アプリデザイナーはどういったことを考えてUIを考えるべきでしょうか? デザイナーならカッコいい、おしゃれなUIをビシっと作りたいところですが、それだけではアプリは使ってもらえません。
アプリのUIデザインを考えるとき、我々は往々にしてビジュアルを中心としたレイアウトやディテールのデザインに走りがちです。ところが、UIを決める要素は画面の中の要素だけではありません。デバイスのスペックや仕様、他のヒットアプリのトレンドやカルチャーなど、ユーザーの置かれている状況によっても変わってきます。
スマホの時代になって「UI/UX」という言葉が普及してきたのも、こういった画面外の要素もデザインに関わってくる、という問題意識からくるところからきています(詳しくはUIとUXの違いとは)。
UI/UXという表現がありかなしかはさておき、外的環境も変われば、画面内のデザインも変わってくるということには間違いありません。ですので今回はUIデザイナーが気にすべき、画面外の要素について考えてみたいと思います。
あたりまえのUXに逆らわない
ユーザーが触るアプリというのは、なにもあなたが作ったアプリだけではありません。人々は日々たくさんのアプリに触れ、その流れの中であなたのアプリを触ることになるのです。
そういう意味では、他のアプリのデザインというのも自分のアプリにも関係してきます。実はここがUIデザイナーにとって、一番考慮すべき「あたりまえのUX」なのではないでしょうか。
アプリ制作の初期段階では、片っ端から競合のアプリを落として研究する方も多いと思いますが、デザイナー的には「どれも似たようなデザインだ」ということを思うことがあります。独創性、オリジナリティを追い求めてしまうからです。ですが、同じデザインであることは間違いではありません。
なぜなら大半のユーザーの目的はデザインを見ることではなく、アプリを「使う」ことがだからです。その目的に対して、説明もなく、すんなり目的が達成されるのであれば、それはそれでよくデザインされたアプリといえます。
ここで言いたいのは、ユーザーが違和感を感じるようなUIは失敗である可能性が高いということであって、パクリや没個性を奨励するわけではありません。
例えば新しいカメラアプリを作りたい場合、InstagramやSnapchatというデファクトスタンダードが存在する中でこれらのアプリの使い勝手に無関心ではいられません。いくらフィルターを選ぶパレットがかっこいいアニメーションで出てこようが、ユーザーにとっては普通の横スクロールの選択画面のほうが馴染みがあって使いやすいのではないでしょうか?
これからあなたのアプリのファンになるユーザーは、必ずこれらのアプリを通ってあなたのアプリを触ることになるので、その「あたりまえ」「普通」の感覚は大事にするべきです。
プライドを良き方向へ活かす
競合調査をして、「どれも似たようなデザインだ」と感じたデザイナーは、新しいインパクトをもたらそうとする気概のある、アーティスト気質なデザイナーでしょう。こういったエネルギーは次のイノベーションをもたらしうるので非常に大事なのですが、一歩間違えるとただのアートになってしまう可能性が高いです。
同じようなデザインを見て、「パクリ」や「思考停止」と思ってしまうことがあります。それもまた事実かもしれませんが、逆に上記のようなことを考慮した、入念なデザイン調査の結果なのかもしれません。
大事なのはユーザーにとって使いやすいかどうかです。新しい、見たこともない斬新なスタイルでも、ユーザーが苦なく使えればそれが次のスタンダードになりうる可能性だってあるのです。
現状の「あたりまえ」のデザインにのっとるのか、敢えて外れるのか。いずれにせよ「知る」ということが大事ですし、知った上での外れ方というのはより根拠が必要になってくるはずで、デザインの精度も上がってきます。
ユーザーの目的をきちんと叶えられる、イケてるアプリをデザインしていきましょう!
ユーザーを知るための競合調査で使えるWebサービスをいくつかご紹介しています。