SEOに影響のある5つのUXデザイン手法

Tyler Tafelsky

Tylerは2009年以降、コピーライター、アナリティクススペシャリスト、アウトリーチストラテジストなど多くの役割でマーケティング分野において活躍してきました。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

5 Fundamentals of UX Design That Impact SEO

キーワードや被リンクだけに基づいてサイトをランク付けできていた10年前とは違い、最近ではバウンスレート、サイトやページの滞在時間といったユーザーエンゲージメントを示す変数がランク付けの重要な要素になっています。

Googleが検索ランキングのトップに相応しいクオリティのサイトを決定する際には、実際のユーザーの行動を認識しています。それに従って、ユーザビリティUXデザインがSEOにおいて不可欠なコンポーネントになってきています。サイトは基本的なページ上のSEOを必要とするだけでなく、エンゲージメントの向上、すなわちランキングの向上にはシンプルなUXデザインを考えることが大きな意味をもちます。

どの部分に優先的に力を入れればよいかをわかりやすくするために、今回私たちはサイトのSEOパフォーマンスを向上させるために役立つ、UXデザインとユーザビリティの変数を効果的に活用するための5つのプラクティスに注目しました。

1. サイトのナビゲーションをシンプルにする

UXデザインとSEOの間によくある矛盾の1つは、SEOが強固なサイトの構造を指向することで、ナビゲーションが複雑になってしまうということです。ページが多ければよいのかというと、そうとばかりも言えません。

Ahrefsによる研究では、細かく分かれたページをつくっていた過去のSEOの実践を覆し、きめ細かいキーワードのグルーピングに注目して、多くの関連するキーワードを含んだ1つのページをつくることを提唱しています。要は、豊富なコンテンツをもち、ユーザーフレンドリーな1つのページがさまざまな検索クエリを意識したSEOにとって強力なアセットになるということです。

上に述べたポイントに基づいて、検索データをサイトの構造にどのように活用するかについての詳細はあとに説明します。ここで着目したいのは、シンプルなナビゲーションをもつ、フォーカスを絞ったWebサイトの意義で、これは特にモバイルユーザーにとっては意味のあることです。

結局私たちの望みは、ユーザーが簡単にサイトをみて回ることができることでしょう。たとえSEO的にはよいとしても、複雑なナビゲーションの構造はユーザー体験を壊してしまいかねません。そうなればユーザーの滞在時間も短くなるでしょう。すべてのページが検索エンジンにアクセスできることを目指していた伝統的なSEOの代わりに、ユーザーにとってのアクセスし易さを考えるのです。より少ないページのための簡便なナビゲーションが、SEO的に有効なナビゲーションであることはよくあるものです。

2. UXデザインをSEOフレンドリーなレイアウトに活用する

レイアウトのデザイン、そしてコンテンツのフォーマットがSEOを阻害する例は山ほどあります。理由は単純で、完璧に整ったサイズのタイトル、ちょうどよい量のテキストといった見た目のデザインがSEOの妨げになることがあるからです。

しかし、UXデザインがページ上のSEO、そしてレイアウト設定とうまく融合できたらどうでしょうか。ユーザビリティとしっかりしたトラフィックを生み出すという、お互いに補完し合うような2つの要素両方にとってプラスになるような理想的な協力関係となるでしょう。

SEOフレンドリーなページのレイアウトをつくるためのUXデザインの使い方には、次のような原則があります。

  • コンテンツを読みやすくする - コピーと文字数はSEOにとって重要ですが、まるで取扱説明書を読んでいるかのような気分になる、文字ばかりのページにならないようにしましょう。読みやすいコピーのブロック、タイトルや写真との調和を心がけることで、SEOを維持しながらユーザビリティを上げることができます。また、箇条書きや番号付きリストを使えば、Googleにおける強調スニペットへの表示も期待できるようになります。
  • ヘッダーをうまく使い分ける - SEOの基本的なルールとして、各ページはそれが何のページなのかを定義する(つまりはページがターゲットとする第一のキーワードを定義する)ためのH1タグを1つもつ必要があります。補足的な説明はH2タグやH3タグに入れます。柔軟に使い分けましょう。
  • 可能な限り画像や動画を入れ込む - 視覚的なメディアはユーザーを惹きつけるだけではなく、SEOにとっても最適です。普通はH2タグによって区切られる、コンテンツのブロックごとに関連する画像や動画を入れられればよいでしょう。
  • CTAを柔軟に使う コンバージョン率の最適化(CRO)の点で、またユーザーの滞在時間を長くするためには、CTA(コールトゥアクション=行動喚起)が必須です。コピー内のリンクや「もっと詳しく」のようなユーザーを誘導するボタンといったシンプルなものもあります。CTAの目的はあなたのサイトにおけるユーザージャーニーを容易にすることで、ユーザーの最大の興味を満足させるとともに、あなたが彼らに望むアクションを起こしてもらうことです。
  • 関連するコンテンツへリンクする要素を配置する ユーザビリティとSEOの両方に有効な戦略は、ページレイアウトの一部(だいたいは終わり近く)に関連コンテンツへのリンクを置くことです。CTAと同様に、これらのコールアウトとなるリンクがあればユーザーはサイトに長く滞在しやすくなります。関連するコンテンツとの相互リンクは、SEOにとっても有効です。

高度にSEOフレンドリーなページをつくるためのUXデザインの活用についてもっと知りたい場合は、こちらのインタラクションデザインについてのイントロダクションをみてください。特に第2要素:視覚的な表現と、第5要素:行動とそれらについてのヒントが参考になります。

3. 検索データを使ってサイトの構造を考える

クエリに正しく拾われるためにSEO用に何百ものランディングページをつくっていた過去のやり方ではなく、シンプルさとより大きなテーマに基づいてページを最適化するという今回のポイントに戻りましょう。量よりも質を重視した、整然としたアプローチを取ることが重要です。

SEOにとってキーワードのリサーチと検索データが重要であることは誰もが知っています。しかし、すべての違いを生むのは、そのデータの使い方なのです。例として、下の「ecommerce SEO」というキーワードについてのデータをみてみましょう。

このキーワードは世界中で1ヶ月に2,300回検索されています。もし私たちがこの「ecommerce CEO」にページを最適化しようとすれば、キーワードのターゲティング戦略にどのようなバリエーションとロングテールを取り入れるのかを考えるのが重要になります。

SEOエージェンシーにとっては、どうやら「ecommerce SEO services」が第一のキーワードになりそうです。しかし、「ecommerce SEO company」「SEO for ecommerce」といったバリエーションのために別のページをつくるのではなく(10〜15年前であればそうしたでしょうが)、これらのキーワードを同じページに組み込もうとするでしょう。

では、これらすべてのSEOデータはどのようにUXデザインに使えるのでしょうか。最近のECの潮流に合致するもう一つの例が、あるSEOエージェンシーのために私たちがデザインしている、それらのキーワードに最適化したページを特徴とする新しいWebサイトです。下に示した通り、この新しいページは上で話したようなユーザビリティとSEOの両方に有効なUXデザインの原則の多くを用いています。また、このフレームワークのおかげで、私たちは上に示したようにH2タグに「同じ言葉をもつ」キーワードのバリエーションをきちんと捕捉することができます。

この例は、ページ内のコンテンツとサイトの構造を、UXとSEOの調和を生み出すようなやり方で構成することの重要性を強調しています。事実、これらの要素が競合するような状況はほとんどありません。

4. サイトの読み込み速度のために最適化する

もっとも強力ではあるものの、見過ごされることの多いテクニカルなUXのためのツールがGTmetrixです。どのようなSEOにとっても役立つものであるGTmetrixは、サイトのパフォーマンス、つまり読み込み速度についての重要な技術面での気づきを与えてくれます。これを使えば、UXデザイナーもSEOの技術的な面を検討する人も、HTMLやCSS、JavaScriptの縮小、それにキャッシュ、画像、リダイレクトの最適化などの実用的な気づきを得ることができるのです。

Googleの全体としての役割(これまでも、きっとこれからも変わらない役割)は、ユーザーに考えられる限り最高の体験を提供することなので、サイトのスピードはいまやランキングにとって重要な要素です。実際、Googleは検索においてもGoogle Adsにおいても、読み込みの速いWebサイトを評価しています。

サイトのスピードとパフォーマンスをテストして向上させるのに役立つツールは、GTMetrix以外にGoogle PageSpeed InsightsWeb.Devがあります。どちらもWebサイトの最適化に便利なツールで、さまざまなコンポーネントについての実用的な分析とガイダンスを提供してくれます。これらのツールから得られるアドバイスは、画像の圧縮やリクエストに対するサーバーの反応方法の変更など、さまざまです。UXデザイナーにとっては、SEOにとってもユーザーにとってもよいパフォーマンスをするサイトをつくるための気づきが得られるでしょう。

5. モバイルレスポンシブにする

モバイルレスポンシブなデザインは、ユーザビリティにとってもSEOにとっても必須の条件になってきています。いまや全トラフィックの50%以上はモバイル端末における端末によって発生しているので、モバイルレスポンシブではないサイトは半数以上のサイト訪問者の体験を損なうことになるでしょう。

現在では、先進的なUXデザイナーたちは彼らが関わるあらゆるプロジェクトにおいて、モバイルレスポンシブなデザインを優先しています。しかし、もしあなたのWebサイトがモバイル端末(タブレットやその他のWebブラウザを含む)にレスポンシブでないなら、そうしたデバイスにおけるユーザーエンゲージメントの計測結果は著しく低調でしょう。

Google Mobile-friendly Testingを使えば、自分のサイトがどれだけモバイル環境にレスポンシブなのかをチェックすることができます。このトピックについてもっと知りたい場合は、関連記事のmobile-friendly web designもご覧ください。

まとめ

マーケティングとデザインで部署は別々だとしても、一貫したプロジェクトマネジメントの元に明確なWebサイトの目的があれば、UXデザインとSEO戦略の間に調和をつくり出すことに大いに有効です。だんだん多くの関係者(ベンダー、パートナー、コンサルタントなど)がユーザビリティとデザインを損なうことなくSEOを重視することの重要性を認識するようになってきているので、2つの役割がバランスよく統合されていることはだんだん当たり前になりつつあります。


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