ユーザーリサーチを実行する前に明確にしたい10の問い

Neil Turner

Neilは、イギリスのAstraZenecaで働くUXデザイナーです。現在さまざまなUXデザインのプロジェクトを率いています。

この記事はUX for the Massesからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

10 questions to ask before any user research (2016-03-14)
推測することは素晴らしいが、調べることはさらに素晴らしい。
― Mark Twain氏(アメリカの小説家、ユーモア作家)

優れたUXデザインは優れたユーザーリサーチの上に成り立つものです。ユーザーリサーチは、ユーザーを正しく理解し、優れたUXデザインの基礎を築くための唯一にして最善の手段だと私は考えています。ユーザーリサーチがなければ、UXという言葉が誕生するはるか昔にMark Twain氏が教えてくれたように、どのようなときも調査は推測に勝るでしょう。

多くの人がユーザーリサーチは絶対に実行する必要があると考えているでしょう。しかし、ユーザーリサーチでは、何を、どのように、どこで、誰と行えば良いのでしょうか。人生における多くのことと同じように、優れたユーザーリサーチには注意深い予測と計画が必要です。特にリサーチの計画を立てるとき、私はいつも考えすぎて頭痛がする思いをしています。したがってこの記事では、なるべく苦しまずに素早く成功できるように、私がユーザーリサーチを実行する前にいつも考える10の問いを紹介します。

1. なぜユーザーリサーチが求められるのか

もっとも重要な問いは、そもそもなぜユーザーリサーチを行わなければならないのかということです。このように初めに背景を考えることは、ユーザーリサーチが実行されるコンテキストを把握して、どのようにプロジェクト全体に貢献するのかを明らかにする上で役立ちます。この問いに答えることで、もともと想定していた種類のユーザーリサーチが必ずしも必要ないことに気づくかもしれません。

2. ステークホルダーは誰か

ユーザーリサーチにおいて重要なステークホルダーは誰か、知見を共有する必要がある人物は誰かを考えることが重要です。ステークホルダーには、事業相手や開発者、デザイナー、プロジェクトマネージャーなどが含まれるかもしれません。ステークホルダーとは直接的、または間接的にリサーチにかかわる必要がある人々のことで、ユーザーインサイトがきちんと活用されるためにしっかりと引き入れる必要があります。

ステークホルダーを特定する際に有効なのが、責任分担表(RACI)を作成することです。表では以下のように並べます。

・リサーチにおける責任者は誰か

・誰が説明責任を負うのか

・誰が専門家として監修すべきか

・誰に情報を伝えるべきか

3. リサーチの目標は何か

ユーザーリサーチでは明確な目標を掲げるべきです。でなれければ、リサーチのためのリサーチになりかねません。リサーチにおける重要な目標や、リサーチが成功したのかどうかを知る方法について考えてましょう。ときには目標の背景をするのも良いかもしれません。目標を認識して、その目標を達成するためには何を明らかにする必要があるのかを考えましょう。それによって、使用するリサーチの手法や、協力してもらうユーザー属性を決めることができます。

4. 答えようとしている問いは何か

ユーザーリサーチとは実際に問いに答える訓練です。ユーザーは誰なのでしょうか? 彼らは何をしているのでしょうか? なぜしているのでしょうか? ユーザーリサーチを計画しているときは、何度も問いを投げかけてくる3歳の子供と会話しているように感じるでしょう。計画の段階では、考えられる問いは無限に存在します。そのため重要な問いにだけ集中して、計画を前に進めるためには何が必要なのかを考えましょう。

5. 検証すべき仮説は何か

根拠のない仮説は必ずしも悪いものではありません。仮説によって私たちは物事に取り組むことができます。しかし、仮説を検証しないでおくと、使い古されたタイヤのように簡単に破れてプロジェクトに支障をきたします。検証が必要な仮説について考えてください。たとえば、どのユーザーが重要かという仮説や、どのように製品やサービスが使用されているのかといった仮説です。

6. どの調査方法が効果的か

あらゆるユーザーリサーチにおいて重要な問いは、もっとも効果的な調査方法とツールを決定することです。どのツールを選択するかは、ユーザーへの関与の度合いや、取得したいデータの種類、さらにはあなた自身がそのツールに慣れているのかといったことに左右されます。原則として、定量的な方法よりも定性的な方法、遠隔調査よりも対面調査のほうが多くの知見が得られるものです。しかし、この原則は場合によって変化します。もっとも効果的な調査方法とツールは、プロジェクトによって変わるでしょう。

7. 誰にリサーチすべきか

ユーザーリサーチの良し悪しは調査を行うユーザーによって決まります。「不正確なデータを入力すれば、無意味な結果が返される(Garbage In Garbage Out)」という言葉のように、間違ったユーザーを調査すると、間違ったユーザーのインサイトを集めることになります。したがって、誰が調査に参加すべきなのか慎重に検討する必要があります。ユーザーは誰でしょうか、どのユーザーグループに含める必要があるでしょうか? 定性的なユーザー調査は、5〜8人程のユーザーで実施することができますが、非常に多様なユーザー層を持つ場合や、定量データを収集する場合は、大人数が必要になります。

8. 誰がリサーチを実行するべきか

ユーザーリサーチは料理のようなものです。少し訓練と練習を積めば誰でもできるようになります。しかし、本当に優れたリサーチを行うには多くの経験とスキルが必要です。そのため、誰がユーザーリサーチを実行するのかは非常に重要です。社内に専門家はいるでしょうか、それとも第三者に実行してもらうのが最善でしょうか? 私は第三者ではなく社内の専門家にお願いするようにしています。なぜなら、チームの中に知識とインサイトを蓄積しやすくなり、調査結果がより効果的になるからです。しかし、専門家が社内に存在しない場合や、時間やリソースが十分にない場合、調査が厄介な政治問題に大きく関わる場合は、第三者を使用するのが最善でしょう。

9. 何をリサーチのアウトプットにするか

多くの場合、ユーザー調査を行うことは仕事の半分にすぎません。インサイトに基づき施策を実行することが仕事のもう半分であり、これはより重要な仕事です。そのため、調査のアウトプットがどのようなものであるべきか、アウトプットがどのようにステークホルダーに伝えられるべきかについて考えることが大切です。

私は調査レポートを作ることに時間を費やすのではなく、できるだけ無駄なくアウトプットを共有することを心掛けています。ほとんどの場合は口頭での短い報告、必要な場合には重要な知見をまとめたプレゼンテーションだけが求められます。特にビジュアルを含んだプレゼンテーションや動画はきわめて有効です。私はNick Bowmast氏によるデザインリサーチの可視化のヒントを気に入っています。

10. いつリサーチを実行するべきか

調査がいつ実行される必要があるかを考え、ユーザーリサーチにどれくらいの時間を掛けられるかを把握することが重要です。多くの場合、利用可能な時間によって、リサーチが実行可能であるか否かが決まります。与えられた時間は望んだ時間よりも短いことが多く、たくさんのプロジェクトがアジャイルに実行されればされるほど、調査に掛けられる時間は縮まります。しかし、与えられた時間がほとんどなくても、素早くユーザーリサーチを行うことには価値があります。なぜなら、最終的には速くて雑なユーザーリサーチでも、何もないよりはましだからです。

ユーザーリサーチキャンバス

私は必要な情報が議論され獲得できていることを確かめるために、Business Model Canvasや自分のService Model Canvasなどのキャンバスを好んで使用しています。万全に準備するに越したことはないので、私は前出の重要な問いによって集められた情報を議論し、照合するのに役立つユーザーリサーチキャンバスを作成しました。以下のリンクからキャンバスをダウンロードして、誰かと一緒に迅速なユーザーリサーチ計画ワークショップ(略してRFURPW:Rapid Fire User Research Planning Workshop)の一環として記入してみてください。あなたのユーザーリサーチの計画が上手く行きますように。

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