デザイナーのキャリアが変化しつつある、デザイナードラフト×UX MILK対談

三瓶 亮

1983年東京生まれアメリカ育ち。ガラケー時代からモバイルコンテンツの企画・デザインなどに従事。現在はUX MILK編集長/プロデューサーとしてメディア、イベント、関連サービスなどの企画やデザインをしている。パンクロックとゲームが好き。Facebookはこちら

UX MILK編集長の三瓶です。最近、業界的にデザイナーのキャリアが話題になることが多いと感じています。

今回は、デザイナードラフトの島田さんと対談する機会をいただき、デザイナードラフトとUX MILK Jobsというクリエイターの転職を扱うサービス同士で「デザイナーのキャリア」についてざっくばらんに話をしてきました。

第4回デザイナードラフト
開催日:2018年10月17 日(水)

※第4回から業務委託として指名を受けられるようになりました。フリーランスデザイナーの方もお試しください。

デザイナードラフトに参加する

左:株式会社リブセンス 島田氏、右:UX MILK編集長 三瓶

登場人物
株式会社リブセンス 島田 俊介
UX MILK 編集長 三瓶 亮

プロに相応しい評価がされていない

三瓶:今回は、ざっくばらんにデザイナーのキャリアについて話したいと思います。ちなみに島田さんはデザイナードラフトの元になった転職ドラフトの初期から関わっていたのですか?

島田:転職ドラフトが新規企画として立ち上がったときから関わっています。

三瓶:新規サービスのアイデアの1つが転職ドラフトという感じですかね。どういう経緯で「ドラフト」というコンセプトに決まったのですか?

島田:最初は、「日本プロ化計画」というコンセプトから始まりました。エンジニアやデザイナーはプロとして活躍しているのに、それに見合う評価がされていないという課題感があったのです。

三瓶:それで「野球のドラフトみたいにやろう」となったのですか?

島田:そうですね。初期から「転職ドラフト」という名前も決まっていました。以前の記事でも紹介いただいていますが、エンジニアやデザイナーといったプロが企業ごとにどのように評価されてるのかを競争入札によってオープンにしたいという想いがありました。

三瓶:いまの日本では、プロに対して相応しい評価がされていないというのは同意です。転職ドラフトは課題と提供価値が明確でいいですよね。

島田:ありがとうございます。もうひとつの課題感として、転職先の年収が現年収に依存しているというものがありました。そのために、転職ドラフトやデザイナードラフトでは現年収を聞かないようにしています。

三瓶:現年収を聞かずに年収提示をするのってユーザーからすると嬉しいですが、企業さんからするとけっこう大変ですよね。転職サービスを運営していると、企業側と転職者側のニーズが対立することもあり悩ましいなと感じます。

島田:それはありますね。ドラフトの場合、転職市場のパワーバランスが企業側に偏っているという問題意識があったので、基本的にはユーザーのニーズを重視していますね。

ただ、議論にはなります。たとえば、「現年収を聞かない」という方針も最初の頃は議論になりました。企業側から「現年収がわからないと年収提示するのが難しい」という声もあったのですが、現年収に引きずられて評価が落ちている現状を考えると、聞かないほうが絶対良いはずなので現年収は聞かない方針になりました。これは、ユーザー側に振り切ってるわかりやすい例ですね。

三瓶:一方で、企業さんからすると負担が増えるという側面もあると思うのですが、そこはあまり問題にならなかったですか?

島田:初期の頃は、営業に行ってもそれがネックになって導入いただけないことはありましたね。

三瓶:企業さん的には仕組みに慣れないということもあり、やりづらさはありますよね。ユーザーに寄せていくと、企業側の負荷が高くなるみたいなジレンマは我々も感じますね。

島田:そうですね。あとドラフトの場合、指名文面も厳しく見ています。同じような文面で指名を送っていたらチームのSlackに通知が来るようになっているので、企業さんに「コピペはやめてください」とお伝えするようにしています。

三瓶:そこまでやっているんですか。転職サービスは企業さん側の対応でサービスの質も左右されるので難しいですよね。ただ転職ドラフトは企業側にある程度コストを強いているから、ちゃんとクリエイターに正当な対価を払う企業が揃っていそうだなと思います。

島田:それはそうだと思います。ある企業の採用担当者の方は、転職ドラフトの開催月はほかの仕事をしないというくらいフルコミットしていただいています(笑)

三瓶:それはすごいですね。企業の採用担当者の方って本当に忙しいので、それこそ一括でスカウトを送りたいという要望もけっこうありますし、短期的なKPIとしてもそっちのほうが上がると思うのですが、そこはユーザー体験とのバランスが必要ですよね。

デザイナーのキャリアの変化

三瓶:もう少し転職全体に話を広げたいと思うのですが、クリエイター向けに転職サービスを提供する中で転職市場の変化を感じることはありますか?

島田:転職市場全体となると難しいですが、変化を感じる点はありますね。たとえば、自社でも実際に転職ドラフトを使って採用しているのですが、チーム全員が採用に関わるようになりました。誰にどのようなスカウトを送るかをチーム全員で考えるようになったりとか。ほかの企業さんからも似たような話を聞きます。

三瓶:最初のスカウト段階から現場の人が関わるというのは大きな変化かもしれないですね。採用について考えるきっかけになっているかもしれないですね。

島田:あと、サービスとは関係ないですが、デザイナーのキャリアに関する勉強会が増えましたよね。

三瓶:今年に入ってから多い印象ですね。みんなデザイナーのキャリアをより
考えるようになったという感覚はあります。UX MILKでもキャリア系の記事を出しているのですが、けっこう読まれるし反響もいいんですよ。

デザイナーは年収の話を嫌っていると思っていたのですが、意外とそうでもないなと。我々がUX MILK Jobsをリリースしたときも、ネガティブな反応がいっぱいくると思っていたのですが、目に見えてネガティブな話はあんまりなかったですね。

島田:どういう理由でデザイナーがキャリアを考えるようになってきていると思いますか?

三瓶:いろんな要因があるとは思います。一番騒がれているのは「デザイナーの年収が低い」という話ですよね。デザイナーの価値を高めなきゃいけないという話がされていて、その中でCDOやCXOのような立場の人が出てくるようになったり。

島田:CDOやCXOが話題になるようになったのも割と最近ですよね。

三瓶:あと、エンジニアとデザイナーを比べると年収がやっぱり違うじゃないですか。デザイナードラフトと転職ドラフトを運営する側としては、年収の違いに関してどう考えていますか?

島田:デザイナーは希少なので年収が上がってもおかしくないですよね。ただ、エンジニアと比べるとデザイナーという職種の歴史が浅いのではと思います。いままでデザイナーのキャリアというものはなかったのですが、CTOは10年以上前からありましたよね。

三瓶:デザイナーという職種の歴史が浅いというのは、ほかの方も言っていました。

島田:あと、キャリアパスにおいて職種って大事だと思っているんです。最近では、UIデザイナーやUXデザイナーなどの職種が出てきましたが、以前はそこまで細分化されていませんでした。こうした職種が出てきたことで「私は◯◯デザイナーになりたい」って言えるようになって、いろんなキャリアの選択肢が出てきたのかなと。いまはデザイナーが専門職として改めて評価されつつあるのかなと思います。

三瓶:なるほど。職種に関して言うと、「デザイナー」という職種名で損している気がするんですよね。いまはデザイナー兼プロダクトマネージャー(PM)的な役割の人も出てきていますが、そういう人はPMという職種名のほうが年収が上がるのではと思うんです。世間的にはデザイナーはビジュアルを扱う人で、課題解決や企画する人とは別という認識があるのかなと。

島田:評価者が被評価者であるデザイナーを理解していないことも原因のひとつですよね。デザイナーの評価権限を持ってるデザイナーがいない、デザインを理解しない人がデザイナーを評価するから正当な評価がされないという問題はありますね。ただ、最近はCDOやCXOなどデザインを理解する経営者が出てきて「デザイナーの年収がほかの職種に比べて低い」と主張しやすくなってきたとも思います。

三瓶:まだ発展途上だという話でもあるんですよね。やっぱりCDO的な立場の人が増えないと、デザイナーの年収は上がらないのかなと。今後、デザイナーがより経営に入っていくと全然変わってくるはずですね。

広い視野を持てばUX人材はいるはず

三瓶:一方で、企業が求める人材とのギャップ的な部分もあると個人的には感じています。最近、企業が求める人材のスペックが上がってきてると思うんですよ。「ビジュルデザイン、ユーザーリサーチ、プロトタイプなどすべてできて実務経験が数年ある人」みたいな。そんなフルスタック人材は存在しないにほぼ等しいですからね。

一方、UXデザインに興味あるし勉強もしてるけど実務経験はない人はすごく多くて、そこにギャップがあるのかなと。そのギャップが埋まれば、年収も上がる気がするのですけど。

島田:UXデザインや事業会社でのデザインの経験がある希少種を探し回って、「あれ、良い人材がいないぞ」ってなることはありますね、

三瓶:UXデザインが再び騒がれるようになってからの歴史はまだ浅いですからね。「実務経験4、5年の即戦力となるUXデザイナーは欲しい」みたいな相談を受けることもあるのですが、「いやいや、なかなかいないですよ。UX MILKだって3歳ですよ。」と返したりします(笑)

その企業に必要なスキルや経験をブレイクダウンしていくと、必ずしも熟練したUXデザイナーが必要とも限りません。デザイン思考を持つディレクターや、企画ができるWebデザイナーでもいいかもしれない。職種や肩書にこだわらず、広い視点を持てばポテンシャルのある方々はいっぱいいると思います。

島田:実際、ヒアリングすると企業によって求める人材はかなり異なりますね。最近はUXデザイナーに注目されがちですが、逆にビジュアルデザインに特化していてマルチメディアに対応できる人もデザイナードラフトではけっこう良い指名があったりするんですよ。

三瓶:フルスタックな人もコアのスキルを持っているT字型の人材だったりしますよね。UIデザインを軸にしつつ、興味のある周辺分野を学んでアウトプットすると評価されやすいのかなと。

「デザイナーがいない」と言っている企業さんは、いま言ったようなことまで理解しないといけないし、より深いインサイトが必要ですね。

求められるスキルの変化が早い業界

三瓶:少し話は変わりますが、個人的には、デザイナードラフト経由で転職した方へのインタビューで、「その企業がほかの人にどんな指名をしているのか見る」というのは発見でした。実際に企業がどのようなオファーをしているかが公開されてるサービスってないですし、企業がどのようなスキルを見ているのかを知ることができて良いなと思いました。

島田:とてもうまく活用していただいていましたね。企業の評価軸がわかりますし、実際の指名情報がエビデンスとして機能しているんだなと。

三瓶:インタビューした方もそうですし、キャリアやスキルアップへの意識が高い若手デザイナーが増えた印象はありますね。こういった変化ってここ1、2年で起きたことだと思うんですよね。業界の動きも早いですし、求められるスキルもすぐ変わってしまいます。なので、自分への市場評価を定期的に確認したり、ラフに企業に話を聞くことが重要だなとあのインタビューを通して改めて感じました。

島田:社内というクローズドな市場での評価以外も知る必要があると思います。もしかしたら、社内と社外で評価に大きなギャップがあるかもしれないですし。

三瓶:そういったギャップを埋めるという点でもすごくドラフト良いなと。転職を考えていないけど、給与交渉のために参加したという話もあったりして、クリエイターの価値向上に本当に寄与しているなと。

最後にデザイナードラフトの次回開催日を教えてください。

島田:デザイナードラフトは、2018年10月17 日(水)開催です。レジュメを書かずにBehanceやdribbbleだけでも参加できるので、ぜひ参加してみて欲しいです。

三瓶:本日はありがとうございました。

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第4回デザイナードラフト
開催日:2018年10月17 日(水)

※第4回から業務委託として指名を受けられるようになりました。フリーランスデザイナーの方もお試しください。

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提供:株式会社リブセンス
企画制作:UX MILK編集部