時間を使ってあなたのサービスを信頼したのですから、顧客サービスはここからさらに強化されなければなりません。オムニチャネルの顧客体験やメールでのアンケートなど、あなたが運営している得意な方法で顧客の購入をフォローアップすることができます。
訪問者が顧客に変化したからといって、すぐにカスタマーサポートを終了させるべきではありません。彼らにこそ歩み寄って購入のフォローアップを実行しましょう。それは顧客中心のブランドとしての信頼性を高めることにつながるでしょう。
継続してWebサイトのデザインに取り組む
この段階をうまく実行するためには、カスタマーサポート部門が継続的にカスタマーフィードバックを収集および分析している必要があります。そして、集めたフィードバックに基づいてWebサイトのデザインに必要な変更を加えなければなりません。
また、Webサイトやビジネスに関する有用なコメントやフィードバックは今後の参考にすることもできます。コメントやフィードバックはCXを洗練させて、仕組みを変えたり革新的で刺激的な何かをお客さんへ与えてくれる手助けをしてくれるでしょう。
まとめ
CXを強化する取り組みを進めていくことで、あなたのビジネスの投資対効果(ROI)が向上し、ブランドが今後成長し続けるための安定した基盤となることは疑いのないところです。興味をそそるCXを提供していくためには、顧客の声と顧客中心のトレンドに基づいてつねにアップデートし続けていかなければなりません。顧客があなたのブランドを見つけた場所がどこであっても、確実にあなたのブランドがベストな状態で表現されているようにしておく必要があるのです。