AIと未来のWebデザイン

Mirza Irfan

MizraはFME Extentionsのライターです。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Artificial Intelligence and the Future of Web Design

これから到来するであろう未来において、人工知能(AI)は代わりが効かない技術です。今日(こんにち)の先端技術産業にとっては、より速く正確で、しかも手頃なオンラインビジネスのやり方を実現するか否かがつねに求められています。

AIには無限の可能性があり、デザイナーやデベロッパーはこれを大いに活用し、自分たちの日々のWebサイト管理のタスクを最適化し、さらにはターゲットとなるユーザーから有意義なフィードバックを集めています。AIを使ったアプリはWebサイト上のオペレーションを直感的にするだけではなく、ネット上におけるUXをより豊かで、個人個人に寄り添ったものにすることもできます。

専門家によると、AIは2025年までに1,186億ドル規模の市場に成長すると言います。

AIを使えば理論的には、以下のようなことができるようになります。

  • Webサイトの見た目を良くする
  • 検索機能を強化する
  • データの管理を向上させる
  • ユーザーに対するインタラクションを向上させる
  • 個人個人に合ったUXを提供する
  • デジタルなマーケティング戦略においてより正確に消費者を絞り込む

多くのデザイナーとデベロッパーがAIベースのデザイン方法にシフトするようになってきたため、いまやAIは現代のWeb開発において不可欠な要素になっています。

この記事ではAIに関する一連の知識と、AIがWebサイトのユーザビリティとUXの向上をもたらすような驚くべきアプリについて紹介します。

人工デザイン知能(ADI)の登場

人工デザイン知能(Artificial Design Intelligence=ADI)の普及によって、現代のWebデザインの形は大きく変わりました。以前は、UIをデザインする際には個性的であり続けるためにクリエイティビティが要求されていたので、とにかく膨大な工数がかかっていました。

まずデザイナーのチーム内でアイデアを共有し、ホワイトボードにそれを書き出し、いくつかの可能性と成果を検討することから始まることもあります。ABテストを始めるためには、ワイヤーフレームを決定した上でHTMLに書き下して、開発プロセスを始めることができるようにしなければなりません。多くの努力と失敗を必要とするプロセスは、避けることのできないプロセスとなっているのです。

近年のテクノロジーの成熟により、AIはあっという間にオンライン業界の主流になり、デザイナーはAIを使ったアプリをWebサイトに取り入れ、よりよい機能性とUXをつくり出せるようになりました。

Gridは、AIとWebデザインが密接に連携した初期の例の一つでした。このAIを使用したデザインソフトのおかげで、WebデザイナーやWebサイトのオーナーはそれぞれのプロジェクトのニーズ、ビジネスの種類、あるいは個人の好みに見合った、現代風にカスタムされた見た目のサイトをつくることができます。Gridの登場以後も、いくつかの企業が業界に参入し成功を収め、AIとWebデザインのレベルは飛躍的に上がりました。

AIの変革者たち(Adobe、Firedrop、Bookmark、Squarespace、Wix、Tailor Brandsなど)によって、主要なテクノロジー企業はネット上の環境をデザインする際にAIを用いるようになってきているのです。

AIはいまや、手書きのUIデザインをただの絵のようなシンプルなものから、自己メンテナンス機能を備えたしっかりとしたHTMLのコードに変換することができるのです。言わばAIは、視覚的な要素やタイポグラフィからアニメーション、その他のグラフィックに至るまで、Webデザインのコンテンツ全体を自律的にコントロールできるのです。

これは、特定のタイプのWebサイトに関してデザインを決定するとき、特に役立ちます。たとえば、大量の見積依頼書(RFQ)を受け取るようなECサイトの場合、AIを活用して日々のユーザーとのやり取りを最適化することができます。ほとんどのWebサイトのオーナーはプロダクトのリリースや今後予定されているイベントのために新たなデザインを必要としているのですから、バックグラウンドで働くAIは彼らが最新の状態を維持し、マーケットにおける競争力をもち続けるための完璧なソリューションとなります。

Webサイトのアナリティクス、ユーザー情報、プロダクトのカタログ、その他の重要な要素についての情報を集めることで、AIは機能します。十分なデータを集めることができたら、あとはAIにテーマやコンテンツ、色の好みなどを指示すれば、そのWebサイトのために間違いなく個性的なデザインをつくり出してくれます。

最近の調査によれば、ビジネスのプロフェッショナルの61%が、機械学習とAIが彼らの企業の情報分野におけるもっとも重要な競争力の源泉になったと言っています。

さらに、AIはただ知能を複製するだけではなく、可能な限り人間らしく振る舞うという重要な特性をもっています。たとえば、AIによってプログラムされた自動運転車はただ交通ルールに従うだけではなく、ドライバーが他のドライバーと遭遇したときに見せる人間らしい振る舞いをも学習します。同様に、ユーザーである人間とやり取りを行うAIをベースとしたチャットボットは、返事を返すことができるだけではなく、それぞれの問いかけに最適な回答ができるように、可能な限り人間らしく対応するのです。

UXを向上させるものとしてのAI

いまやAIは、Webデザインにおいていくつかの重要な要素を担っており、UXでは決定的な役割を果たしています。

最近のWebデザインにおけるAIの活用で、デザイナーは自分のオンライン上での顧客との接点をより有効的かつ、豊かなUXを提供できる場所に変えることができるようになっています。AIのおかげでデザイナーは、さらにユーザーを惹きつけ、よりレスポンシブで、なによりさらに人間的なUIをつくることができるようになりました。

AIが成し遂げた多くのことの中で、もっとも顕著な役割は無数のAIツールです。AIは現代のWebデザインの様相を効果的に変化させ、人と機械とのインタラクションに関する多くのスタンダードを急速に確立しました。もっとも顕著な例の一つが、いまではほとんどすべてのWebアプリ、モバイルアプリの標準装備となっているチャットボットの導入です。発達したAIのアルゴリズムと複雑な機械学習の技術によって、AIは人間の認知と機械による自動化の間にあるギャップを埋めているのです。

AIによって動作するチャットボットはオンラインビジネスにおいて2022年までに80億ドル相当のコストを削減するでしょう。

このことは伝統的なWebデザインのあり方を変え、ユーザーのWebサイトに対する反応の仕方にも大きなインパクトを与えました。その上、AIをベースにしたアプリは、コミュニケーションや人間らしい回答の作成に対してアプリがもつ意味を再定義し、あらかじめプログラムされた会話自体の必要性を無くしました。今日のチャットボットは先進的な自然言語プロセス(NLP)システムに基づいており、このNLPはエンゲージメントをつくり出す点において段違いによい結果を出すことができます。チャットボットが将来のオンラインビジネスをどのようにリードするのかについて、いくつかの興味深い統計をご紹介します。

Watson Assistantのような先進的なAIチャットボットは、企業のチャット履歴や通話記録を理解し、独自にナレッジベースをつくることができます。その上、ユーザーに更なる明確化を求めることや、AIには難しいことであればユーザーに助力を求めること、会話の進め方について提案すること、Webサイトのメッセージチャネルやモバイルアプリ、サービスツールを独力で運営することもできます。

  • もっともAIチャットボットの恩恵を受けているのは不動産業界(28%)で、次いで旅行業界(16%)、教育業界(14%)です。
  • Gatherレポートによれば、2020年までにカスタマーインタラクションの85%はAIチャットボットによってカバーされるだろうとのことです。
  • 会社側、ユーザー側の時間は、2023年までに合計23億時間がチャットボットによって削減されるでしょう。
  • Global Market Insightsのレポートによれば、チャットボットのマーケット全体は2024年までに13億ドル規模に成長すると言われています。

UIを強化するものとしてのAI

同様にUIも、完全に自身でデザインに関する決断を下すことができるAIと深層学習によって最適化されています。これはプログラムにデザインの原則を理解できるようなトレーニングをほどこし、既存のWebサイトを観察させることによってワークします。両方のプロセスを経て、AIは独立した思考を再現し、人間の専門知識に頼ることなく機能的で魅力的なWebサイトをデザインできるようになります。WixのようなWeb開発プラットフォームは、UIデザインのために積極的にADIを使っています。

WixのADIのアルゴリズムは何十億ものデザインの組み合わせから選ぶことによって、完全にそのユーザーだけのために個性的なUIをつくり上げます。また、ADIはプラットフォーム向けにトレーニングされているので、ユーザーのニーズ、ビジネスの活動、ユーザーの反応または個人的な好みなどに基づいてサイトを継続的に学習とカスタマイズを続けます。これによりWixはデザインプログラムについての予測を得ることができ、評価のための時間を短縮し、コストを削減し、格段に良好な顧客との関係を手に入れることできるようになります。

LinkedInもまた、ユーザーによりよいブラウジング体験を提供するために、ネットワーク機能およびナビゲーション機能を改善しようと大掛かりな改修を行いました。現在では、仕事や繋がり、プロフィールの最適化についての提案にAIが使われています。

AIによる提案と最適化ツール

ソーシャルプルーフ(社会的証明)を使ってユーザーの購買決定に影響を与えるAIベースのプロダクトは数多くあります。これらのツールはユーザーがWebサイトに対して反応を示すと即座に、ユーザー自身の検索履歴に基づいた適切なレコメンデーションを表示するものです。拡張機能とプラグインによってユーザーの購買履歴を追跡することができ、関連性に基づいたオススメを生成します。オンラインのメディア提供サービスの大手であるNetflixもまたAIを使ってオススメを管理し、ユーザーの好みと似通ったユーザーの選択に基づいたラインナップを表示しています。Netflixにおけるストリーミングの80%は、このAIによるオススメによって再生されています。

Adobeのような企業はすでに、プロダクトのアーキテクチャにAIを取り入れ始めています。2016年にAdobeは、デザイナーがより効率的にタスクをこなせるようにするためにプラットフォームのデザイン機能を強化する、SenseiというAIベースのフレームワークをリリースしました。Senseiはデザイン全体とプロジェクトの遂行能力を強化するために機械学習も取り入れており、最終成果物を劇的に向上させています。AIと機械学習を使うことで、AdobeのSenseiはデザインにおける隠れた可能性を見つけやすくし、平坦なプロセスに意味を与え、有意義なUXを提供できるのです。

Webデザイン診断ツールとしてのAI

AIは一般的にWebデザインの機能性とUXを向上させるために導入されるものですが、一方で正確な診断ツールとしても機能します。

Webデザインの新時代が訪れ、トレンドが目まぐるしく変化するようになり、Googleのような検索エンジンの基準が厳しくなってきたことにより、デジタル業界で成功するためにはWebデザインの質こそが重要なカギを握るようになってきています。しかし、いくら高品質のデザインができたとは言っても、それを定期的にテストして品質が維持されるようにしなくてはなりません。しかしテストを繰り返しているうちに、ソースコードは修正されて、テストのプロセスは追加されていきます。これらのテストは時間がかかるだけでなく、Webサイトのパフォーマンス自体にとっても大きな痛手になります。

AIによって動作する分析ツールを使えば、自分のデザインのクオリティを確かめることができますし、そのパフォーマンスをリアルタイムで把握できますし、改善の方向性について的確な気づきを得ることができます。AIベースの診断ツールを使うと、A/Bテストが必要とされる場面を減らし、サイトのデザインはさらによくなります。

デザインのソフトウェアはどんどん複雑になっていますから、最終的な成果物には相応の課題が伴うものです。AIツールとアプリは、人間による助けを必要とせずに、デザインの開発やさまざまな情報のテスト、信頼性の確認、サイト能力の限界をみるテストなどを行うことができます。AIをきちんと教育すれば、デザインをつくったり、診断したり編集したりする中で、これまで手間を取られていた膨大な作業を削減できる可能性があります。

ApplitoolsのようなAIベースのテスト用ソフトウェアは、Webサイトの可視的なコードのテスト、サイト上の行動分析、そしてページの美しさの強化に使うことができます。

結論

全世界のユーザーの73%は、彼らの生活をよりよいものにするようなものであれば、業者が用意したAIを使うことに抵抗を感じません。

最近の統計データとテクノロジーの進歩によって、AIはWebデザインと開発において不可欠な役割を果たしていることは間違いありません。自動化のニーズが伸長し、コンピュータのリソースが増強され、AIにしかできないことが増えてきたことで、私たちが使えるAIは急激に増加しています。テクノロジーは未だ初期段階にありますが、AIがクリエイティブな仕事を理解できるようになる可能性は非常に高く、またデザインのプロセスの中で自律的に働く可能性も高いので、Webデザインの伝統的な手法はいずれ脅かされるでしょう。

将来的には、AIが画一的な手法に取って代わって、適応能力の高い知能を駆使し、一人ひとりに合ったUXを提供するようになることもそう遠くないでしょう。また、AIが自前のデータベースをもって人間の認知能力を圧倒するようになれば、人間がつくったデータベースも転換点を迎えるかもしれません。


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