2ヶ月半で実践的なUXを学ぶ、ネットイヤーグループが始めるUX Schoolとは?

UX MILK編集部

モノづくりのヒントになるような記事をお届けします。

今秋、ネットイヤーグループがUXデザインの初心者に向けたスクールを新しく始めるそうです。

そこで今回は、そのUX Schoolで講師を務めるお二人へ講座内容やなぜネットイヤーグループがUX Schoolを始めるのかなどについてお話を伺ってきました。

UX School 講師
宮村 和実 氏:ネットイヤーグループ株式会社 UXDグループ シニアUXデザイナー
原田 紘子 氏:ネットイヤーグループ株式会社 UXDグループ UXデザイナー

左:宮村氏 右:原田氏

― まずはネットイヤーグループの事業内容とお二人の仕事内容について簡単にお伺いしても良いでしょうか。

原田: 弊社は、デジタルマーケティングの領域でクライアント様のブランディングや成長戦略のご支援をさせていただいています。特に、ユーザーエクスペリエンスは創業時の2000年初頭から標榜しており力を入れています。

宮村と私はUXデザイングループに所属しており、UXデザイナーとしてユーザー視点のマーケティング施策をクライアント様にご提案させていただいております。

UX研修のノウハウが詰まったUX School

キャッチコピーは「裸足でUX、しちゃおう。」

― 今回、新しくUX Schoolを開講することになった経緯を教えてください。

宮村: 弊社では元々、UXに関する社内教育を数年前から行っていました。これは、若手UXデザイナーやディレクター、プロデューサーなどUXのベテランではない人たち向けに、UXを大事にするマインドやスキルを身に着けてもらうことを目的に作ったものです。

― UX Schoolの原型が社内教育という形であったのですね。

宮村: そうです。数年間行ってきたこともありUXに関する教育のノウハウが溜まってきたので、今回これを社会に提供していきたいとなりました。これには、UXの学びを社会に広めていきたいという我々の想いがあります。

もちろん弊社にとってもメリットはあります。たとえばクライアント様の担当者の方がUXを学ぶことによってユーザー中心で考える土壌ができて、弊社としてもお手伝いをしやすくなります。我々にも利がありながらお互いWin-Winになると思うのでやってみることになりました。

座学より体験。カラダで覚える実践的なUX講座

― UXを学ぶ講座には大学で開講されているものから無料セミナーまでありますが、今回のUX Schoolはどういった位置づけになりますか?

原田: 一言で言うと「とっつきやすくて入りやすい」スクールです。実践寄りの内容で、学んだことをそのまま仕事の中で取り入れやすいように意識しています。

宮村: 基本的にUXのビギナー向けですね。UXデザインの世界に足を踏み入れた人や、UXデザインをしているけれど不安がある人、UXの手法や概念をこれから利用していきたいと思っている人が学びやすい場を作りたいと思っています。

― 1回当たり何時間くらいを予定していますか?

宮村:1回2時間を予定していて、宿題は基本出さない予定です。カリキュラムは、弊社で実際に行っているUXデザインのコアの部分を2時間の中で習得できる内容にコンパクトかつシンプルに集約しています。シンプルと言っても内容が浅い訳ではなく、1回1回は非常に濃いため人によってはハードに感じるかもしれません。

また、今回の講座では企画や設計に重きを置いているため、Photoshopを使ってちゃんとデザインしなきゃいけないとか、プロトタイピングのためにコーディングするとかはありません。

― 実際の業務に即したかなり実践寄りの内容そうですね。今回、座学はあまりないのでしょうか?

宮村: 座学は、UXデザインに対する共通認識を揃えるのを目的として最初に1回だけあります。あとはカリキュラムに沿ってどんどん手を動かしていくという感じですね。ひとりでやるワークもあれば、グループワークもあります。

― 事前にUXデザインの勉強をする必要はありますか?

宮村: ある程度、UXデザインに興味を持っていて欲しいです。たとえば、カスタマージャーニーの概要くらいは知っている程度であれば良いと思います。ただこのスクールに来るために勉強や準備をする必要はありません。

UX Schoolの講座内容を見てみる

ペルソナ作りからユーザーテストまで一連の流れを行う講座

― 具体的な講座内容はどういったものになる予定ですか?

宮村:「商店街のお店を支援するアプリを考える」というお題で、最終的にはワイヤーフレームを基に簡単なプロトタイピングを作って、ユーザーテストを行い、その結果を基に改善するところまで行います。商店街のお店をお題にしたのは、誰もが行ったことがあるのでイメージがしやすいからです。

カリキュラムではアイスブレイクとグループのチームビルディングも兼ねて、最初にお店のペルソナを作ってもらおうと思っています。お店の設定のようなものですね。実は社内でも同じようなプログラムをしたのですが、お店の名前考えるときなど結構盛り上がったりしました。

― スクールと聞くと身構えしまうところですが、楽しい雰囲気になりそうですね。

宮村: そうなるように意識しています。お店のテーマを自分たちで考えたら、いきなりアイデアを考えてもらいます。この初期のアイデアは、UXデザインのプロセスをたどってから最後に出てきたアイデアとは多分違ってくるはずなので、UXデザインの重要性を理解できると思います。

その後、ペルソナ → インタビュー → カスタマージャーニーと作っていきます。自分たちがユーザーたり得る経験を持っているはずなので、グループ内でインタビューをしたりします。

カスタマージャーニーを作ったら、そのユーザー体験の中でユーザーが求める要求は何かを見極めながら、アイデアのコアを見つけていきます。そして、アイデアをワイヤーフレーム化して、プロトタイプを作って、ユーザビリティテストをして改善するという流れです。

― UXデザインの一連の業務を実際に行うことになると思うのですが、もっとも難関なのはどこだと思いますか?

宮村: 原田とは意見が分かれるかもしれないですが、カスタマージャーニーからユーザーエクスペリエンス視点で「ユーザーの要求」を導き出すという部分です。ここで、すぐに「具体的な施策」を出そうとする人が多いのですが、急いで答えを出すべきではありません。

ユーザーの要求と施策がどのように違うのかは理解しにくいかもしれません。たとえば、ユーザーの要求が「映画館でスムーズに入館したい」である場合、具体的な施策は「チケット発券機の場所をわかりやすく明示・ナビゲートする」「チケット発券機のUIをより使いやすいものにする」「そもそもチケットレスにする」などさまざまな打ち手が考えられます。

施策は変動しやすいものなので、変動しにくいユーザーの本質的な要求を捉えることが大事だと思います。この部分は難しいですが、ユーザーの要求をきちんと把握していれば、打つべき施策を間違わずに実行することができるでしょう。

― ユーザーの要求を正しく捉えるのは難易度が高そうですね。原田さんはどこが難しいと思いますか?

原田: 私は2つあります。1つはユーザーセグメントです。たとえば、ユーザーにはこういう人がいるよねとアイデアを出していくのですが、それを基にユーザーを四象限に分けるときに縦軸と横軸を何に設定して、どう切り分けていくかは慣れていないと悩んでしまうところです。

さらにユーザーセグメントに分けて〇〇グループみたいのを作ったときに、周りの人から「こういう人いるよね」という共感を得られるように綺麗に分けるのは大変だと思います。

― みんながイメージできるセグメントというのがポイントになりそうですね。

原田: そうです。もう1つはユーザーインタビューです。自分が引き出したいものをユーザーから聞くためには、観察眼と会話で導いていく能力が必要だと思います。このインタビューの段階でその人が抱えている本質的な課題を聞き出せないと、その後のカスタマージャーニーに活かすことができなくなってしまいます。

質問内容を想定して、その人を観察して会話の流れを導いていく能力は一朝一夕では養えないものです。

― その辺りは苦労しそうですね。こういったやや難しい部分では、講師の方からアドバイスなどがあるのでしょうか?

宮村: そうですね。たとえばカスタマージャーニーを作るときは、カスタマージャーニーを作るためのステップを最初に提示して、さらに各ステップで気をつけるべきことを伝えます。実践を重視しているのでこういった基礎はパッと伝えて実際にワークに入ってもらい、ワークしながら適宜アドバイスをしたりします。

難しい部分も、ゆるく楽しく体験しながら気づきを得られるような場づくりをしていきたいと思っています。

UXデザインに一歩踏み出すためのUX School

― 最後にアピールはありますか?

宮村: キャッチコピーで「裸足でUX、しちゃおう。」と言っているのですが、これをきっかけに3つの足跡を残していってもらえたらと思っています。「学びに踏み出す」、「挑戦する」、「UXデザインのユーザーの中に入っていく」という3つの足跡です。

原田: 踏み出さないと始まらないので、気になるなら一歩踏み出して申し込んでいただきたいです。私自身、元々は営業職だったのですが、UXDグループに異動できる機会があり、「UXデザインやりたいです!」と上司に宣言してUXデザインの世界に一歩踏み出すことになりました。なので、最初は社内教育を受ける側でした。こういった体験があるので、このUX SchoolがUXに興味がある人にとって良いきっかけになればと思います。

宮村: あと、真面目すぎないで欲しいです。ガチガチになって意気込むのではなく、体験して失敗して気づいてもらいたいです。最初は、プロトタイプを作っても多分大失敗になると思います。その失敗する体験をあえてここでして、気づきを得てもらえればと思います。

・・・

UX Schoolは、2017年8月22日(火)から申し込みを受け付けています。

現在UX Schoolは2019年4月3日(水)より第2期生の募集申し込みを受け付けています。

講師を務めるお二人とも、非常に気さくな方なのでUXに踏み入れたばかりの人でも身構えずに一歩踏み出すことができそうな雰囲気でした。少しでも興味がある方は、UX Schoolのサイト、またはこちらの記事にて詳細を確認してみてください。

UX Schoolの募集要項を見てみる


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