面接は、採用担当者が望ましい方法で適切な人物を見つけ出すためのプロセスです。その人物のスキル、興味、態度について理解を深めるための質問と回答のやり取りから成り立つものです。
もしあなたが転職活動中のUXデザイナーであれば、いくつもの面接の場にのぞむことになるでしょう。面接でよい手ごたえを感じて、望んでいた仕事を得るという素晴らしい結果に行きつくこともありますが、時には面接で失敗し、望む結果を得られないこともあります。こういった機会は学習のチャンスとしてとらえることで、自分自身の向上につながり、次の面接に向けてさらなる努力を続けることができるのです。
面接でよい印象を与えるためにはさまざまな方法があります。以下に、これからの面接で役立つヒントを用意しました。
1. 入念な準備
面接に出向く前に最初にすべきもっとも大事なことは、できる限りすべての準備を整えるということです。UXに関連する多くの資料がインターネット上で入手できます。たとえば、面接に役立つ質問と的確な回答集などです。
あまりにも多くの情報で圧倒されないように気をつけながら、必要なコンテンツが得られ、面接の準備に充分だと思えるサイトを見つけてみましょう。そこに書かれている質問と回答を注意深く読み、それらの回答を自分の知識と実際の経験に当てはめてみましょう。UX関連の面接でよく聞かれる質問の情報源はここで確認できます。
充分な準備をして面接にのぞむということは、あなたの雇用主となるかもしれない相手を理解し、面接で聞かれるかもしれない質問に備えるということでもあります。Glassdoorは、さまざまな企業への面接での質問や、元従業員と現在の従業員からの口コミを確認できる優れた情報源です。
面接のための、よい回答例が見つかったら、すべての質問と回答をみやすくまとめ、文書の形式で整理しましょう。次に、各回答に独自の経験を追加して、回答を微調整します。同じドキュメントに質問/回答を追加し続けると、インタビューの回答集になります。
面接の連絡を受けたら、この回答集を徹底的に読み返し、頭の中で何度も答えを練習しましょう。これは面接準備のためのガイドとなり、多くの時間を節約することにつながるでしょう。
2. 企業と面接官についての知識
面接準備のもう一つの重要なステップは、面接に出向く企業についてリサーチしておくことです。その企業のWebサイトにアクセスし、企業理念、製品、方向性などを知っておくことです。Linkedin、Glassdoor、Quoraなどの関連サイトで企業に関する情報を集めるのもよいでしょう。この情報を用いて、望ましい職務経歴書からキーワードを拾い集めてポートフォリオを編集し、面接官からみてあなたの職務経歴書が募集している職種との関連性が高く、魅力的に映るようにしましょう。
一部の面接では、面接官が誰であるかという情報を事前にメールで受け取ることもあります。面接官について知ることは、企業について調査することと同じくらい重要です。デジタルの世界では、インターネットで採用担当者を探し出すのは難しいことではありません。Linkedinを開いて、プロファイルを検索してみましょう。その人物のいままでの経歴とポートフォリオを知ることで、面接官と、その業績についてよく知ることができるでしょう。
興味深いヒントとしては、面接官が誰かから受け取ったり、彼らが誰かに対して与えたレコメンデーション記事を探してみるというものがあります。彼らの仕事のスタイル、同僚との関係、価値観を理解するのに役立つでしょう。そして面接中に、面接官とよりスムーズで効果的なコミュニケーションをとることができるのです。それだけではなく、これが本当にあなたが望んでいる仕事かどうかを考えることにも役立ちます。仕事のスタイルが自分と合わないと感じたとしたら、あなたは本当にその仕事に応募するでしょうか?
3. 経験豊富なUXデザイナーでも、UXの基本にもどる
おそらくみなさんは、たくさんの顧客を相手にUX分野で多くの仕事をこなしたはずです。面接の場で披露したり説明できるプロジェクトをたくさんもち合わせていることでしょう。ただし、UXデザインの基本的なコンセプトに修正を加えることを忘れてはいけません。実際に行う作業では、関連する用語やフレーズの使用を無視する場合が多くみられるからです。
採用担当者は、情報アーキテクチャやインタラクションデザインの定義はなにかと聞くことはないかもしれませんが、デザインプロセスを説明するときにそれらの用語を使うことで、相手によい印象を与えることができるでしょう。
UX関連のキーワードを意識的に含めることで、UXのコンセプトについて充分な知識をもち合わせているということをアピールしましょう。顧客にはUXデザインの価値をしっかりと伝え、UXをつくり出す素晴らしさを教えるよき先輩としてチームをまとめる能力もあるということも同様に、アピールすべきです。
4. ポートフォリオに沿って、UXプロセスを必ず含める
UX関連の仕事に就きたいと思うなら、必要なすべての要素を含めたデザインポートフォリオを持参しましょう。印象的なポートフォリオを作成するには、自身の過去の作品をまとめるために、便利なヒントをリサーチしてみることをおすすめします。プロのUXデザイナーがまとめたポートフォリオの例を読んでみて、そこでプロジェクトがどのように解説されているかを参考にしてみましょう。BehanceやDribbleは、世界中のプロたちによって作成された数百にものぼる優れたポートフォリオを含むもっとも一般的なサイトです。
デザインのプロジェクトに取り組む際に行っているプロセスについて伝えることも大事です。アイデアから始まり、ワイヤーフレームと画像からなるアイデアをプロトタイプに変換するプロセス、クライアントのフィードバックを得る方法についても説明しましょう。作成のプロセスを説明せずに、完成したグラフィックスをポートフォリオに追加しただけでは、面接で大きな成果を得ることはできないでしょう。ユーザーフロー、いくつかのプロトタイプ(ローファイとハイファイの両方)、いくつかのモックアップ、ケーススタディ、うまくいったABテストなどのように、バランスよく、例を準備することをおすすめします。UXに関してだけでなく、あなたの考え方のプロセスについての大まかな印象を伝えることにも役立つでしょう。
クライアントまたは現在所属する企業などからの推薦状を添えるのもよいでしょう。あなたが提供するデザインで企業に価値をもたらし、また、そのデザインがおよぼすユーザーへのインパクトについても伝えましょう。ビジネス用のソーシャルメディアアカウントへのリンクも提供し、そのプロフィール画面であなたの経歴がわかるようにするのもよいでしょう。
5. 聞かれた質問に答える
たまに、面接の場で自分の経験をより詳細に話したがる人がいます。面接の場で、回答の適切な長さは1~2分です。長い話を聞き続けるのは苦痛であり、採用担当者は退屈するでしょう。
聞かれた質問に明確で的確な回答を返すようにしましょう。回答の信頼性を裏付けるための例を提供することは必要ですが、UXについての知識をすべて話してはいけません。
回答の中で明確な情報を伝えることができれば、より短時間で多くの情報を提供することが可能になり、そのインパクトも大きいものになるでしょう。関連性の乏しい情報を含めて、回答が必要以上に長くなることは、あなたの面接でなんの役にも立たないでしょう。
6. デザイン上の問題には時間をかけて答える
UXの面接の一部として、デザインのタスクや実際の作業をやって見せることは一般的なアプローチです。これにより、採用担当者は思考プロセス、想像力、創造性などを判断するのです。この部分は面接のトリッキーな部分であり、細心の注意が必要です。
デザイン上の問題を解決するときは、その問題を解決するために必ず数分間程度の時間を割くことが大事です。ほとんどの場合は、確認せずに問題を解決しようとするでしょう。問題を注意深く読み、聞くことが大事なのです。面接で聞かれた場合は、それがなんであれ一旦、自分の言葉と考えに置き換えてみましょう。不明な点は質問することも大事です。
ここで役立つヒントのひとつとして、既に取り組んでいるデザイン作業のどれかに問題を関連付けてみるという方法があります。これにより、アイデア、ユーザーフロー、スケッチ、レイアウトにおいて同様のプロセスをイメージできます。問題を解決して面接官に伝えることが容易になるでしょう。
デザインに関する答えには、正答というものはありません。そのかわり、デザインのプロセスや問題を解決する方法、ソリューションに向かうあなたなりの方法をアピールする良いチャンスと言えるでしょう。
7. 考えを口に出す
面接で質問されたときに、あなたの考えを声に出して言うことを心がけましょう。これは、UXの仕事をする上で重要な必須条件でもある、問題解決に対するアプローチの方法をよりうまく、面接官に伝えることにもつながります。これは、デザインの問題を解決する際の重要なプロトコルです。
長い時間、沈黙してしまうと、面接官にあなたの思考プロセスについての手がかりを与えることができないので、面接を受ける側にとってよいことはありません。これは、対面での面接ではないビデオ面接などで特に重要となります。
8. 誠実に、自信を持ってポジティブな姿勢で
面接中は、質問に誠実に答え、自分の知識とスキルに自信をもち、コミュニケーションに積極的になるべきです。
UX関連の仕事に就くには、UXに関するスキルを身につけることは当然ながら必須の条件です。しかし、それと同時に面接を受ける人の態度も非常に重要視されます。面接で犯しがちな大きな間違いは、面接にのぞむ際のプロらしくない態度なのです。UXに関する素晴らしい知識をもち合わせていたとしても、そのような態度で面接にのぞむとしたら、よい結果は得られないでしょう。
自身の仕事内容については、誠実に伝えましょう。質問に対する答えがわからない場合は、それを認めることが悪いことではありません。ただし、新しいコンセプトやトレンドを学びたいという意欲があることを必ず伝えましょう。答えるときには自信をもってください。あなたには、必要な知識とスキルがあると認められたからこそ、面接の場に呼ばれたのです。
ポジティブに考え、ポジティブな態度でのぞみましょう。その部屋にいる誰もが、あなたが面接で成功するのを見たいと思っています。それはあなたが彼らと一緒に座っている理由でもあります。あなたの気分を悪くしたり、あなたが誰かより劣ると思っている人はその場に誰一人としていないのです。
まとめ
UX関連の面接は経験豊富な人材であれ、新卒であれ多くの準備が必要です。時間をかけてメモを準備し、念入りに調べ、自信をもって面接に望み優れたパフォーマンスを発揮してください。
面接後は必ずフォローアップしましょう。これにより、仕事に対する情熱が見え、ポジティブなインパクトを与えるでしょう。成功したかどうかに関係なく、面接官からつねにフィードバックをもらうようにしましょう。これは今後の別の面接で役立つ経験になるでしょう。